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文部科学省 令和3年度 委託事業
「専修学校による地域産業中核的人材養成事業」における受託団体の取り組み事例集

専門学校・高等学校連携による
中核的IT専門職人材の
加速型育成プログラムの開発・実証

学校法人京都コンピュータ学園 京都コンピュータ学院京都駅前校

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6年を5年に――
高専一貫によりIT人材育成を加速化する

高専接続プログラムに取り組むことになった背景と課題

 近年、IoTやAI、ビッグデータなどのデジタル技術の急速な進化により、ビジネスモデルや産業構造は大きく変化しようとしている。しかしながら、ITに対する需要が今後ますます高まることが見込まれている中、IT技術者は慢性的に不足しており、それがDX推進を阻む一つの要因となっている。今後生産年齢人口が減少していくわが国が国際競争力を維持・向上していくためには、人口の減少を補うDXへの取り組み強化は不可欠であり、それを支える「IT分野を専門とする中核人材」の確保は喫緊の課題である。

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 IT人材が大きく不足している理由の一つとしては、ITの教育システムの不整備を挙げることができる。現状、IT技術者を目指して高等学校のIT系専門学科で学ぶ生徒は、優秀であってもIT企業が高卒人材をほとんど受け入れていないため、専門学校や大学への進学が必要となっている。ところが、進学先の専門学校・大学では普通科高校等を卒業した学生と同一カリキュラムで初歩からの学習をしなければならず、高等学校の専門学科で早くから学習した優位性が生かされない。また、大学において行われる技術教育は、学問としての学びが中心で実務に直結しないことが多く、高等学校から専門的な学びをはじめ、早く技術者として活躍したいと希望する層のニーズを満たしていない。結果、モチベーションの低下につながっている。

 以上の問題を解決し、IT技術者の慢性的不足という社会課題を解消するためには、早期から将来のキャリアを見据えた教育を効率的かつ効果的に実施することが必要である。本事業では、職業系専門学科を有する高等学校と集中的に技術教育を行う専門学校が連携し、効率化された一貫カリキュラムを開発・実施することにより、技術系分野の教育を加速させて、これからの日本のIT分野を牽引する中核的IT専門職人材を短期間により多く育成することを目指す。それは喫緊のIT技術者育成課題の解決のみならず、我が国の長期的技術者育成政策を確立するための重要な足掛かりとなるはずである。

課題を解決するためのプログラムと成果指標

 IT系分野の教育を加速するため、職業系専門学科を有する高等学校(京都府立京都すばる高等学校(京都すばる高校))と専門学校(京都コンピュータ学院京都駅前校(KCG))が連携して、「専門学校・高等学校連携による中核的IT専門職人材の加速型育成プログラム」を開発し、高専一貫カリキュラムで効率化を図る。本プログラムでは、高校在学中に学習した技術系科目の多くが専門学校においても基礎的な科目としてカリキュラムに含まれている点に着目し、シームレスな一貫カリキュラムを構築することでその重複を取り除く。具体的には、京都すばる高校で3年間で履修する専門科目は、KCGのカリキュラムのほぼ1年分の学習内容に相当するので、一貫カリキュラムを実施した場合、KCGの3年課程の学習内容が2年間で修了可能となる。本プログラムの学生にとっては1年間の時間節約、1年間のコスト(学費、生活費など)節減となり、社会的には中核的IT技術者育成の加速化が実現する。

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 ただし、専修学校設置基準の定める卒業要件に関する現行の規定では、まだ短縮学修制度(早期卒業制度)が認められていないので、一貫カリキュラムによって短縮した分の1年間はIT企業での有償インターンシップにあてる(IT企業の協力の下、インターンシップカリキュラムをKCGが組んで対応)。これにより、専門的な技術力に加え、専門学校在籍中に十分な実務能力を身につけることが可能となり、即戦力となるIT人材の早期育成を実現する。また、短縮学修制度が認められた場合は、3年課程の修了資格・専門士の称号を2年で取得し就職、4年課程の終了資格・高度専門士の称号を3年で取得して就職する。

 カリキュラムの内容は、大学の学部課程のIT専門課程を対象とした「米国の計算機学会 ACM IT カリキュラム2017版」を参考に設計する。このカリキュラムの特徴は、たんに知識だけを教えるのではなく、技術者の能力は3種の素養「知識+スキル+人間力」の総合力で測るべきとし、コミュニケーション能力や人間性を重要視しているところにある。

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米国の計算機学会 ACM (Association for Computing Machinery) IT カリキュラム2017版

 また、日進月歩で進む技術革新にキャッチアップするために、AI(人工知能)技術とそれに関連するデータサイエンス分野の科目を重点的に導入・補強する。

 加えて、国際レベルの技術者を育成するために、専門分野に特化した英語力を習得できるような外国語科目を導入する。最先端の情報技術の大部分が英語圏で開発されるものであり、その技術導入に際しては、膨大な英文マニュアルや最新の技術動向を伝える英文業界誌などを読みこなす語学力が要求され、さらには外国企業と直接情報交換することも想定されるからである。

 一方で、本事業コンソーシアムに参画する日本ユニシスなど大手IT企業との連携教育も充実させる。IT企業の見学会やエンジニアとの交流会などを課外活動として実施し、そこで「自分が今学んでいることが将来社会の役に立つ」という実感を生徒・学生が得ることによって、学習意欲の向上や職業意識の醸成を図る。これについては、若者の離職理由として最も多い、「自身の希望と仕事内容のミスマッチ」を防ぐ方法として注力する。

 事業推進にあたっては、京都コンピュータ学院京都駅前校、京都府立京都すばる高等学校、京都府教育庁指導部高校教育課、日本ユニシス、一般社団法人京都府情報産業協会からなる「産官学連携コンソーシアム」を設置する。この中で、日本ユニシスは、産官学連携コンソーシアム会議に出席してIT業界で求められる人材像について大手IT企業の視点で助言を行うほか、現役のITエンジニアによる講義や生徒・学生の個別指導によるさまざまな研究・作品制作、イベント企画などを行う。

 開発プログラムのゴールは、本プログラムの修了者が早期から生涯にわたってIT業界で活躍し続けることである。従って、本プログラムへの志望者を増加させ、将来を見据えて学習を継続し、専門学校卒業後に本人が希望するIT業界に就職することが、重要なアウトプットとなる。そのKPIとして、以下を令和8年度の目標に設定する。

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 また、全国の情報学科やIT系学科を有する高校・情報系専門学校への開発プログラムの公開と研修会の実施などによる活用促進、全国のIT関連企業への事業報告とそれによる認知度の向上、本プログラム参加の卒業生の就業状況の追跡・調査などを行い、成果を活用していく。

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