地方再生物語

辺境のデザイナー、梅原真さんの特別講義

思考の“枠”を外してみよう

文:深大寺呑助 09.11.2014

地方の再生に向けて大事なのは、固定観念に囚われない自由な発想だ。柔らかアタマで定評のある「辺境のデザイナー」、梅原真さんに鮮やかな切り口を生み出す秘訣を聞いた。

前回ご紹介したリポート、「“消滅地域”はアートと起業で復活した」では、IT(情報技術)企業のエンジニアやアーティストの移住に沸く徳島県神山町の現状と、その動きを生み出した地元NPO(非営利組織)、グリーンバレーの取り組みについて述べた。

今の賑わいを生み出したのは、20年にわたるグリーンバレーの一貫した活動と固定観念に囚われない自由な発想だということが、ご理解いただけたのではないだろうか。

鮮やかな切り口を生み出す秘訣

2回目の今回は、地方の再生に向けて思考の“枠”をどう外すか、という点について考えてみよう。

神山で見たように、人口流出や高齢化に直面している地域でも、考え方ひとつで賑わいを取り戻すことは可能だ。ただ、「発想を変えよ」と言われても、そのやり方が分からないという人がほとんどなのではないだろうか。かくいう私だって分からない。

そこで、柔らかアタマで定評のある旧知のデザイナー、梅原真さんに鮮やかな切り口を生み出す秘訣を聞いた。

デザイナーの梅原真さん
梅原さんの名声を高めた初期の作品(1980年代半ば)である「藁焼き鰹たたき」。ガス焼きの鰹が当たり前になっている中で、あえて高知伝統の藁焼きを全面に出したプロデュースは時代を先取りしていた

改めてご紹介しておくと、梅原さんは高知県在住のパッケージデザイナーで、一次産業のデザインやプロデュース、さらに地域の課題解決などで活躍している。土佐の「いごっそう」を絵に描いたような人で、離島や半島など“はじっこ”の仕事を好んで引き受ける変わったおじさんだ。

※梅原さんの実績や人となりについては、『ニッポンの風景をつくりなおせ』『おまんのモノサシ持ちや!』に詳しい

隠岐諸島の海士町が売り出している特産品のカレー「島じゃ常識さざえカレー」。その名の通り、肉の代わりにさざえが入っている。梅原さんが生み出した「島じゃ常識」のコピーはその後、島の常識になった

これまでに関わった商品やプロジェクトは、明神水産の「藁焼き鰹たたき」や海士町の「島じゃ常識さざえカレー」、宮崎県川南町の豚肉店「ゲシュマック」のプロデュースなど多岐にわたる。基本的に、見向きもされていなかった素材に光を当て、新たな付加価値を生み出すデザインを得意にしている。世界的に高い評価を受けている「しまんと新聞ばっぐ」はその典型だ(古新聞を折って作るバックのこと)。

梅原さんがプロデュースしている「しまんと新聞ばっぐ」。古新聞を折って作るのだが、どの面を表に持ってくるかなど、その制作には高いセンスを問われる。海外でも大人気

商品やサービスを差別化することが難しい今の時代、どうすれば消費者の心を惹くことができるのか。梅原さんの見方を聞いてみよう。

家飲み酒とも日記