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文部科学省 令和3年度 委託事業
「専修学校による地域産業中核的人材養成事業」における受託団体の取り組み事例集

多分野での高・専連携を実現する
一貫型職業教育プログラムの開発・実証

一般社団法人 沖縄専門人材開発研究会

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専門学校進学率の高い沖縄県で、
4分野、複数校の高・専連携モデルを構築

高専接続プログラムに取り組むことになった背景と課題

 沖縄県では、高校卒業後の進路として専門学校を選択する生徒が多い。専門学校進学率は24.1%で、これは全国平均の16.4%よりも7.7ポイント高く、都道府県別でも新潟県の26.0%に次いで2番目に高い。また、大学進学者(大学進学率は約4割)の半数近くが県外の大学に進み、その多くが首都圏や関西圏を中心に県外で就職するのに対して、専門学校に進学する生徒は県内で就職するケースが多いという特徴もある。

 一方で、少子高齢化が加速する中、沖縄県は全国でも数少ない人口増加県であり、国内で最も65歳以上の高齢者人口が少なく、14歳以下の年少人口の割合が高い県である。沖縄県企画部の推計によれば、2016年の高校卒業生は14,234人で、その人数は2033年までほぼ横ばいで推移するものと見込まれている。このような人口動態予測について、県が策定した「沖縄21世紀ビジョン基本計画」の中間評価では、「沖縄県は潜在的な成長性を有しており、今後の沖縄の発展にとって若い世代の育成は極めて重要」と指摘している。

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 以上を踏まえると、専門学校が沖縄県・地域に果たす役割は大きく、その重要性は今後も増していくものと考えられる。専門学校は、地域の発展に貢献できる人材を育成する高等教育機関として、職業教育のさらなる充実化に取り組んでいかなければならない。

 専門学校教育のさらなる充実化を図る上で、重要な課題の1つが学生の「中途退学の回避」である。学生が中途退学する理由・原因は様々であるが、第一にあげられるのは、職業・職種の仕事内容やその専門分野を適切に理解・認識できていない「職業・職種の理解不足」による進路選択のミスマッチである。専門学校での学習は特定の職業・職種に就くことを目的としているため、入学生の多くは目的意識や就職意識が比較的明確であるが、職業・職種に対して理解不足、あるいは誤解を抱いたまま入学してくるケースも少なくない。

 また、専門教育課程での学習についていけないという「学業不振」によって中途退学する学生もいる。専門学校での学びは高校3年間での学びを土台として積み上げていくところが多いため、高等学校での学びの基礎がしっかりできていない学生が専門学校で学業不振に陥るというケースが多々見受けられる。例えば、情報技術系の専門学校では、高等学校で履修する数学の一部が土台となる。あるいは美容の専門学校の場合は化学が必須となっているなど、高等学校の授業の一部と専門学校の専門的な学習には連続性があり、高等学校での勉強がおろそかであると、それが要因となって学業不振になってしまうのである。

 これらの諸課題を解決するためには、高等学校と専門学校が有機的に連携して取り組むことが有効だと考えられる。専門学校進学率が高い沖縄県では、これまでも、多くの専門学校が「高校向けの出前授業メニュー」を実施するなど、高等学校と連携してきた様々な実績があり、良好な信頼関係が築かれている。本事業では、これを基盤とし、さらに一歩踏み込んだ有機的な高・専連携を構築。両者が密に連携した3年+2年の一貫型職業教育を実践し、地域社会の発展に貢献できる専門職業人材の育成強化を目指す。

課題を解決するためのプログラムと成果指標

 本事業では、「商業実務/ビジネス」「工業/情報技術・自動車整備」「衛生/美容」の専門学校が、専門高校や普通高校等および企業と連携してトータル5年間の『多分野での高・専連携を実現する一貫型職業教育プログラム』を開発・実証し、沖縄モデルを構築していく。

 多分野での高・専連携は、高校生が柔軟に進路を選択できる余地を拡大することにつながるとともに、他分野の参画における受け皿としてのモデルとなり得る。

 一貫型職業教育プログラムでは、各専門分野の特性や学習内容、目標となる人材像など分野に特化したカリキュラムを開発すると同時に「高校1年次の共通的なキャリア教育」など分野横断的な内容も開発する。

 これにより、「専門基礎」から専門学校での「応用・実践」までを系統的に学修する一貫型職業教育プログラムを実現する。

 また、それを実施するための『一貫型職業教育支援プラットフォーム』を構築し、支援する体制を整備していく。

<一貫型職業教育プログラム>
 高校専門学科段階では、専門基礎として教育プログラム(カリキュラムや教材等)を各学年で段階的に提供する。専門学校段階では、専門知識・技術を学ぶ正規カリキュラムに加えて、専門職業人としての人間力や職業意識等を培う。以下は、想定される実施イメージで、実際には、各高等学校および専門学校・企業で協議を行い、具体的な実施内容を調整する。

・高校1年生:職業キャリア学習(分野横断・共通)
→ワークショップ、卒業生・企業人らの講演等も行う
・高校2年生:基礎学力と専門知識・技術(分野別)
→問題解決型学習PBL、資格・検定取得のためのeラーニングなども行う
・高校3年生:専門職業人の基礎(分野別)
→専門学校生徒の協働演習、卒業生・企業人との交流なども行う
・専門学校1年生:専門職業人としての人間力(分野別、共通)
→ケーススタディ・問題解決型学習PBLなどデュアル教育も行う
・専門学校2年生:専門職業人としてのプロフェッショナリズム(分野別、共通)
→ケーススタディ・問題解決型学習PBLなどデュアル教育も行う

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<一貫型職業教育支援プラットフォーム>
 一貫型職業教育プログラムを機能的で柔軟性をもって実施するために、生徒・学生、教員・実務者の協働を支援する一貫型職業教育支援プラットフォームをクラウド環境上に構築。このプラットフォームにより、教員による個別対応・指導を充実化させ、生徒・学生の学びをサポートする。

・eラーニング機能と学習コンテンツ
 対面授業のテキストに加えて、分野共通・専門分野別に学習コンテンツ(eラーニング教材)を提供する。資格対策や企業人等による講演映像(ライブ型・オンデマンド型)やVRによる職場疑似体験などのコンテンツも用意する。
・ポートフォリオ機能
 生徒・学生の学習成果物や学習コンテンツの学習進捗データ等を蓄積・管理し、教員が個別指導を行う際にその判断材料を提供する。高校の教員と専門学校の教員がポートフォリオ機能を介することで、生徒・学生に対する一貫した個別指導をサポートする。
・コラボレーション支援SNS機能
 生徒・学生同士の学習に関する交流以外にも、高校の教員、専門学校の教員、企業等の実務者らが職業教育の内容や指導目標などについて、意見交換や情報共有を行えるようにする。

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 本事業は、高等学校、行政機関(沖縄県教育庁県立学校教育課)、専門学校、企業・団体が連携し、「沖専研・専連携コンソーシアム」を立ち上げて推進する。複数の高等学校、複数の専門学校を横に繋いで事業を進めながら、さらなる参加校を増やして横展開を拡げていく。

 KPI、KGIについては、高等学校卒業段階では「適切な職業的進路の選択」、専門学校卒業段階では「適切な就職先の選択」を目標に、「学習内容への満足度向上」、「職業への関心度の向上」、「進学・進路・就職に関するキャリア意識」、「教育の充実度向上」、「生徒のキャリア意識の向上」などについて生徒・学生、教員・学校へのアンケートで計測することを検討中である。

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