ナウい飲みニケーション!

「社員に声をかける」が仕事になる会社の飲み会とは?/スマートニュース

第4回 スマートニュース

文:西本 美沙 / 写真:菊池 くらげ(特記なき写真) 07.14.2017

過去の遺物となりつつあった「飲みニケーション」が、スタートアップ企業で復活している。なぜいま「飲みニケーション」なのか? その謎を解明すべく、飲みニケーションを実地取材している本コラム。今回は、ニュース配信アプリ「SmartNews」を提供しているスマートニュースの飲みニケーションを体験しました。

スマートフォン・タブレット向けニュース配信アプリ「SmartNews」を提供しているスマートニュース。アプリのダウンロード数は世界で2000万を突破し(2016年10月)、何かと米国ばかりが注目されがちなIT(情報技術)の世界で、勢いを見せている国内スタートアップ企業の1社です。

スマートニュースのオフィスは東京・原宿にあるのですが、このオフィスにはこだわりが満載。例えば、一流シェフが作る無料の社食。そしてバリスタがいるコーヒースタンド。そこには「社員の交流を活性化したい。そして、上質なニュースを届けるために、食に関しても社員が上質な体験をしてほしい」という思いが込められています。

そんなスマートニュースでは、社員同士だけでなく、社外にも開かれた飲みニケーションイベントを開催しています。

こだわり1:社外に開かれた飲みニケーションで、自社の思いを発信する

今回、カンパネラ編集部が参加したのは、「教えて!教養の入り口」と題したイベントです。ゲストとして招かれたのは、スマートニュース執行役員の藤村厚夫さん、文筆家の吉川浩満さん、日経BPのプロデューサー・ 柳瀬博一さん。

このイベントは、読書家としても知られる3人に、どんな本を読んで教養を培ってきたのかを語ってもらおうというもの。参加者の数は社内・社外を含めて70人ほど。3人のパネルディスカッションの後には、飲みニケーションの場が用意されています。

なぜスマートニュースではこのような社外の人を招いてイベントや飲みニケーションを開いているのでしょうか。スマートニュース執行役員の藤村厚夫さんは、「スマートニュースを知らない人に、イベントのテーマや内容を通じて、当社がどのような会社なのか、どのような考えでアプリを作っているのかというメッセージを伝えることができます。それに、社員もイベントに参加することで様々な刺激を受けているようです」と話します。

今回のイベントテーマは「教養の入り口」
イベント登壇者。左からスマートニュース執行役員の藤村厚夫さん、文筆家の吉川浩満さん、日経BPの柳瀬博一さん

イベント企画者である松岡さんの挨拶の後、ゲストがそれぞれ3冊の書籍を紹介しました。いずれも、「読み手が教養を高めていくヒントやきっかけが掴めそう」という切り口でセレクトされたものです。

イベントのタイムスケジュール。飲みニケーションはグループディスカッションの後に設けられています

■日経BP 柳瀬さんの3冊
「どくとるマンボウ航海記」(著:北杜夫)
「利己的な遺伝子」(著:リチャード・ドーキンス)
「日本美術応援団」(著:赤瀬川 原平, 山下 裕二)

「『どくとるマンボウ航海記』は、北杜夫さんが船医として地球を半周して帰ってくるまでの旅行記。ネットもケータイもない昭和30年代初期。若き、北杜夫さんが船医として、マグロ調査船に乗って地球を半周して帰ってくる。「何者」でもないひとが、毎日毎日新しい世界に触れる。北さんのすごいのは子供のような好奇心と、いつも忘れぬユーモアの心。ネットでチェックしてわかった気になっちゃう今だからこそ、若い人たちにぜひ読んでほしいです」(柳瀬さん)

■文筆家 吉川さんの3冊
「中国の旅」(著:本多勝一)
「利己的な遺伝子」(著:リチャード・ドーキンス)
「啓蒙思想2.0―政治・経済・生活を正気に戻すために」(著:ジョセフ・ヒース)

「『利己的な遺伝子』はタイトルに惹かれて購入したのですが、とにかく人類はみんな読んだ方がいい。コペルニクスやダーウィンたちと同様の影響力があります。我々が自分や世界をどう捉え、どう考えていくかに大きな影響を与えます」(吉川さん)

■スマートニュース執行役員 藤村さんの3冊
鮎川信夫、吉本隆明の詩
「胎児の世界 人類の生命記憶」(著:三木成夫)
「折口信夫全集」(著:折口信夫)

「書籍ではないが、自分にとって詩は大切な存在です。どの作品も自分の人生の中で読み方が変わっていく。何度読んでも気づきがあります」(藤村さん)

書籍のリストからは、それぞれのゲストの個性がにじみ出ているように感じられます。

特徴的なのは、柳瀬さん、吉川さんと共にリチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」を選出し、藤村さんも「胎児の世界 人類の生命記憶」を選ぶなど、全員が生物学にひも付く書籍を選んでいたこと。柳瀬さんは「人の知識のベースにあるのは人間(生物)への興味だからではないか」と語ります。

書籍紹介の後は、来場者からの質問タイムと懇親会です。各テーブルでは来場者同士が好きな本についてディスカッション。本好きという共通点があるためでしょう、どのテーブルも盛り上がっていました。

待ってましたと言わんばかりに「乾杯!」。好きな本を肴に、話もお酒も進みます
お酒も入って各テーブル共に大盛り上がり
ピルゼンアレイ