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アサヒビール茨城工場:ビール詰めの巨大工場は圧巻! 地上60mの試飲会場でのビールは最高! ソフトドリンクも飲めます

【夏休み社会科研究応援企画】(後編) 約90分の見学コース、見どころを詳しく紹介

 08.01.2018

アサヒビールの前身、大阪麦酒会社が創業されたのが1889年。来年はそれからちょうど130周年を迎えます。最初に建てられたのが大阪麦酒会社吹田村醸造所で、それは現在のアサヒビール吹田工場。翌1892年には「アサヒビール」が発売されました。現在、アサヒビールには8つのビール工場があり、そのうち最大級の茨城工場に行ってみることにしました。ビールのほかにチューハイや清涼飲料水なども製造する巨大な「ハイブリッド工場」だそうです。

(前編のアサヒビール茨城工場 当確工場長の山中晶さんのインタビューはこちら

工場見学の始まりは、3面大型スクリーンのある「オリエンテーションシアター」の建物からで、茨城工場の正門に入って左手奥。途中、池をはさんだ向う側に、外観が丸いガラス張りの建物がありました。この大きな建物とその左隣に立つ高いタワーは何だろう? 気になるけれども、先を急いで「オリエンテーションシアター」の入り口がある玄関ロビーへ向かいました。

玄関ロビーの壁面には大きなビールびんと「ようこそ茨城工場へ!」のパネル。ゆったりしたスペースは、「休みの日にはきっと多くの見学客が訪れるからでは」と想像が膨らみます。

【オリエンテーション】 上映後、ちょっとしたサプライズ!

「オリエンテーションシアター」へ。工場見学の前に大型スクリーンでビールのつくり方やアサヒビールの取り組みを10分ほどの映像と音声でわかりやすく説明してくれます。

映像が終わると、なんとスクリーンの幕が開き、先ほど外で見た広い池と丸い建物が目の前に現れました! まっくらなシアターの空間から見ると、この季節の緑はまぶしく、息を飲むような美しさです。このサプライズ演出で、これから始まる工場見学への期待は一挙に高まります。

工場見学の所要時間はこのシアターを含め約90分。最初に少し詳しく流れを紹介しておきましょう。

(1) 製麦工程
 ─大麦に水と空気を与えて発芽させ、その後、乾燥して発芽をとめる。脱根し、麦芽にする(注:茨城工場では原料の展示のみで、この工程は実施していません)。
(2) 仕込み工程
 ─仕込釜:麦芽にお湯、コメ、コーンスターチなどの副原料を加えて煮ます。
 ─仕込槽:麦芽にお湯を加え、仕込釜で煮込んだものを加え、液中のでんぷん質を麦芽糖に変えます。
 ─麦汁(ばくじゅう)ろ過槽:麦の殻などを取り除き透明な麦汁にします。
 ─煮沸釜(しゃふつがま):麦汁にホップを加えて煮沸。ビール特有の芳香と苦味が生まれます。
 ─ワールプール:麦汁を煮沸して生じたタンパク質、ホップのかすなどを取り除きます。
(3) 発酵熟成工程
 ─冷やした麦汁にビール酵母(こうぼ)を加えて発酵開始。麦汁中の糖分がアルコールと炭酸ガスに分解されて「若ビール」ができ、さらに1カ月間程度じっくり熟成させます。
(4) ろ過工程
 ─熟成したビールをろ過すると、黄金色に輝く生ビールが誕生します。
(5) パッケージング(缶詰め・びん詰め)工程
 ─缶詰め工程では、アルミの胴缶にビールを高速で詰めた後、アルミのふたを取り付け、非破壊検査により、きちんと定められた量のビールが入っているか調べます。
 ─びん詰め工程では、回収したびんを洗浄・検査するなどして安全できれいな状態にしてからビールを詰めます。ビールびんには3種類のラベルも機械で貼ります。
(6) 出荷
 ─できたてのうまさ、「鮮度」にこだわったビールを大型トラックで関東各地にお届けします。

それでは主な工程を写真と説明で見ていきましょう!

