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技術とサイエンス、ビジネスの融合「スマートキッチン・サミット2018」、メインテーマは「in Action(実践へ)」

文:カンパネラ編集部 08.03.2018

食・料理へのテクノロジーやサイエンスの活用などについて議論する「スマートキッチン・サミット・ジャパン 2018(SKS Japan2018)」が8月8、9日に東京ミッドタウン日比谷で開かれる。第2回となる今回のメインテーマは「今年はin Actionの年」。国内外から食やIT、サイエンスの分野の第一線で活躍するプレゼンターが約40人参加し、2017年の2倍の規模になる。(上の写真は「SKS Japan2017」)

食・料理の分野にテクノロジーやサイエンスを活用して、キッチンの未来を描く――。そんな目的で様々な話題について議論する「スマートキッチン・サミット・ジャパン 2018(SKS Japan2018)」が8月8、9日に東京ミッドタウン日比谷で開かれる。2015年に米国シアトルのNextMarket Insights社が始めたこのカンファレンス、日本ではシグマクシスが同社と共同で2017年8月に初開催。第2回となる今回は、国内外から第一線で活躍するプレゼンターが約40人参加し、昨年の2倍の規模になる。バラエティに富んだコンテンツが2日間(昨年は1日間)にわたって繰り広げられそうだ。

この1年間で「すごくいい体験へと進化している」

今、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)といったデジタルテクノロジーが多くの場面で利用され、遺伝子検査や腸内細菌利用といったサイエンスが身近なものになっている。ところが、家の中、とくにキッチン周りへのテクノロジーやサイエンスの利用は意外にも遅れている。家の中は多くの事業者にとって、食行動・消費者の好みなどの実態が見えない“暗黒大陸”といわれるゆえんだ。

SKS Japan2018のメインテーマは「今年はin Actionの年へ」。SKS Japan2018をとりまとめるシグマグシスの田中宏隆ディレクターはこう話す。

「昨年は『スマートキッチンって何?』というような概念的なことから議論しました。それを基点としたこの1年の変化は大きく、たとえば家電メーカーがサービス提供を始めようとしたり、食品メーカーが新たなモデルにトライしようとしたり、レシピ事業者が家電メーカーと組もうと試みたり、複数社が一緒になって 新しい製品・サービスを生み出そうとする動きが萌芽しつつあります。また、大企業だけでなく、ベンチャー企業も従来の産業構造に挑戦するビジネスを仕掛けてきたりと、本当にこの1年で活性化してきています。すでにWhat is Smart Kitchen?という段階は超えて、Smart Kitchen in Action(スマートキッチン事業の実装)であり、どんどんやろう(Let’s do it)という状況なんです」

さらにこう指摘する。「この1年間で、食と料理の分野もAIやIoTなどのテクノロジーと、遺伝子検査などのサイエンスを組み合わせることによって、すごく新しい&すごくよい消費者体験の実現へと進化していくことがわかってきました」(田中さん)。

「スマートキッチン・サミット・ジャパン2018」をとりまとめるシグマクシスの田中宏隆ディレクター

その一つが家の中、そして人間の体の中の「見える化」だ。心や体の状態がウェアラブル端末によって徐々に明らかになっている。また遺伝子検査により、かかりやすい疾病がわかり、それに応じて摂取すべき栄養素や食材、逆に制限すべきものがわかってくる。

そして調理器がIoTでつながると何が起きるか。調理器からいつ何を料理したかがアプリで管理できるようになり、調理実績が把握できる。今週、肉を何グラム、野菜を何グラム食べたかといったことが整理され、調理実績だけでなく実際に摂取した栄養素とその量が正確にわかるようになるのだ。

「スマートキッチン化が進んでいけば、食のバリューチェーンのすべてのプレイヤーがそれぞれに価値を見いだすようになり、それがどんどん融合していきます。ですから、SKS Japanは食・料理の進化に関わるテーマであれば何でも取り扱うということになっていきます」と田中さんはSKS Japanの現在の位置付けを説明する。

投資から新たなイノベーションまでバライエティ豊かな発表

では主な見どころについて紹介する。今年は8月8日(水)の13:00スタート。冒頭でパネル「投資家から見たスマートキッチンの価値」が開催される。最近、事業開発においては、バリューチェーンではなく、プラットフォーム思考でサービスや収益化を設計することが求められているため、その戦略のあり方についても話し合われる。

スマートキッチン・サミット・ジャパン 2017の様子(写真提供:シグマクシス)

「サイエンス視点で見る料理の楽しさ」では、山形県鶴岡市にある庄内イタリアン「アル・ケッチャーノ」のシェフ、奥田政行さん、宮城大学食産業学群教授の石川伸一さんが登壇、分子調理学などの視点から「料理を科学する話」が聞ける。

「食と料理を通じて広がる世界」では、発酵からみる日本の食の可能性、食のオープンソース化、TechがFun体験を実現する、といった「食・料理の新しい価値を見出す」内容の発表があり、IoT調理器を使用した実演も予定している。

新技術を活用し、サステイナビリティの観点から未来食の創造にチャレンジするプレゼンターも登場する。代替肉の一つである培養肉や、Vertical Firming、といった具体的な取り組みにつきリアルな話が聞けそうだ。

また、新しい価値を追求し、驚くべき発想力で従来の産業構造を大きく変え得る事業モデルの構築に挑戦するパイオニアプレイヤーによる熱い議論も行われる。

2日目の9日(木)の最初のセッション、「世界のイノベーターが語る注目すべき新たなテーマPart2」では、リテール観点での新しいアプローチ、外食事業者必見のレストランテックの最新トレンド、腸内フローラを調べて食につなげる「医食同源」の試み、オランダの研究機関TNOの西出香さんによる3DFoodプリンターを応用して自分に合った食をつくる「パーソナライズド食」などの講演は注目されそうだ。

ほかに、食・料理に関するデータ蓄積が進む中、誰がデータの保有者になるべきか、どのような事業機会が今後あるのかという論点などについて討議する「エコシステム構築成功のカギ」といったセッションや、「大企業でイノベーションにチャレンジするイントレプレナーセッション」「大手プレイヤーによる新たな挑戦」などに関する数多くのセッションが予定されている。

最後に、田中さんはこう強調する。「SKS Japanの最大の価値の一つは、1.5日間いるとフードテックに関するトレンドの全体像を見ることができます。フードテックという言葉を聞き、どう整理したらよいか、もやもやしている方々には参加してほしいです。さらに、300人ほどの食・料理×○○で新しいことを本当にやりたい熱量高いイノベーターの皆様が集まる場となっています。こうしたサミットの真の価値は『企業を超えて共通テーマに挑むネットワーク』を獲得することでエコシステム構築をいち早くスタートできることになると思います」

2017年、米国のスマートキッチン・サミットでのHestanの展示。手前にあるタブレットと連携し、動画レシピに沿って調理を進められるスマートクッキングシステム(写真提供:シグマクシス)

SKS Japan2018について、詳しくは下記を参照のこと。

■「スマートキッチン・サミット・ジャパン 2018」
2018年8月8日午後、9日午前午後

https://www.sigmaxyz.com/sks_japan2018/
【スマートキッチン・サミットとは】
テクノロジー・料理・デザイン・ビジネスが融合する点を探るため、米NextMarket Insights代表のマイケル・ウルフ氏が2015年8月に米国シアトル市で創設。同社はスマートキッチン関連のリサーチサービス会社。スマートキッチン関連のニュースサイト「The Spoon」も運営する。
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