Re:Innovate Japan 滞りのない未来を創造するために

Re-Innovate Japan TOP

活動実績

Re-Innovate Japan 5月31日実施 座談会レポート

本フォーラム会員に向けた5月31日実施の勉強会では、『DXサーベイ2』で行った日本企業865社に対するデジタル化実態調査結果を基に、日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボの戸川 尚樹が顧客企業の取り組みを分析。その結果から、ITベンダーが今の時代、そしてこの先に求められるものは何か、考察を深めた。

3つのうち顧客に何を提供するのか、ITベンダーが整理すべきこと

日経BP 総合研究所
イノベーションICTラボ
所長
戸川 尚樹

戸川は最初にDXを4つに分類。「新市場への参入/新製品・サービスの創出」「既存製品・サービスの強化」「業務プロセスの標準化、業務の超自動化」「テレワークの推進、ペーパーレス化・ハンコレス化」だ。このような顧客企業のDXにITベンダーが提供するサービスとして、「技術の提供」、と「変革パートナー」、「事業パートナー」の3つがあるという。「ITベンダーは、自社が顧客に対して何を提供でき、どう振る舞うべきかを整理する必要があります」(戸川)。

ここから調査結果を報告。DXの推進状況については、「積極的に推進している」企業は12.8%。「少しは推進している」が34.4%と最多だが、「あまり・全く推進していない」を足すと52.0%と半数を超え、まだまだ取り組みは進んでいないという。

顧客企業がDXに取り組む目的は、「業務の自動化/効率化」が72.2%、「働き方改革による生産性の向上」が58.8%と際立って多い。「既存製品・サービスの強化」「新しい製品・サービスの創出」が続くが、30%前後と上位2項目との間には大きな開きがある。ITベンダーにとっての当面の商機は、業務の自動化/効率化を支援する領域にあるといえそうだ。

顧客が重視しているDX関連技術・ソリューションについては、1位から「ウェブ会議」「クラウド」「データの収集・分析」という順番になった。重視度ランキングでは、「導入率が低かったAI/機械学習が5位、導入率最下位だった5G(第5世代移動通信システム)が11位で、その期待の大きさがうかがえます」(戸川)という。

自社の強みを明確にして、キーパーソンに直接提案営業

DXの事例もいくつか紹介した。

1つめは、既存の基幹系システムをスリム化して継続利用し、そこにクラウド型の新基幹系システムをアドオンした事例だ。ハイブリッドで構築し、2025年の崖問題を回避した。

2つめはデータ活用基盤の整備と人材育成の取り組みだ。「データ基盤整備と同時に人材育成に取り組む企業が増えています。データ活用システムの構築と同時に人材育成プログラムを提案することは、ITベンダーにとっての商機になるでしょう」(戸川)。

このほか、AIを活用した営業DXや、API連携、ローコード開発、ゼロトラストに関する先進事例を紹介。これらの領域について、顧客企業はITベンダーに対して期待していることを強調した。

「現在、事業強化につながるアプリケーションは現場で素早く作ることが求められており、その時にローコード開発は有効です。『ローコード開発が進むと自分たちの仕事がなくなるのでは?』とITベンダーの幹部に聞かれることもありますが、このような顧客ニーズに乗って、いかにビジネスを成長させていくべきかを、早めに考え、実行に移すことが大切でしょう」。こう戸川は指摘する。

最後に戸川はこう締めくくった。「新型コロナでWeb面談が常態化したことから、キーパーソンへのダイレクト営業がしやすくなっているという話を耳にすることが増えました。提案力・営業力を磨けば、商機が広がっているという見方もできそうです。こうした機会を逃さないためには、自社の強みを再確認して、それを顧客に分かりやすく伝える努力が大切になると思います」。

新型コロナで状況が変化、顧客に再提案する手も

続けて質疑応答が行われた。日経BP総合研究所 イノベーションICTラボ 上席研究員 大和田 尚孝、日本マイクロソフト パートナー事業本部 パートナー営業本部 業務執行役員統括本部長 野中 智史氏が質問をした。

大和田:IT企業のDXが大事というお話がありましたが、実際IT企業のDXは進んでいるのでしょうか。

戸川:私見ですが、遅れているように思います。データを駆使して意思決定を速くするといったカルチャーが醸成されている日本企業は、まだ少ないでしょう。労働力不足が加速する中、DXで業務を変革することはますます重要になります。最新技術を駆使するだけがDXではありません。その会社にとって必要なことを洗い出し、実践して成果を出す。そしてその成果を顧客と共有すること。これらが信頼につながります。

大和田:最近目利きのユーザーは、得意技を持ったベンチャーと組み始めている印象があります。中小のITベンダーにとっては商機とみていいのでしょうか。

戸川:規模に関係なく、「技術力がある」、「特定の領域に強い」といった中小のITベンダーは今後も仕事が増えるでしょう。今うまくいっていないとしたら、そのITベンダーは「得意技が不明瞭」という課題を抱えているのかもしれません。

野中氏:DXが進むと思う会社のポイントは何ですか。

戸川:リーダーの存在です。中堅中小企業なら社長ですね。中堅中小企業の案件を獲得するためには、社長と仲良くなるしかありません。そこで求められるのは対話能力です。慣れていないと難しいかもしれませんが、トライし続けて、上手くなるしかないでしょう。