【麦芽とホップ】 ビールの原料はどこから来るのですか?

「麦芽のご試食、よかったらどうぞ」。案内係の澤さんに言われ、食べてみると・・・
「あまい!」
驚いたことに味がとても甘いのです。

ビール製造に使うのは、穂を上から見ると粒が2列に並んでいる二条大麦。でんぷん質が豊富で、皮が薄いなどビールづくりに適しています。二条大麦はオーストラリアやカナダなどから輸入しており、大半が外国産だそうです。

二条大麦は試食すると、とても甘い味がした

ビールの主な原料は麦と水、そしてホップ。ホップはアサ科のつる性多年草で、雌株に「毬花(まりはな)」と呼ばれる松かさに似た形のものをつけるそうです。これが原料となります。ホップはビールに香りと苦味を与え、雑菌の繁殖を抑えたり、泡立ち・泡持ちをよくする働きもするそうです。

アメリカ、ドイツ、チェコから大半を輸入。実際に使用するときはホップの花をペレット状(固形状)にして使用しているといいます。

ビールの製造には、このほかにお米やコーンスターチ(トウモロコシからつくったでんぷん)などを副原料として加え、口当たりのまろやかさなどの働きを調整しています。

乾燥したホップ
ビール類の説明をしてくださった案内係の澤さん

【コントロールルーム】 24時間3交替で麦汁のできあがりを厳密に管理

仕込釜から仕込槽、麦汁ろ過槽などの6つの釜を、コンピューターを使って温度や加える原料の量などを厳密にコントロールします。1日24時間を3交替の体制で麦汁の仕上がりを見張っているとのこと。

コントロールルームの画面はまるで大型化学プラントを厳密にコンピューターで管理しているかのようです。

【発酵・熟成工程】  敷地内に巨大タンクが約140本!

茨城工場 統括工場長の山中晶さんがインタビューのときに、見どころの一つに挙げてくださったのが、敷地内にずらりと並ぶ発酵貯酒タンク。見学コースの最後に地上60メートルの「アイムタワー」に昇ると、タンク全体がよく見えます。

タンクはビールを冷却して発酵熟成するため、その構造に工夫が凝らされています。タンクの外側から外壁、断熱材、冷媒が通るジャケット、本体といった積層構造になっています。

5階建てビルに相当する高さ20メートル、直径8メートルのタンクは、容量が500キロリットル。350ml(ミリリットル)の缶ビールが約140万本分も入る大きさ。それが敷地内に約150本もあります。

冷却された麦汁にビール酵母を加え、発酵タンクで約1週間発酵。さらに貯酒タンクで約1カ月間じっくりと熟成させます。ちなみに、酵母はコップ1杯のビールに約100億個も使われているそうです。

【官能検査】  五感を使って味、香り、泡立ち、色、のどごしを検査

アサヒビール茨城工場では、各工程を厳密管理したうえで、さらに人間が確認をして合格したものだけを次の工程に進めます。

そんななかで興味深いのが「官能検査」。毎日できあがったビールを専門の担当者が試飲して検査をします。担当者は社内の選抜試験に合格した「パネリスト」と呼ばれる専門家で、現在30人ぐらいいて、毎日10人ほどが官能検査を行っています。パネリストたちは味覚を常に保つため、カレーなどの刺激の強いものは食べられないそうです。

1日に30〜40種類の検査をしているそうで、麦芽、ホップ、水といった原料、麦汁、若ビールなどの半製品や完成品、ほかの工場でつくられたビールなどを飲み比べ、味や香り、泡立ち、色、のどごしなどを検査しています。

人間の味覚が一番鋭くなるのは空腹時のため、毎日午後4時から1時間だけ官能検査を行うようにしているそうです。たとえビール好きとはいえ、醸造部、品質管理部のパネリストが毎日検査で試飲するのは大変そうですね。

(オリエンテーションシアターの放映画面より)
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