カンパネラTOPICS

アサヒビール茨城工場:「みんなが楽しめるビールを一生懸命つくっています!」山中晶・統括工場長

【夏休み社会科研究応援企画】(前編)茨城県守谷市の「日本一のビール工場」へ行ってみた

インタビュー・構成/写真:カンパネラ編集部 07.31.2018

東京・秋葉原からつくばエクスプレスで30分ちょっとの守谷駅(茨城県守谷市)でバスに乗り換え約10分。アサヒビール茨城工場には、様々な生き物が棲みつく大きな池や緑豊かな庭園、高さ60メートルの展望タワーなどがあり、まるでテーマパークのよう。ところが一歩、工場内に入ると最先端の生産ラインが想像を超えた広さに延々と続きます。ここは、まさに小中学生の夏休みの社会科研究に最適な場! というわけで、2回にわたって「夏休み社会科研究応援企画」をお届けします。前編では、執行役員で統括工場長の山中晶さんに茨城工場の特徴や見どころ、環境への取り組みなどについてお話を聞きました(文中敬称略)。次回の後編では、工場見学コースを歩きながらビールの製造工程を詳しく紹介します。

──アサヒビール茨城工場には首都圏各地から日帰りで気軽に来れそうです。しかも、緑がとても豊か。敷地の広さはどれくらいありますか。

山中 茨城工場の敷地面積は約38万9000平方メートル、東京ドーム9つ分の広さに相当します。ビール・飲料の生産量は年間約80万キロリットル、20本入りのビールケースで6300万箱です。国内に8つあるビール工場の中で、生産規模としては最大級ですね。もともとビール工場としてスタートしたのですが、現在は「スーパードライ」などの缶ビール・びんビールのほかにチューハイやウイスキー、低アルコール飲料、皆さんよくご存じの「三ツ矢サイダー」といった清涼飲料などもつくっています。

茨城工場 統括工場長の山中晶さん。毎日すべての部署を見て回り、1日に1万歩以上は歩くそうです

──こちらの工場は1991年に建設されましたが、なぜこの場所を選ばれたのでしょうか。

山中 茨城工場のある守谷市は、利根川・鬼怒川・小貝川の3つの河川に囲まれており、水資源がとても豊富なのです。周辺は自然環境も豊かで、緑に囲まれた工場をつくるのに最適な場所でした。

茨城工場には緑豊かな森が隣接している。左手の緑に囲まれた建物は事務棟

しかも、近くを通っている常磐自動車道で東京都内へ1時間程度で行くことができ、物流アクセスに優れていることも大切なポイントでした。鮮度の高い商品をお客様にお届けすることができますからね。現在、茨城工場でつくられたビールは、東京・埼玉・千葉・茨城・群馬の1都4県に配送しています。

350ml缶ビールが約140万本分入るタンクがおよそ150本!

──日本最大級のビール工場ということですが、生産ラインの見どころを教えてください。

山中 まずは、巨大な釜が並ぶ「仕込室(しこみしつ)」をご覧いただきたいですね。ビールの主な原料は麦芽・副原料・ホップ・水です。これらの原料にお湯を加えて煮込む「仕込釜(しこみがま)」。それを糖化させる「仕込槽(しこみそう)」。ここでできた麦汁(ばくじゅう)から麦の殻などを取り除く「麦汁ろ過槽(ばくじゅうろかそう)」、さらにホップを加えて煮沸(しゃふつ)する「煮沸釜(しゃふつがま)」など、6つの大きな釜を1セットにして仕込みを行います。見学コースからは、仕込室を24時間3交代制で管理しているコントロールルーム(制御室)の様子もご覧になれます。

仕込み工程は24時間3交代制で、コンピューターで厳密に管理されている

──仕込みにはどれくらいの時間がかかりますか。

山中 だいたい1日です。仕込み工程でできあがった麦汁は無菌の状態で冷やされ、ビール酵母(こうぼ)を添加し、発酵タンクへと送られます。約1週間の発酵を終えた若いビールは、低温のまま、発酵貯酒タンクで約3週間、熟成させます。

次の見どころと言いますか、ぜひ工場の敷地内に並んだ発酵貯酒タンクに注目していただきたいですね。350ml(ミリリットル)缶ビールが約140万本分も入るタンクが約150本あります。見学コースでは最後に地上60メートルの「アイムタワー」に昇っていただきますが、そこから見下ろすとタンクがぎっしりと並んでいるのが見られ、その規模を実感していただけると思います。

地上60メートルの「アイムタワー」からの眺め。発酵貯酒タンクがたくさん並んでいる。空気が澄んでいれば、遠くに東京スカイツリーが見られる。アイム(AIM)は「アサヒビール、茨城工場、守谷)のこと

──巨大なタンクにぎっしりビールがつまって熟成されているなんて、想像しただけでワクワクしますね。この茨城工場では、ビールをはじめ何種類のアルコールと飲料を生産されていますか。

山中 ビールだけでも10品種、清涼飲料とか缶チューハイなどを合わせると、月間20〜30種類ほどになります。以前よりもお客様の嗜好(しこう)が多様化していますし、季節によっても生産する商品は変わってきますので、いわゆる「多品種少量生産」への対応がますます求められるようになっていますね。実際に「型替え」という生産ラインの切り替えをしょっちゅうやっています。例えばパッケージングするラインでは、商品が変わると包装も変わりますので、いかに間違わないようにやっていくかが重要になります。

びん詰め工程は、びっくりするほど広い建物の中に大きな機械がたくさん並んでいる
茨城工場でつくっているビールは10種類以上

──多品種の商品を1カ所の工場でつくると、どんなメリットがありますか。

山中 「ユーティリティ」、つまり水や蒸気、電気などの大切な資源を共用できることですね。商品を配送するときも、かつてはビールだけでしたが、今ではビールと清涼飲料を混載(こんさい)して運ぶといった工夫をして配送効率を上げています。