大和田:DXは継続しそうでしょうか。

戸川:DXという言葉がどれだけ長く利用されるのかはともかく、デジタル投資、IT投資は着実に増えていくでしょう。ただ、コモディティ化が進みカスタムメイドのSIビジネスは縮小傾向にあります。以前から指摘されているとおり、ITベンダーは自分たちの強みをきっちりと把握して、さらに得意技を磨き続けなければ、生き残ることは難しいでしょう。逆にそれができれば、成長の可能性は大いに高まるわけです。

大和田:お話を聞いていると、IT企業にはチャンスだと感じます。

戸川:はい。やり方次第で、チャンスは広がるでしょう。コロナ禍で顧客企業の状況は、以前と変わりました。こうしたことを踏まえ、以前、失注した顧客企業を、再度訪問して提案してみるといった取り組みも良いかもしれません。こうした地道な活動で商機をつかめるかどうかが大切ではないでしょうか。

会員入会を検討される方 フォーラムに関するお問い合わせ COVID-19 による困難をのりこえるために

おすすめコンテンツ

常態化する在宅勤務に心身むしばむリスク、腰痛は最大1.5倍・メンタル不調も

常態化する在宅勤務に心身むしばむリスク、腰痛は最大1.5倍・メンタル不調も

こだわりの仮想オフィス、会話のしづらさやアイデア出しは簡単操作で解決

こだわりの仮想オフィス、会話のしづらさやアイデア出しは簡単操作で解決

解放的な「3次元仮想オフィス」で働く、出社の感覚高めテレワークの閉塞を打破

解放的な「3次元仮想オフィス」で働く、出社の感覚高めテレワークの閉塞を打破

日本の働き方に向く2次元仮想オフィス、「仲間と一緒」感が孤独や遠慮を解消

日本の働き方に向く2次元仮想オフィス、「仲間と一緒」感が孤独や遠慮を解消

リクルートが2万人のテレワーク、チャット活用で経営の意思決定を加速

リクルートが2万人のテレワーク、チャット活用で経営の意思決定を加速

MSDが3000人規模で在宅勤務、働き方の課題をアジャイルで解決

MSDが3000人規模で在宅勤務、働き方の課題をアジャイルで解決

在宅勤務8割が生産性向上したランクアップ、カギは人事と会議の大改革

在宅勤務8割が生産性向上したランクアップ、カギは人事と会議の大改革

三井不動産が緊急事態宣言中に社員9割超を在宅へ、陰に新基幹システムあり

三井不動産が緊急事態宣言中に社員9割超を在宅へ、陰に新基幹システムあり

アフラック生命保険、デジタル化したアジャイルな働き方は「コロナ禍でも強力」

在宅勤務5000人、アフラック生命保険のツール導入支援はここまでやる

在宅勤務5000人、アフラック生命保険のツール導入支援はここまでやる

在宅勤務5000人、アフラック生命保険のツール導入支援はここまでやる

接客ロボ、なぜ導入しない?星野リゾート代表が追究するデジタル活用の本質

接客ロボ、なぜ導入しない?星野リゾート代表が追究するデジタル活用の本質

業績絶好調のワケは?ワークマン社長が明かす「データ経営」の極意

業績絶好調のワケは?ワークマン社長が明かす「データ経営」の極意

無理解な経営者がテレワークを阻害、1000人超から不満が噴出した理由

無理解な経営者がテレワークを阻害、1000人超から不満が噴出した理由

デジタル技術どう生かす?日本生命の清水社長が明かす生保ビジネスの変革術

デジタル技術どう生かす?日本生命の清水社長が明かす生保ビジネスの変革術

ハンコ書類や同僚との対話、テレワークを阻害する5大要因

ハンコ書類や同僚との対話、テレワークを阻害する5大要因

デジタル施策で成果を連発、アフラックCIOが明かすDXの秘訣

デジタル施策で成果を連発、アフラックCIOが明かすDXの秘訣

IT人材の「東京一極集中」にどう挑む?広島県知事が挑む地方発のDXとは

IT人材の「東京一極集中」にどう挑む?広島県知事が挑む地方発のDXとは

テレワークで生産性は下がったのか?3000人が明かした本音

テレワークで生産性は下がったのか?3000人が明かした本音

保険契約の変更業務から紙をなくし自動化、アフラックが採用した3つの技術

保険契約の変更業務から紙をなくし自動化、アフラックが採用した3つの技術

「私が見るのは3つ」、マイクロソフトのナデラCEOが語るリーダーの条件

「私が見るのは3つ」、マイクロソフトのナデラCEOが語るリーダーの条件

テレワークを利用していない、突出して多かった2つの理由

テレワークを利用していない、突出して多かった2つの理由

ビジュアルIVRや営業支援AI、アフラックが顧客接点もデジタルで変革

ビジュアルIVRや営業支援AI、アフラックが顧客接点もデジタルで変革

「時価総額など忘れよ」、マイクロソフトのナデラCEOが社員に伝えていること

マイクロソフトのテクノロジー×パートナーの業務専門性が企業の成長を支え、日本社会の発展につながる

テレワーク利用が進まない業界、3000人調査で判明

マテレワーク利用が進まない業界、3000人調査で判明

研修参加も本社の仕事も地方からできる、アフラックの一歩先行くテレワーク

研修参加も本社の仕事も地方からできる、アフラックの一歩先行くテレワーク

本内容については変更する可能性があります。
詳細については適宜お問い合わせください。