市場の概要
・健康問題の解決
 健康食品としての需要
・食糧問題の解決
 貧困層の日常食としての需要
 全人口の緊急食としての需要

攻略のポイント
・栄養面での完成度
・コスト面での優位性
・風味・機能での差異化

 「これを食べるだけで1日に必要な栄養素が摂れます」。

 こうした食材を完全食と呼ぶ。健康食品、サプリメントの延長として出てきたこともあって栄養面の機能は優れているものの、値段も味もまだ今一つの段階だ。現在はベンチャー企業や大手食品メーカーが市場を形成している段階にある。

 完全食が注目されている理由の一つは健康問題である。もっと痩せたい、少量で腹持ちのよいものを食べたい、病気を未然に防ぎたい、健康診断などの検査で好結果を得たい、というニーズに応える。これは、健康食品やサプリメントが先進国で必要とされている理由と同じだ。

 もう一つ、食料問題がある。世界各地で災害、紛争、飢饉が起きており、手早く一通りの栄養を摂れる非常用食料は常に求められている。

 この市場で成功するには、言うまでもないが完成度を高め、栄養をきちんと摂れるものを開発しなければならない。海外市場を狙うためにはコスト面の優位性も必要だ。栄養とコストの課題を達成し、その上で美味しいもの、健康に資する機能を持つものをつくっていく。現状の食材や技術の組み合わせでは、画期的な品質やコスト競争力は得られないかもしれない。そうなると、特許に基づくような、今までとは全く異なる素材や加工法の開発が成功のカギになるだろう。

 ハードルは高いが市場は大きい。完全食市場が最低限狙える市場は53兆円に達すると見られている。すでに米国ではサプリメントだけで10兆円の市場がある。米国に次ぐ規模があるとみられる中国でも数兆円規模で、どちらも拡大を続けている。日本でも、滋養強壮や生活習慣病予防をうたう健康志向食品だけで1兆4260億円(2018年、富士経済調べ)の市場があり、増加傾向が続いている。