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Retty対談「回顧2018 外食」(後編)──サバ缶ブームは「食の活性化」「地方創生」の好モデル

女性の視点が新たな市場を開拓し、生産者の声はより高まる

写真:大槻 純一/構成:橋富 政彦 12.25.2018

「2018年の“食”のトレンドを総括!」するため、日本最大級の実名口コミグルメサービス「Retty」のグルメニュース編集長・草深由有子氏(司会進行)、ぴあのチーフプロデューサーで「東京最高のレストラン」編集長・大木淳夫氏、『焼肉の達人』著者の小関尚紀氏、全日本さば連合会(「全さば連」)広報担当で「サバジェンヌ」の池田陽子さんの4人にお集まりいただき、今回の後編では2018年の流行キーワードとして数多くのアワードを受賞した「サバ」のブームからお話を始めていただきます。(以下、敬称略)

前編から続く)

草深 いまやサバ人気は地方の産地だけにとどまらず、日本中を席巻していて、外食・内食問わず2018年の“食”全体において圧倒的な存在感があったと思います。このサバブームについて改めてお聞かせください。

草深由有子氏 Rettyグルメニュース編集長
日之出出版、ベネッセコーポレーションを経て、2015年クックパッド編集長に就任。2017年2月よりRetty株式会社に移り、グルメメディア「Rettyグルメニュース」の編集長として、「『人』から食を捉えると、グルメはもっと楽しくなる!」をテーマにコンテンツを配信している

サバブームの火付け役は「女性の注目」と「養殖のブランドサバ」

池田 サバブームは今年から始まったわけではないんですね。最初に大きく注目されたのは、「サバ缶が美容とダイエットにいい」と紹介された、2013年7月放送の「たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学」(朝日放送)という番組なのです。女性を中心に話題となり、一時はスーパーマーケットからサバ缶が消えるほどのブームとなりました。重要なポイントは「女性が注目した」ところにあると思います。

それと同時期に青森・八戸や千葉・銚子のようなサバの産地からサバグルメを町おこしに利用する動きが出てきて、「養殖のブランドサバ」も増えていきました。有名どころだと九州大学と唐津市が共同研究で生み出した「唐津Qサバ」、鳥取県岩美町とJR西日本が共同で養殖している「お嬢サバ」、京都に海産物を運んだ通称「鯖街道」起点の福井・小浜の「よっぱらいサバ」などですね。

サバの人気が高まっていくにつれて、サバの多様な食べ方も広まっていきました。大衆魚であるサバは一般的な家庭料理である塩焼きや味噌煮で食べることが多かったと思うのですが、実はとても汎用性が高い食材なんです。和洋中なんでもいけるし、コロッケ、ピザ、ミートソース、オムレツみたいな肉で作る料理のほとんどがサバでも美味しく作ることができます。新しいサバの食べ方としてわかりやすく注目を集めているのはやっぱりサバサンドでしょうか。

池田陽子氏 薬膳アテンダント&全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ
日常生活で手軽に取り入れられる薬膳の提案をセミナーや執筆で行う「薬膳アテンダント」としての活動の傍ら、鯖を愛する消費者の集まりである「全日本さば連合会」(全さば連)の広報を担当。日本各地のサバ情報の発信を行う。著書に『ゆる薬膳。』(日本文芸社)『サバが好き!』(山と渓谷社)など

小関 元バックパッカーとして言わせてください。トルコのイスタンブール、ガラタ橋の名物ですよね。

池田 トルコのものはエクメックという、パンに焼いたサバを挟んでいるんですが、日本に入ってきてからこれもバリエーションが出てきて、使うパンもトーストやピタパン、クロワッサンだったり、サバも照り焼きにしたりカレー風味にしたり、エスニック風にしたり、本当にさまざまなサバサンドが食べられるようになっています。

サバサンド(写真引用元:Rettyグルメニュース、https://retty.news/35257/ )

そうしたサバサンドがおしゃれなカフェにも置かれるようになって、いよいよ本格的に女性からサバが注目を集めるようになってきました。私たちも突然、女性誌から「サバについて聞かせてください」という取材依頼が連続して入るようになり始めて「いったいなぜ?」みたいな感じでしたね(笑)。

「女性が注目しているから」という理由でおしゃれなパッケージのサバ缶も続々と登場し、実際に「おしゃれだから」という理由でサバ缶を買う女性も出てきました。2016年にはサバ缶は魚の缶詰の代表格だったツナ缶の生産量を抜きました。サバ缶を取り上げる媒体も実話誌からビジネス誌まで幅広くなってきましたが、やっぱり女性誌が多いですね。

おしゃれなサバ缶(写真引用元:Rettyグルメニュース、https://retty.news/35400/ )

大木 ジャケ買いのような感じで缶詰を買うんですね(笑)。

大木淳夫氏 ぴあ㈱ チーフプロデューサー 「東京最高のレストラン」編集長
日本初のプロによる唯一の実名評価本「東京最高のレストラン」編集長を2001年の創刊より務めている。その他の編集作品に『堀江貴文 VS.職人』(堀江貴文)、『超一流のサッポロ一番の作り方』(マッキー牧元)などがある
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