簡単ごはんで未病が和らぐ ざっくり薬膳

冬の難敵「冷え性」には沖縄の魚料理「マース煮」で対抗!日本酒のお燗でさらにあたたか

第1回 たいのマース煮にちむしんじ、ほうれん草のおひたしを添えた「冷え性改善定食」

レシピ・料理・文:木原美芽(きはら・みめ)/写真:菅野祐二 01.23.2018

働く女性を悩ませる「未病」。冷えや肩こり、頭痛、むくみ……。どれも病気まではいかないけれど、毎日をブルーにさせるものたちを、どうにか退治する方法はないものか━━そんな時にお役立ちなのが、食べて症状を緩和させる「ざっくり薬膳」です。この連載では、飲食専門のフリーランスライターで、国際中医薬膳師でもある木原美芽さんが、平日夜でも手軽にできる薬膳レシピを、おいしく作るポイント解説付きで紹介します。

働く女性の多くが悩む「未病」

女としても社会人としても、芸歴が長くなると色々不調が出てきます。体のあちこちに痛みが出、時に顔色は冴えず、何だかいっつも冷えてるし、風邪も引きやすい。日々の充足感はさておき、どうも体の方がパッとしない。さて、どうしたものか。ここで飲食専門のフリーランスライターとして働く私が考えたのが、食事からの不調改善でした。

これが、薬膳との出会いです。

というわけで中医学の考えに基づいた食事療法である薬膳を学ぶため1年間、北京中医薬大学日本校中医薬膳科に通ったわけですが、しばらくしての感想は、「正直、全部ちゃんとなんて、無理」というものでした。

中医学ではまず、問診・舌診などによる詳細な情報収集から体の現状を把握し、問題の解決方法を探し、食事や時によっては必要な薬に落とし込むという作業を行います。要するに、完全なるオーダーメイド。例えば貧血ひとつとっても、原因も体質もひとりひとり違う。だから必要な食事も、各々違うとなります。いやはや、お手上げです。

そんな時、今もお世話になっているこの学校の恩師から、こんな風に言われました。

「日本人、特に女性は、何でも真面目に考えすぎ。食事は毎日のことだから、もっと楽に考えないと、続かないよ」。

……まさに。私自身は生来ずぼらな性格ですが、なぜか要所要所に極めて譲れない部分が出てきて、そこだけは緻密にしたがる。でもそれが決していつもよい結果を生むわけではない…。

食べることは、長距離走。時にはおおらかに、ざっくり考えることも大切。1回の食事で、劇的に変わることなんて、あり得ないんだし、第一、キリキリしてたって楽しくない。だって完全なる病気ではなく、いわゆる未病を改善するのが目的なのだから。こう頭を切り換えて辿り着いたのが、「ざっくり薬膳」というわけなのでした。

薬膳は根を詰めすぎずに、できることから

薬膳では、食材それぞれに効能があると考えます。食材はたんぱく質や脂質、ビタミンの含有量などの栄養素からその特徴を説明することができますが、大まかにそれの中医学版だと考えてください。効能には「体を温める/冷やす」、「エネルギーを補填する」、「血液を増やす」、「むくみを減らす」などたくさんの項目があるので、使う食材については後段でご紹介します。

また薬膳では、食品だけでなく、中薬、要するに漢方薬的なもの料理に使うことがあります。しかし、絶対に中薬を使わねばならないわけではありません。中薬は元々植物由来のものが多く、例えばショウガやみかんの皮だってクスリとして使うなど、ボーダレスな部分があります。効果によって使いたいものがあれば、食材として入手しやすいものを加えればいいのです。

そして、調理法も普段通りでOKです。和食でも洋食でも、エスニックでも大丈夫。古典薬膳といえば本来はスープなので、汁物を上手に使うとベターですが、何でもかんでも煎じて煮つめていたら、食事として成立せず心が折れますから、そこは適宜に。

必要なのは、課題を解決しつつ、料理としておいしくなるための、食材の組み合わせを見つけること。つまりは、頭の体操です。

わが家は家族に沖縄関係者がいるため、食事は和食、洋食、琉球料理がミックスします。そのためご紹介するレシピもちょっと沖縄度高めです。これから6回、冬の女性のお悩み症状に合わせた「ざっくり薬膳定食」をご紹介していきます。

なお、食材や調味料の分量はあくまで目安です。お好みやその時の状況で調えてください。

伊東食堂