ギア沼とは「ギアを次々に買い続ける人がいる状態」を示す造語である。「ギア」とはダイビングに必要な器材一般の英語表現で、キャンプ、釣り、自転車など器材が必要なスポーツを「ギア系」と総称することもある。「沼」という言い方は、例えば、次々に新しいキャンプ関連商品を買ってしまう人を「キャンプ沼にはまる」と表現することに由来する。

 ギア系の趣味を持つ人は通常とは別の価値観で商品を購入する。まず「かぶる」状態を嫌う。キャンプ沼にはまる人はキャンプ場で同じテントが近くにあることを避けたがる。スノーピークというキャンプブランドでギアをそろえる人は「(スノー)ピーカー」と呼ばれたが、かぶるのを避けるため、ノルディスクヒルバーグといった海外ブランドを並行輸入していた。

 こだわりも強い。カーボン製の釣り竿ではなく職人のつくった竹竿を愛用する人がいる。ギアはSNSとの相性が良く、いわゆる「インスタ映え」するかどうかで選ぶ人も多い。このようにギアものでは機能性やコストパフォーマンスは最優先されない。

 こうしたことから新しい商品がすぐにコモディティになり価格競争に巻き込まれるといったことはない。一つ前の世代の商品や中古品を安く買って満足するわけでもない。寡占も進まない。テントや自転車には付属する様々な小物があり、小規模小ロットで良質なアウトドアギアを創るガレージブランドが数多く存在する。自分の得意分野を持てば新規参入もしやすい。