市場の概要
・健康や地球環境に配慮した農作物や化粧品
・消費者の意識の高まりが背景に
・欧米では食品について数兆円の市場

攻略のポイント
・商品の実利を打ち出す
・販売価格を下げる
・そのために新技術と流通改革

 日本の「オーガニック」市場が拡大中だ。代表的な商品は、農薬や化学肥料を減らした、あるいは頼らない農法による野菜や果物、健康的な飼育環境で作られた畜産物、天然由来の原材料を中心とした化粧品や石けん類など。ここ1〜2年で大手スーパーが売り場を拡大、またオーガニック専門店の出店も進んでいる。健康や環境問題への関心が強い消費者の増加を反映してのことだ。

 このような消費者は、オーガニック食材を原材料に使った加工食品、海洋資源の持続性に配慮した魚介類、オーガニック綿を使った衣料品、化学物質の使用を減らした家具、オーガニック食材を使ったレストラン、オーガニック分野の商品やサービスを集約したイベントなどにも投資する傾向がある。総じて、「健康、地球環境、社会の持続性に配慮した商品やサービスの集合」がオーガニック市場を構成している。

 この市場で中心となるのは食品だ。調査機関によって差異はあるが、国内のオーガニック食品市場の規模は2017年前後で1000億円台〜4000億円台と推測されている。一方、欧米のオーガニック食品市場は一ケタ大きい。例えば米国ではオーガニック食品の総売上高(2017年)は452億米ドル(4.8兆円)、ドイツは113億米ドル(約1.2兆円)である(FiBL&IFOAM「The World of Organic Agriculture Statistics & Emerging Trends 2019」より)。人口の違いを考慮しても日本よりかなり大きい。

 それだけに日本市場を広げる余地は沢山ある。まず、定量的・定性的な調査を通じて、商品の実利的なメリットを打ち出すことが必要だ。従来オーガニック食品や化粧品は「健康的」「環境に優しい」などのイメージで訴求する傾向が強かった。食品に関しては定量的な調査が少しずつ行われるようになった。国内のNPO(非営利組織)などが有機栽培で育てた野菜を一定期間食べ続けることで尿内の農薬濃度が低減するというデータを公表している。

 食品については価格を下げることも必要である。例えば有機栽培による野菜の小売価格は、慣行農法の野菜に比べて約二倍。アグリテックの導入や流通プロセスの改革により販売価格を下げられれば、さらに広がりを見せるだろう。