コラム 黒の志 2018 Winter

臼井 清 志事創業社 代表

新規事業に悩める会社員よ、ここに集え!事業開発アーティスト『青黒塾』

事業開発アーティストに自分もなれる

 あなたの周りに「生意気な人」はいるだろうか。最近は、「こじらせ系」や「意識高い系」といった人が現れ、それに押されてか、生意気な人との遭遇率が極めて低い。確かに、生意気な人はあなたの心をざわつかせるし、無遠慮な振る舞いに振り回されるときがあるかもしれない。しかし、生意気な人は、実はあなたに刺激とエネルギーを与えてくれる人でもあるのだ。

 考えてみてほしい。お行儀が良く、常識をわきまえ、熱く持論を語ることなく、他人の意見に素直にうなずいてくれるだけのような、そんな人しかいない世界を。そこでは「進歩」や「革新」など何も起きないだろう。

 だからビジネスを興すには少しくらい生意気なほうがいいのだ。ただ、その生意気をうまくコントロールしないと、自分も社会も前向きになるようなビジネスを創ることは難しい。すなわち、青い「志」を大きく育み、黒い「ロジック」や「振る舞い」を身に付けた「青黒い人」が事業創造に適した人材なのだ。

この夏、ついに開講した「青黒塾」

 そんな青黒い事業開発アーティストを養成するため、今年の夏、全世界で初めて「青黒塾」が開講した。東京・半蔵門のオフィスビルに業種を超えて集まった30代を中心とする男女8人は、ネーミングの怪しさを乗り越え、恐れを知らずに参加するだけあって、うれしいことに生意気な素養を十分に持っていた。

 まずは、塾生として自己紹介。多少のジョークを交えてお互いのプロフィールを交換というのが通例だが、塾生にはいきなり、折り紙とハサミとのりが渡された。

 「これらを使って、あなたをここに表現してください」

 切り紙細工で自己紹介するというお題だ。青黒塾の狙いの一つは、アンラーニングの実践。「自己紹介とは、言葉で伝えること」「名前と会社名、肩書を伝えれば自己紹介になる」といった、これまで当たり前と思っていたことをやめてみる。そもそも自己紹介とは何なのか。開講早々にそんな疑問が頭を悩ませる。

 最初は戸惑っていた塾生も、数分もすれば集中して「自己紹介」の作品を制作。それぞれの個性がなるほどと表現された“名作”が揃った。

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普段あまり使わない「部位」を動かす

 新しいビジネスを生み出すためには、知識やロジックだけでは不十分であり、想像力が不可欠だ。「想像力は知識より重要だ。知識には限界があるが、想像力は世界を包み込む」とは、かのアインシュタインの言葉だ。

 青黒塾では、いわゆる講義の時間が少ない。想像力を鍛えるために塾生自らが考え、文字通り身体を動かしながら実施するワークが主体だ。毎回のアイスブレークに「けんちく体操®」を取り入れたのもその一例。お題の建築物にチームでなり切るというものである。回を追うごとにそのポーズの、着眼点と表現力に深みが増したのは、決して偶然ではない。

 これまで使ったことのない「部位」(能力)が自分の身体の中に眠っていることを、単純にして明確に実感することで、自分の中の想像力に気付き、自信を持つことができる。

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青黒の先達の「人生美学」に触れる

 異質なものを掛け合わせることは、ビジネス創造の基本だ。だから、青黒塾では多彩なゲストに講演をお願いした。普段のビジネスシーンではあまりお目にかかれない人との出会いを用意した。

 グローバル企業で、個人の信念から生まれた事業を会社の中期計画の柱にまで仕立て上げた方。美術学校の出身でデザイナー視点から企業の事業コンサルタントを務めている方。ダサいのは嫌という一心から、明るい防災を世界に広がるムーブメントにまで具体化した方。お金を集める魅力的な企画書の本筋を徹底して極め、体系化した方。等々。

 有名人のありがたいお話を拝聴する、あるいはノウハウを伝授いただくというより、青黒く自分の想いを実現してきた先輩たちの生きざまや美学にじかに触れることで身近に感じてもらうことが狙いだ。「私にはとてもできない」ではなく、「私とさほど差はない」と思えること。これが人と人との新結合を生む大事な一歩となる。

 毎回の交流会でゲストとの雑談の時間をたっぷり取ることで親交が深まるとともに、塾生がゲストに刺激を与えていることに気が付く。つまり他の人から見れば自分も異質であると認識し始める。

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表現力を身に付ける

 磨かれた想像力で想いを込めたアイデアが生まれても、周りの人を巻き込めない限り、そのアイデアを具体化することは難しい。企業人が仕事として取り組むためには、上司や周りの人を説得する場面が必ず出てくる。そこでプレゼン能力が問われることになる。

 残念ながら、日本の大企業では、役職が上がるほどプレゼン能力が落ちることを目の当たりにすることが多い。周りの取り巻きが黙って聞いてくれているので自分のプレゼン能力が高いと勘違いしているマネジメント層があまりにも多い。

 一方で、スピーチイベント「TED」のような場で、面白おかしく、かっこよくプレゼンするためのノウハウは、ちまたにあふれている。だが、ビジネスパーソンにとって、人を楽しませるエンターテイメントのようなプレゼンが、果たして目標なのだろうか。

 プレゼン能力を高める唯一の方法は、正直な意見を返してくれる聴衆の前で話をする場数を踏むこと。言い換えれば、自分の発言に対し、たくさんの質問や意見をもらう機会をなるべく多く持つことなのだ。こうした場が自分の想いを強くする。小手先の技術よりも強い想いを持つことが、プレゼンには大切なのだ。

 青黒塾では、同じ話題で何度も繰り返し自分の意見を述べ、講師やゲスト、他の塾生から意見やコメントをもらう。しかも、ビデオ撮影をして見直しまで行う。初めは恥ずかしい気持ちもあるし、ネガティブな反応にたじろぐケースもあるが、最終日の発表では、自分の想いを堂々と、かなりの説得力を持って発表する塾生たちの姿が見られるようになる。

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完走した塾生たちの感想は?

 受講を終えた塾生に、青黒塾を一言で表してもらった。

「普段の仕事では味わえない楽しい時を様々な方と共有できる塾」

「一緒に新しいことに取り組める仲間と出会える場所」

「自分の考えや行動が“変化し成長”できる素晴らしい環境」

「青い志を、腹黒く、赤いハートで、実現する塾」

 青黒く成長したことが感じられ、生意気な人たちの活躍が確信できるコメントだ。

 最後に一言。青黒塾は資格講座ではないと伝えたが、修了者は事業開発経営協会から事業開発経営士3級が付与される。「資格も欲しい」という方に、しっかりと青黒く対応している。

臼井 清 志事創業社 代表

臼井 清 志事創業社 代表

1984年に諏訪精工舎(現・セイコーエプソン)に入社。大阪を振り出しに台湾や英国、ドイツでマーケティングと人材資源管理(HRM)を中心に経験を積む。2014年に「人生を豊かにするチャレンジ」を応援するコンサルティング会社「志事創業社」を設立。各種研修/セミナーのプロデュース、ファシリテーション、顧客開拓マーケティング、企画・運営などを手掛ける。

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