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Re-Innovate Japan第1回会員向け勉強会レポート

2020年11月10日、本フォーラム会員に向けた第1回勉強会を Microsoft Teams 上で開催。「中小企業がITを経営の力にするために」というテーマで、講師に特定非営利活動法人ITコーディネータ協会会長の澁谷 裕以氏を迎えた。澁谷氏はそこで、中小企業の現状やデジタル活用の課題を提示。いかなる考え方でITを経営の力としなければならないか解説していった。講演後も会員からさまざまな質問が行われ、ITを活用して生産性向上や売上向上を目指すために、経営者やITベンダーが取り組むべきことについて、活発な議論が行われている。

「大変厳しい状況」日本の中小企業の現状と課題

特定非営利活動法人ITコーディネータ協会
会長
澁谷 裕以 氏

最初に「日本の中小企業は大変厳しい状況に置かれていますが、その中で少しでもITを経営の力として生産性を高め、成長してほしい。必ず実現しなければならないと考えています」と話す澁谷氏は、中小企業庁の『2018年度版中小企業白書』を示しながら、2009年あたりから大企業と中小企業の労働生産性の差が開いている事実を説明する。浮き彫りとなったのは、中小企業がITを経営の力として活かせていないこと。2018年時点で、中小企業の労働生産性は大企業の4割にしか満たないという。中小企業ではさらに、経営者がこの20年間変わっていないことも明らかに。2015年から2025年の間で、中小企業経営者の平均退任年齢の70歳に達する経営者は58.7万人に達するという。後継者不在を理由に、業績が好調でも廃業せざるを得ない現状がそこにはある。

それではITを経営の力とするには何をすべきか。澁谷氏によると、以下4つのステップが必要だという。

中小企業の大部分がITを売り上げ拡大の段階まで活用できていない

中小企業の8割は1段階目「作業の効率化」のステップに留まっており、その次へ上がるまでに大きな隔たりがあるという。多くの中小企業では Excel を用いた業務効率化などは行っているが、そのデータは往々にして他と連携していない。会社全体で仕事の進め方(プロセス)がデザインされてなければ、経営者も仕事の内実を知らず、興味も持っていない。「この状態では中小企業のデジタル化が進むどころか、その土俵にも立っていない場合が多い」と澁谷氏は話す。

仕事のプロセス最適化に基づいたIT活用。この2段階目のステップに進み、ITを経営の力にできる経営者にはいかなる特長があるか。澁谷氏は3つ要素を上げた。「中長期的な視点」、「全体最適の視点」、そして「コミュニケーションの重要性への認識」だという。「10年後にこうなりたいというビジョンを持って、そこに向けた投資を行うこと。担当者任せにせず、経営者が業務プロセスを全体最適の視点で変革させること。そして社員同士や社外の専門家と対話して、楽しく活性化する必要があります」(澁谷氏)。

10年先を見据えた投資を。業務プロセス改革成功事例

中小企業1万1000社の生産性変化を調べた統計/分析が掲載された中小企業白書2018によると、「効率的成長」を果たせる企業では10年先を考えた投資が活発という。また大きく労働生産性を向上させている企業は、業務の見直しを個々の従業員レベルではなく、全社単位で行っている。

最初の大きな一歩は、経営者がビジョンを打ち出して社員の意識を変えていくことだ。ここでキーとなるのは「5年先、10年先、どのような会社になりたいか?」という思考。システム開発や導入を行う前に、以下の5つの工程をITコーディネーター(ITC)と対話しながら、丁寧にたどることが重要と澁谷氏は語る。

「①中長期経営ビジョンの策定」「②経営ビジョンに照らした経営課題認識」「③現状の「見える化」&現行業務プロセスの分析」「④あるべき業務プロセスの策定&IT活用領域の特定」「⑤ITベンダーに対する提案依頼書の作成」の5工程がITを経営の力とする

続いて澁谷氏は実際に業務プロセス改革に乗り出した企業の事例を紹介。ある中小運送会社では、半導体・液晶装置の搬入から設置工事までを行うようになってから、一般貨物自動車運送業ではトップクラスの利益率を実現していた。

経営者に「10年先、どのような会社になりたいか?」と問いかけたITCは、現状のサービスと市場、新サービスと新市場をマトリクスで思考することを勧めた。すると地域から全国、海外への展開を視野に入れたいことや、倉庫業も行って総合物流業者を目指したいというビジョンが引き出された。ITCのこの質問が、経営者の仕事の進め方に対する問題意識を引き出したという。

成果を生み出すための、入念な「助走」

まず課題となったのは、7つある部門が違うやり方で業務を行い、すべて紙と人手で行われていることだった。それぞれのやり方を経営者夫婦は把握していないことから、ITCは、中核となる部門で受注や配車を行っている常務と課長から聞き取りを行い、業務フローを作成していった。

さらにITCはクラウド上にシステムを構築することを提案し、あるべき業務プロセスを策定。ITベンダーに対してのRFPを作る前に効果を試算し、どの程度の費用をかけられるかを知ることで、ITベンダーの提案の良し悪しを判断しやすくなることを経営者に提案している。これにより担当の課長や事務員4名の業務量が少なくとも2割削減でき、人と車の稼働状況がリアルタイムで分かるようになった。これにより稼働率が上がり、6~10%の売上向上が見込めるという。

約7カ月かけて行われた本プロジェクトのうち、前述の「①中長期経営ビジョンの策定」や「②経営ビジョンに照らした現状の課題認識」に2~3か月の時間を費やしている。これらの「助走」に十分な時間をかけて経営者が基本的なスタンスを整理したからこそ、その後の工程をスムーズに進められたというのだ。

「中小企業がITを本当に経営の力として活かせるようになるには、粘り強い伴走型の支援が必須です。見えない工程への投資はなかなか難しい。会員の皆さんには、ぜひこのような支援に一緒に乗り出してほしいですね」(澁谷氏)

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