ナウい飲みニケーション!

フリーランスが集まる“スナック”つくりました/ノオト

第2回 ノオト

文:皆本 類 / 写真:菊池 くらげ 05.30.2017

なぜ、いま「飲みニケーション」が復活しているのか――? 飲み会で社員のコミュニケーションを活性化したり、会社の活力を高めたりしている企業に取材し、実際に飲み会にも参加してしまおうというコラム「ナウい飲みニケーション!」。第2弾は、ネットメディアを中心に記事の企画・執筆などを手がけるコンテンツ制作会社のノオトです。「品川経済新聞」など自社で複数のメディアを運営し、フリーランスの仕事場として会員制の「コワーキングスペース」を開設。さらには「スナック」まで作ってしまったという面白い会社です。そこには、「フリーランスこそ、飲みニケーションが必要だ」という強い思いが隠されていました。

前回、ファッションコーディネートアプリ「IQON(アイコン)」を手がけるVASILYの飲み会に参加して、会社組織での“チームビルディング”の道具の一つとして、飲みニケーションが役に立つことが分かりました。

一方、最近では会社組織に属さずに、フリーランスという立場で働く人も増えています。若い人を中心に「働き方」に対する考え方は大きく変わっています。少子高齢化に伴って人手不足が深刻化していることもあって、新たな働き手を確保するため、テレワークやコワーキングスペースなど多様なワークスタイルを可能にする環境も整えられつつあります。

こうした中、「フリーランスの人たちこそ飲みニケーションが必要だ」と話す人がいます。ノオトの宮脇淳代表です。

ノオトの宮脇淳代表
ノオトの宮脇淳代表

ノオトはネットメディアを中心に企画、編集、原稿執筆、運営などを手がける“コンテンツ・メーカー”です。社員数は10人(2017年5月現在)と少ないながらも、大手クライアントのオウンドメディアをはじめ、ウェブやモバイル、紙など様々なメディアに対してコンテンツを制作・提供しています。

ただし、単なる「編集プロダクション」ではありません。自社でもメディアを運営しています。ローカル経済ニュースを報道する「品川経済新聞」や、Twitterにまつわる様々な話題を届ける「トゥギャッチ」などを運営しています。

代表の宮脇さんは、雑誌「WIRED」編集部にアルバイト(雑用係)で潜り込み、編集者としてのキャリアをスタートさせました。その後、フリーランスのライター&編集者として活躍しながら、2004年に有限会社ノオトを立ち上げます。2007年には品川経済新聞を創刊。会社設立10周年の2014年には、月額会員制の仕事場「コワーキングスペース CONTENTZ」をオープンしました。そして、2016年にはCONTENTZの分室として「スナック」を本社近くのビルに設けたのです。そこにはどんな思いがあるのでしょうか?

思い1:フリーランスこそ横のつながりが大切

コワーキングスペース CONTENTZは、通常のコワーキングスペースのように一時利用の形態は提供せず、会員制スペースとして運営しています。会員はライターや編集者、デザイナー、プログラマーといったクリエーターが中心。「様々なクリエーターがここで情報交換したり、協業したりするコミュニティが生まれるスペースを提供しようと考えました」(宮脇さん)。

コワーキングスペースCONTENTZの様子
コワーキングスペースCONTENTZの様子。ライター・編集者、デザイナー、エンジニアなど、様々な職種のフリーランスが黙々と働いています

CONTENTZには2017年5月現在、45人の会員が登録しています。楽しく会話しながら仕事できるコミュニティスペースが中央にあり、黒板ボードで仕切られた集中席も設けています。小上がりのスペースには人工芝を引き、冬場にはコタツが置かれることもあります。会員はコピー機や3Dプリンタのほか、冷蔵庫やコーヒーメーカも利用することができます。

CONTENTZでは月に1回、ノオトの社員やCONTENTZの会員だけでなく、外部のクリエーターも参加できる「#ライター交流会」を開いています。お酒を飲みながら情報交換などを行う、フリーランスのためのいわば「飲みニケーション」の機会。コワーキングスペースという場所を提供するだけでなく、会を通じて一層交流を促そうというわけです。

「ライターや編集者、ITエンジニアの方は 、よく『勉強会』に熱心に参加します。もちろん、ライターや編集者も学ばないといけないものはたくさんあります。しかし、そうした『勉強』だけでなく、本当は『交流』が大事なんですよね。私たちの仕事は人と人とのつながりによって始まり、終わることがほとんど。ライターも人に会って話すことが大事じゃないですか。だから勉強以前に最低限身につけておきたい、コミュニケーション能力や人脈形成スキルというものがあると思うんです。交流会をそのきっかけにしていただければいいな、と」(宮脇さん)。

ノオトが主催する#ライター交流会では、毎回さまざまなゲストを招いてのトークセッションを行っています。少ない時でも20人くらいが参加するそうです。今年2月の#ライター交流会では「地方在住のライター」をテーマに掲げたところ、全国から55人が参加しました。

フリーランスは、ともすると「孤独」を感じながら仕事をしがちです。飲みニケーションの場をきっかけに、同業者だからこそ話せる悩みを共有したり、仕事の進め方を相談したりすることができます。フリーランスこそ、横のつながりが大事なのです。

思い2:飲みニケーションの場は人と組織をつなぐ“メディア”に

編集部では、CONTENTZの交流会に参加することにしました。取材に訪れたのは3月18日、ノオトの会社説明会と#ライター交流会を兼ねたイベントの日。交流会の前に開催された会社説明会では、ノオトが編集・ライター職の社員を募集していることもあり当然、ライターやライター志望者が多く集まります。

ノオトの会社説明会と交流会に参加しました
ノオトの会社説明会と交流会に参加しました

会社説明会は16時にスタート。説明会と言っても堅苦しい雰囲気は感じられません。ノオトの社員さんと外部のゲストが交流しながら、同社への理解が深まるイベントになっていました。

ライター交流会兼会社説明会の場に変身したCONTENTZ
ライター交流会兼会社説明会の場に変身したCONTENTZ

まずはノオト代表の宮脇さんのユーモア交えた自己紹介にはじまり、現役社員、OB社員がそれぞれの立場からノオトで働くことについての本音を語ります。何と、今回のイベントで退社を公式に発表した社員まで出てきました! しかも、その様子は参加者らによって、ハッシュタグ「#ライター交流会」を付けながらTwitterのつぶやきとして実況中継されています。単なる採用活動にとどまらず、外部も巻き込んだイベントコンテンツとして発信しているのです。

社員も知らないことが多いという会社名の由来や、ツイート禁止の名の下で、会社のリアルな経営状況をデータで公開するなど、会の中身は盛り沢山
社員も知らないことが多いという会社名の由来や、ツイート禁止の名の下で、会社のリアルな経営状況をデータで公開するなど、会の中身は盛り沢山
新旧のノオト社員と代表・宮脇さんとの対話形式で進んだパート。それぞれの立場やキャリアから語られる言葉には、編集・ライターという職業についての金言にあふれます
新旧のノオト社員と代表・宮脇さんとの対話形式で進んだパート。それぞれの立場やキャリアから語られる言葉には、編集・ライターという職業についての金言にあふれます

笑いあり、編集やライターという職業にまつわる含蓄のある話も披露され、一般的な会社説明会の範囲を超えた大充実のイベントが終了しました。採用に関連する一通りの話が終わったあと、いよいよ交流会が始まります。

家飲み酒とも日記