プロジェクト活動報告

ひと目で分かる開発テーマの進捗

ひと目で分かる開発テーマの進捗

開発No.034 時空計測
高精度位置と時間同期技術 土木・建築分野が核に

 2台の端末のクロックを無線通信で相互に同期し、信号の伝搬時間から距離を導き出せる、情報通信研究機構(NICT)の「WiWi」技術。この技術の用途を開拓し、世の中に浸透させ、世界標準にしようというのが「時空計測」プロジェクトである。

 本プロジェクトの説明会が開催されたのは、2019年8月30日。申込者数は定員24人の2倍に近い46人だった。土木、建築、化学、印刷、電機、IT、自動車、道路など、幅広い業界からの申し込みがあった。あまりの盛況ぶりにいつも説明会を開催する東京・半蔵門のシステム・インテグレーションでは入りきらず、急遽、東京・虎ノ門にある日経BPの大会議室で実施することとなった。

 同年9月27日には、説明会に参加したメンバーに対して事業検討会を開催した。説明会での意見を集約し、今後の進め方を提案する場である。ここでは、まずは参加者がWiWiの技術を学びながら、実験などを通じてその用途を開拓し、ビジネスの方向性を決定することを、事務局から提案した。

 この提案に賛同した参加者で、11月からリアル開発会議を開催している。メンバーは、土木会社、建設会社、電子機器メーカー、電子部品メーカー、素材メーカーなどである。この顔ぶれから推察できるように、土木分野で使いたいという声が多いが、工場や建築などでのニーズもあり、また、それを支える電子機器、部品メーカーもいることから、バランスのいい布陣といえる。

 今後はメンバー全員で使いどころと、技術的な課題を探り、ブラッシュアップすることで、新発想の製品やサービスを世に送り出したい。

開発No.035 スーパー蓄光
蓄光塗料を使い新たなプロダクトを開発へ

 水性で、蓄光能力が高く、対候性を備える蓄光塗料。この塗料の新たな使い道と、これを核にしたビジネスを皆で作り出そうというのが「スーパー蓄光」プロジェクトだ。

 一般に蓄光材料は、水に弱く、フィルムなどに包まれたシートで提供される。塗料の場合は、有機溶剤の油性塗料として提供されてきた。水性の塗料として使えることで、屋外、屋内など場所を気にせず、思いのままの形状に対して塗ることができる。

 本プロジェクトの説明会は、2019年9月17日に開催された。蓄光塗料のメーカーに加え、オフィス設計会社、印刷機器メーカー、道路メンテナンス会社、公園設備メーカー、素材メーカーなど、多彩なメンバー30人が参加した。説明会では、事務局からの説明の後に、参加者に自由な発想で議論してもらった。参加者からは防災分野に使えるのではないかという声が多く出た。特に、興味深かったのは、蓄光が鳥獣被害対策に使えるという話だ。蓄光で作った狼のような目を糸で垂らすだけで、シカやイノシシを近づけないようにできるという。

 同年10月16日には説明会に参加したメンバーに対して、事業検討会を開催した。ここでは、試料の提供によって各社で蓄光塗料を使った開発品の検討をしてもらうとともに、全員が集まる開発会議での議論や共同実験などによって、開発品を決定していくことを事務局から提案した。

 現在、蓄光塗料メーカーを含めた6社が定期的に集まり、開発会議を重ねている。今、主に検討しているのは旧来の技術と蓄光塗料の掛け算によって生まれる新しいプロダクトである。そのアイデアを現時点では残念ながら明らかにできないが、遠くない未来に披露できるように活動していきたい。

番外編 第1期宇宙ビズラボ
衛星再利用構想で参加者がビジコンの栄冠

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)新事業促進部の協力の下、宇宙ビジネスを異業種で創出する「第1期宇宙ビズラボ」を2019年2月~3月に開催したことは前号で報告した通りだ。

 この活動に新たな動きがあった。宇宙ビズラボに参加したJAXA職員の市川千秋氏が宇宙関連スタートアップの登竜門である「S-Booster2019」に応募し、2019年11月25日の最終選抜会で見事、JAL賞の栄冠を勝ち取ったのだ。S-Boosterは内閣府宇宙開発戦略推進事務局が主催し、内閣府、JAXA、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)および7社のスポンサー企業で構成される委員会によって運営されるもので、受賞者は、JAXAや企業の支援が受けられる。

 市川氏が企画した「Satellite Re-use Market」は、運用予定年数を超えた人工衛星を中古衛星として流通させることで、利用者の衛星保有・利用のハードルを下げ、衛星の利活用を促進するというもの。人工衛星は耐用年数に余裕をもって打ち上げられるため、実用上問題のない衛星が運用予定期間を過ぎた後、使われなくなることが少なくない。運用予定年数と、実際の耐用年数の時間差をビジネスにしようという秀逸なアイデアだ。

 元々の着想は、宇宙ビズラボの議論で生まれたものだが、宇宙ビズラボ終了段階では、「衛星のリサイクル」というぼんやりしたものだった。それを市川氏が磨き上げ、宇宙ビズラボの同期や知人の支援を受け、すばらしいビジネスプランに仕立て上げた。今後、JALやJAXAなどの支援を得ながら、事業化につなげていくとのことだ。

 なお、宇宙ビズラボに参加したメンバーからS-Boosterに市川氏以外にも2チームが応募をしたが、こちらは予選も通らず、あえなく撃沈した。