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「動くワインセラー」が登場 ヴィンテージワインをおいしく手軽に

独自技術でワインの品質を維持、飲食店は在庫リスクが抑えられる

文:カンパネラ編集部 07.18.2017

飲食店にとって高価なワインやシャンパンを在庫として抱えるのは負担。そもそも、それらの仕入れや管理といった仕事は意外にやっかいだ。それらの点を解消できるサービスが登場した。空調設備を手がける東熱パネコン(東京・港区)は、独自技術を活用しワインやシャンパンの品質を維持したまま配送する。その名も、「動くワインセラー」である。

ワインやシャンパンの品質を保持し、最適な保存環境のまま、お客様のお手元に最短15分でお届け。名付けて、「動くワインセラー」──。

そんなサービスを始めたのは、オーダーメード型ワイン熟成セラー「Terroir(テロワール)」の製造・販売を手がける東熱パネコン(東京・港区)である。空調をはじめ建物設備の総合管理が本業だが、温度や湿度を制御する得意技術を生かし、ワインセラーの製造やワインの配送といった新たなジャンルに参入し、ワインや食の世界を盛り上げようとしている。

ヴィンテージワイン、シャンパンを最適環境でお届け

ワインやシャンパンはご存じの通り、温度や湿度、空気環境、そして振動に敏感な飲み物だ。ワインセラーの環境は一般に、赤ワインの保管温度が14度、白ワインが11度、シャンパンが9度、そして湿度はそれぞれ70%程度がよいとされる。また過度な振動が加わると、ボトル内の空気がワインと触れ合って酸化を促したり、ボトルの底に沈殿していたオリが混濁して風味を損なったりするといわれる。

東熱パネコンは2016年6月、第1弾として完全オーダーメードのワイン熟成セラー「Terroir」を発売。温度や湿度を制御する独自の空気環境材や空調装置などを使い、軽井沢や八ヶ岳の別荘、一戸建てなど主に“こだわりの強い嗜好家”向けに販売を行ってきた。

今回の第2弾では、得意の温度・湿度・空気環境の制御技術、そして免震技術を用いることにより、ヴィンテージワイン(赤・白各3種類)とシャンパン(3種類)を顧客の手元まで配送するサービスを始めた。6月の試験サービスでは、カリフォルニアの「オーパス ワン」(2013年、赤)、同じく「キスラー ヴィンヤーズ ノワゼッティエール シャルドネ」(2014年、白)、シャンパーニュの「クリュッグ グランド・キュヴェ」などの商品を取り扱っている。

【左から】オーパスワン(2013年)赤/キスラー ヴィンヤーズ ノワゼッティエール シャルドネ(2014年)白/クリュッグ シャンパン(写真提供:東熱パネコン、以下同じ)

ワインやシャンパンは、冷蔵機能付きコンテナを積載した軽トラックで運ぶ。コンテナ内に空気環境材、免震パレットを置き、パレットの上にワインやシャンパンを入れたラックを載せる仕組み。コンテナ内は温度や湿度はほぼ一定に保たれ、振動も大幅に軽減されてワインの品質を保持するために最適な環境が維持されるという。

顧客から注文を受けた後、すみやかに配送するため、「ラストワンマイル配送」を手がけるCBcloud(東京・千代田区)のクラウドサービスを利用する。このサービスは荷主と個人ドライバーをマッチングするもので、顧客がスマートフォンやタブレットで商品を注文すると、近場にいるドライバーが応答、顧客側には到着予想時間など配送状況が示される。東京の港区と中央区で試験サービスを行ったところ、最短15分、遅くても30分で配送できることを確認したという。

顧客がスマートフォンで注文→手元に最短15分でワインが届く

寿司屋や和食屋に新しいお客が呼び込める

では、この「動くワインセラー」、そのメリットは何か。サービスを開発した東熱パネコンの柴田亮社長はこう話す。

「必要な時に欲しいワインをお届けできるサービスがあれば、飲食店はワインセラーが不要になりますし、ワインの在庫リスクを持たなくてすみます。さらに、お客様の方でワインを仕入れたり管理したりする手間が省け、場合によっては人件費の削減にもつながります」

さらに、次のように続ける。

「お寿司屋さんや和食屋さんでもワインを飲む個人のお客様が増えています。そうした店での期待は高く、『動くワインセラー』があれば、新たなお客様を呼び込むことができますし、お客様にサプライズを提供することもできます」

「動くワインセラー」では今年8月から新たなサービスを展開する予定だ。ヴィンテージワインやシャンパンのほかに、新鮮な野菜やエイジング・ビーフ、その他の嗜好品など、商品メニューを拡大したいという。あわせてスマホアプリを用意し、いっそう簡単に注文できるように改善していく意向だ。

柴田社長は言う。「『動くワインセラー』はパーティーやイベントでの需要がありますので、今後はそうした分野でもサービスを提供していきたいと思います」

ピルゼンアレイ