宇宙衛星を使うテクノロジーとして確立され、多くのイノベーションをもたらしたものにGPS(Global Positioning Systems)がある。複数の衛星が発信する電波を地上の機器が受信、電波が届く時間差を使って、地上の位置を特定する。スマートフォンとGPSの組み合わせで利便性の高いサービスが次々に開発された。落としてしまったスマートフォンを発見できるのはGPSのおかげである。

 GPSは米国が軍事利用のために打ち上げた衛星を使っている。これに対抗し、中国やロシアは独自の衛星を打ち上げ、同様に仕組みを構築しつつある。このため、GPSという固有名詞に対する一般名詞として「GNSS(Global Navigation Satellite System)」という言葉ができた。

 しかしGPSやGNSSは妨害電波によって無効にできる。また、電波が届かない屋内や水中では使えない。そこで米国をはじめとする各国の軍事部門はGPSの代替技術を研究開発中である。

 代替と言った場合、GPSが妨害されても位置を特定できる、そもそもGPSが使えないところでも位置を特定できる、という意味がある。例えば兵士一人ひとりに装着できるセンサーと加速度計を使い、敵味方の兵士の位置を測定する。音波や超長波を使う、といった技術がある。

 軍事目的で使われたGPSが民間で使われ、イノベーションを起こしたように、GPS代替技術の中から次のイノベーションを起こすドライバーが出てくる可能性は大きい。