ゲームを一変させるリスク(不確実性)として宇宙の利用がある。宇宙空間や人工衛星、ロケットなどを利用する「宇宙ディスラプター」が現れるだろう。空間の制限を解消し、無重力による別次元の環境も利用、地上では考えられない方法でビジネスを展開、既存事業をひっくり返す可能性がある。

 世界全体で宇宙への投資が活発化している。宇宙産業の市場規模はこの10年ほどで10兆円から40兆円に膨らんだ。背景には新興国とベンチャー企業の台頭がある。これまでは日米そしてロシアを含む欧州が投資の担い手だったが、インドや東南アジア、南米、アフリカの諸国が人工衛星を自国で持とうと投資を始めた。

 さらに宇宙ビジネスにチャンスがあると見てベンチャー企業の参入が後を絶たない。世界で1000社を超えるベンチャー企業がしのぎを削っている。

 投資する国や企業が増えれば増えるほど、ロケットや人工衛星など宇宙活動に必要なインフラのコストは大幅に下がる。ベンチャー企業が多く参入すれば、思いもよらない発想の起業家が現れ、まったく異なる次元のサービスを提供するかもしれない。

 投資先として注目を集めているのは、宇宙インターネット、宇宙ビッグデータ、宇宙旅行、惑星探査の4分野だ。

 宇宙インターネットは、人工衛星を数100から数1000基打ち上げることで地球全体をカバーする。未開の地であってもアンテナさえ置けばインターネット環境が提供される。数1000基もの人工衛星を生産すれば量産効果が出てコストは大幅に下がる。

 宇宙ビッグデータは、人工衛星が収集した情報を加えることで、地上だけでは完成しないビッグデータ利用環境を構築する。従来の航空写真や気象測定を超える情報を集められる。世界中の鉱山や農園などアセットを監視することも可能になる。宇宙からどこに資源があるかを突き止められるようになると、採掘権益など既得権が無意味になる可能性がある。

 宇宙旅行は人を宇宙空間へ運ぶサービス。高度100キロメートルくらいの宇宙空間へ5~10分で行く「旅行」を企画している会社もある。宇宙旅行を実現するためには、誰もが安全に宇宙空間へ移動できる手段を開発する必要があり、その移動手段の技術が地上の移動手段の概念を根底から覆すかもしれない。

 惑星探査は、新しい物質の発見、新しい環境の提供、惑星移住など、今後の宇宙開発の進歩の度合いによって応用が広がる分野だ。どんな価値が生まれるのか、まだ分かっていない。

 以上の4分野以外にも、宇宙工場や宇宙空間を利用した化学物質の生成、旅行以外のエンタテインメントへ可能性が広がる。米国の起業家、イーロン・マスクは宇宙分野の開発企業スペースXを通じてロケットの再利用に挑戦している。実現すればロケットの打ち上げコストが大幅に下がる。その先に火星への有人飛行を見据える。

 宇宙については未知なことが多いため危険もあろうが可能性も無限の広がりを持つ。既に多くのベンチャー企業が参入し、新サービスの実現に向けて切磋琢磨していることを考えると、まだ参入していない企業にとってキャッチアップできないほどの差が開いてしまうかもしれない。