新型コロナの影響が社会やビジネスに大きな変化をもたらそうとしている。日経BPは、パンデミックによる社会変革について、ビジネスパーソンを対象に「5年後の未来に関する調査」として、2020年5月からアンケート調査を実施中である。延べ8000人以上への調査からビジネスパーソンに急速な意識変化が起きつつある状況を捉えた。詳細な分析は、日経BP総合研究所が2020年12月に発行したレポート「スマートシティ2025<未来シナリオ調査編>」に掲載している。


 新型コロナのビジネスへの影響が懸念される中、勤務先の次世代投資について聞いたところ、「デジタルインフラ」への投資は「増加する(増加+微増)」と約9割が回答した(図1)。また、過半数が「新規事業/新商品開発費」「新規設備」も増加と積極的な姿勢を示した。いずれも「減少する(減少+微減)」は1割台で、新型コロナの影響を受けても次世代への投資に前向きな姿勢が浮き彫りとなった。

図1●2025年までの投資
図1●2025年までの投資
出所:日経BP総研『5年後の未来に関する調査<全産業編>』

 ビジネスパーソンの意識変化として最も顕著だったのが、テレワークに対する受容性の進展といえる。緊急事態宣言下の2020年5月時点において、「すべてテレワーク」で働いていると回答した割合は約2割を占め、テレワークと職場勤務を組み合わせて仕事している人の割合は約4割に達するほど、新型コロナの影響によって人々の働き方が大きく変化した(図2)。

図2●新型コロナ影響時(2020年5月)における働き方と2025年の姿
図2●新型コロナ影響時(2020年5月)における働き方と2025年の姿
出所:日経BP総研『5年後の未来に関する調査<全産業編>』

 一方、2025年において、どのように働いているかを聞いたところ、すべてテレワークとの回答はわずか2%にとどまった。しかしながら、テレワークと職場勤務を組み合わせて仕事している人の割合は55.5%と過半数に達し、リアルでのインターフェースは大切としながらも、これから5年の間に、リモートとリアルを組み合わせた働き方へ大きくシフトすると予測される。

テレワークを前提とする社会に

 2025年における働き方を業種別に見ると、特に『薬品、医療品』『IT・通信』の業界では、テレワークと職場勤務を組み合わせるとの回答が7割強と高水準に達し、『電子・電子機器』や『自動車関連』、『物流』の業界でも6割超、テレワークを導入しにくいと予想される『建設』や『不動産』でも半数を上回り、特定の業界だけでなく、社会全体がこうしたワークスタイルに移行する形である(図3)。

図3●2025年における働き方(業界別)
図3●2025年における働き方(業界別)
出所:日経BP総研『5年後の未来に関する調査<全産業編>』

 一方、『医療・福祉・介護』業界については、5割以上がテレワークできない仕事と認識していることが回答から顕著に表れた。同業界を低迷させないためには今後、業務の効率化や職場環境の改善が必須になるだろう。

 テレワークを是とする社会へ移行する中、働く場所に対する意識が大きく変わり始めている。2020年6月時点で、テレワーク採用をきっかけにオフィススペースを「すでに削減」「準備中」「削減を検討中」とした回答者は2割強に達し、「削減する予定はない」とはっきり否定した回答は4割程度だった(図4)。さらに、約半数が2025年にはオフィススペースが現時点よりも減ると考えており、オフィスの減容が始まろうとしている。今後、新しい職住一体の働き方への模索が続きそうだ。

図4●オフィススペース削減の検討状況
図4●オフィススペース削減の検討状況
出所:日経BP総研『5年後の未来に関する調査<制約が生み出す新ビジネス編>』

変わる“街”への価値観

 実際、自分が暮らす“街”について調査した結果では、自治体に対する懸念が増していることが明らかになってきた。少子化や高齢化が進む中、ビジネスパーソンの約7割が2025年までに「一部の公共サービスを提供できない自治体が増える」とみており、約6割が「公共サービスの広域連携が増える」と想定している。

 さらに、生活インフラの老朽化については、医療体制や水道インフラ、道路・橋の維持・管理、公共交通などに大きな不安を抱いていることが分かった(図5)。特に、「医療機関の存続」への懸念が過半数と、新型コロナ感染拡大が大きく影響していると考えられる。続いて、「水道インフラの老朽化」「道路・橋の維持・管理」が4割台、「公共交通の維持」が3割強と続く。また、約27%が「防災・減災への対策」の懸念を挙げ、昨今、多発している豪雨や台風などの自然災害による甚大な被害を憂慮しているとみられる。

図5●生活インフラ老朽化に対する懸念
図5●生活インフラ老朽化に対する懸念
出所:日経BP総研『5年後の未来に関する調査<街づくりへの意識変化と次世代ビジネス編>』

 こうした中、次世代の街づくりである“スマートシティ”に期待する分野や機能について調査したところ、「交通・モビリティー」や「ICT」「通信・ネットワークインフラ」「医療・健康関連施設」への関心が高かった(図6)。テクノロジーを用いて、より快適な暮らしを求める声が多い。

図6●スマートシティに期待する分野・機能
図6●スマートシティに期待する分野・機能
出所:日経BP総研『5年後の未来に関する調査<街づくりへの意識変化と次世代ビジネス編>』

 ポストパンデミック時代には、どこの場所にいてもオフィスと変わらない働き方が可能となる環境や、駅近よりも安心・安全な場所に重点を置くなど、ビジネスパーソンの急速な意識変化が起きつつあり、新しい“街”の形が問われ始めている。

<新刊レポート>
スマートシティ2025<未来シナリオ調査編>

延べ8000人超のビジネスパーソンを対象とした「5年後の未来に関する調査」から見えた将来動向を基にスマートシティのあるべき姿を分析。関連6分野について有識者による未来展望を掲載。経営・事業戦略に不可欠なエビデンスを多数収録
監修:伊藤大貴、日経BP総研
A4判、182ページ、 2020年12月14日発行

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