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文部科学省 令和3年度 委託事業
「専修学校による地域産業中核的人材養成事業」における受託団体の取り組み事例集

地域産業のデジタル化を担う
中核的人材養成プログラム開発事業

学校法人宮崎総合学院 宮崎情報ビジネス医療専門学校

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地域IT産業のニーズにマッチする高度なIT人材の養成

高専接続プログラムに取り組むことになった背景と課題

 デジタル化の進展に対応して、宮崎県では令和4年4月から商業高校(情報系学科)の学科が改編され(経営情報科から情報ソリューション科へと改編)、それに伴ってカリキュラムが高度化される。

 システム系については、従来のプログラミング等に加えて、AI、データサイエンスなども高校段階でカリキュラムに導入され、プログラミング言語としても高校1年時からPythonが取り入れられるのである。このカリキュラムの高度化に合わせて、教員のレベルアップが高校の課題となっている。専門学校でも、AI、データサイエンスなどの指導ノウハウが不足している部分があり、また、企業サイドの新しい動き、新しい技術、新しいニーズを掴み切れていない面もある。同時に、かねてから専門学校段階でプログラミングに拒絶反応を起こす学生が一定数いるという課題も抱えている。

 クリエイティブ系については、学科改編を機にハイスペックパソコン、クリエイティブ系ソフトが導入される。それに伴い、商業高校(情報系学科)ではクリエイティブ系科目(コンテンツ分野)の充実が図られようとしている。しかし、これまで高校段階ではクリエイティブ系の教育機会が少なく、指導ノウハウもあまりないのが実情である。専門学校でも、令和4年度からは企業の協力を得て、実際の仕事を模した環境での課題を設定したり、インターンシップを通じて、より実践的な経験を積ませるなど実習・作品制作中心のカリキュラムへシフトし、指導内容を充実する方針である。

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 本事業では、これらの課題を解決するために、高校段階、専門学校段階でそれぞれ習得すべき内容を企業の支援のもと整理した上で、高校から専門学校までの一貫した5年間の教育プログラムのモデルを開発する。高校と専門学校が連携すれば、例えば、プログラミング学習においては5年間かけてじっくり学ぶことができるので、プログラミングで挫折する学生の減少が期待できる。また専門学校は、高校教員の研修や専門学校教師による特別授業の開催、高校段階での教育プログラム開発支援などによって高校をサポートするほか、企業と高校の間に入って、企業側のニーズを高校生に対してわかりやすく伝えていく役割をはたすこともできる。さらに、最終的に人材を受け入れる地域IT産業にとっても、ニーズにマッチする先進的で高度なスキルを身に付けた人材の確保につながる。このようにして作る「県内で育った人材が県内の企業で働く」という流れは、県外への人材流出という行政課題の解決を目指すものでもある。

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課題を解決するためのプログラムと成果指標

 本事業では、専門学校と高校、企業、行政との連携をより一層深め、「職業教育コンソーシアム」を組織し、「地域産業のデジタル化を担う中核的人材養成プログラム」を構築して、将来を見据えた職業教育の充実・発展を図る。

 開発する高専一貫の教育プログラムは、「システム系」、「クリエイティブ系」、「共通」という3つの柱に分け、「システム系」、「クリエイティブ系」については、高校では基礎的内容、専門学校では応用的内容とし、「共通」については、高校では職業意識醸成やキャリア教育、専門学校では実践的な能力養成等とする。

<システム系>
DXの中心であるAI、データサイエンス及びプログラミングに力点を置く。
高等学校のカリキュラムは、専門学校や企業がサポートする。
専門学校では、これまでは情報処理の国家試験対策が中心だったが、企業から非常勤講師を派遣し、最近の動向や新技術を取り入れた実践的な授業を行うことで、即戦力になる人材を育成する。

<クリエイティブ系>
Web制作及びCG・映像制作などの教育の充実。
高等学校については、これまでハイスペックなパソコン等の教育環境もなく、教員もCG等を教えた経験がほとんどなかった。専門学校については、これまでクリエイティブ系のコースでは、情報処理科目の比重が比較的高く、クリエイティブ系本来の科目の時間数が少なかった。これらについて、専門性の高い外部講師の活用やクリエイティブ系本来の科目を増やすことで強化する。また、高校段階での教育機会が少ないクリエイティブ系進路へのフォローを行う。

<共通>
職業意識や企業人としての基礎的素養やビジネススキルを育む。
専門学校は就職先でもある企業とのつながりが深いが、本校で実施した高校生アンケートでは、商業系の高等学校の場合、情報系の学科があっても、その分野の進学・就職希望者の割合は約24%と低く、システム系やクリエイティブ系の企業とのつながりもあまりない。企業との連携を深め、その支援のもとに、企業人としての基礎を涵養する。

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さらに、事業を推進する「職業教育コンソーシアム」では、行政機関と企業は以下の役割を担う。

<行政機関(高等学校所管の宮崎県教育委員会高校教育課と専修学校所管の宮崎県みやざき文化振興課が参画)>
・本事業推進に関する支援、助言
・特に県教育委員会については高校での教育プログラムに関する助言

<企業>
・企業として求める人材像の整理
・高校、専門学校への人材養成に関する要望整理
・スキルマップ作成に対する支援(企業視点からの助言等)
・教育プログラムの開発に対する支援(企業視点からの助言等)
・教育プログラムの実証段階等における高校、専門学校への非常勤講師派遣

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 本事業の最終的なゴールは、「企業が求める人材をどれだけ輩出できたか」にある。それを前提として、高等学校については「授業の理解度の向上」と「進路の明確化」を、専門学校については「授業の理解度の向上」を指標の中心に捉えていく予定である。以上を踏まえて、将来、IT関係またはクリエイティブ関係の職業に就職したい割合(高校生アンケート)、システム系・クリエイティブ系企業から専門学校への県内求人数、専門学校におけるG検定の合格者数・合格率(G検定:一般社団法人日本ディープラーニング協会によるディープラーニングの基礎知識や活用に関する試験)、専門学校1年次後期における基本情報技術者の合格率、高校におけるITパスポートや情報セキュリティマネジメントの合格率、専門学校における退学者数、高校生・専門学校生のプログラミングに対する意識の変化(高校生・専門学校生アンケート)などを検討し、KPIとする予定である。

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