ナウい飲みニケーション!

「出社」の概念がない!? 自由すぎる会社の”飲みニケーション”/ユーザベース

第9回 ユーザベース

文:西本 美沙 / 写真:中島 正之 11.14.2017

こだわり2:「出社」の概念は存在しない。全社員がリモート前提の働き方

インターン参加者からは好評だったユーザベースの飲みニケーション。社員の評判はどうなのでしょうか?

SPEEDAが海外進出したりNewsPicksなどの新規事業をスタートしたりして会社規模が大きくなるにつれ、どこで誰が何をしているかを把握することが次第に難しくなってきました。2015年頃、そんな問題意識を持った有志の社員たちが自然に始めた企画がユーザベースの飲みニケーション「社内バー」だったそうです。参加している社員の評判や成果は上々で、社内バー企画の後にも継続的に他部署の社員と交流を持つ機会が増えているといいます。

またユーザベースでは、コアタイムや出社義務のない「スーパーフレックス」制度があったり、副業もOKだといいます。広報の因幡さんも制度を実践して他社で働いてみているそう。「期初に立てた目標をしっかり達成できればOKで、オフィスにいることが仕事にコミットしているということではないという考え方が社内に浸透しています。ですので、リモートワークOKというより“オフィスに絶対に出社する”という概念があまりないですね。名古屋や大阪など遠方で働いている人たちは必然的にリモートワークですが、都内に住んでいる社員も、集中したい日や気分を変えたいときなどにリモートワークを活用しています。事前申請や週に何日までという制限もないので、チーム内で情報がきちんと共有されていれば出社する必要はありません。これは2008年の創業当初から大事にしている方針で、今も変わっていません」

制限なくリモートワークができてしまうと、会社全体の士気が下がったり、コミュニケーション不足になったりするのではないでしょうか? 「もちろん会社の規模や事業のフェーズによって問題が発生することはありますが、そのたびにメンバー全員でオープンに話し合って、解決してきています。重要なのは、私たちが自由を大事にするバリューを持っているということと、それを維持するために、各メンバーの責任や自律が必要だというカルチャーをつくりあげることだと思っています。日々オンラインでコミュニケーションは取っていますが、2週間に1度は世界中の拠点をつなげて同時通訳をつけてミーティングもして、会社としての一体感をつくろうとしています。そしてオフラインでは、このような社内バーや花見、ハロウィンパーティといったイベントも自主的に開催されており、社内全体でコミュニケーションが足りていないという実感はあまりないですね」

自由度の高い働き方はむしろ良い影響を及ぼしているそうです。このサマーインターンを企画し、SPEEDAマーケティングチームに所属する新卒入社1年目の上野さんは、「自分の成果を出しやすい働き方を自分で選択できている」と話してくれました。もちろん職種によっては社内で勤務する必要がある部署もありますが、全社的にみれば会社にいることが成果につながるとは考えられていないそうです。

左から「SPEEDA」マーケティングチームの上野さん、「NewsPicks」ブランドデザインチームの小西さん、「SPEEDA」コンサルティングサービスチームの松井さん、 広報の因幡さん

もちろん飲みニケーションは新しい交流にも効果的です。NewsPicksブランドデザインチーム(広告営業)の小西さんは、エンジニアとの交流の場として飲みニケーションを活用しているといいます。「普段関わっている業務も使用言語も異なるため、どうしてもエンジニエアと営業職ではお互いの言っている背景を理解することに時間がかかります。でも飲みの場であれば、アルコールの力も借りてNewsPicksをどう改善していきたいかなどをオープンに話し合ったりできます。実際、こういう場でエンジニアとお互いに距離を縮めておくことでいざという時に助け合うことができます」

「私も普段なら真面目で怖いイメージだった方とお酒の場で話し、ハートフルな違う一面が見えて仕事がしやすくなった経験があります」(松井さん)。お酒の力を借りながら肩の力を抜いた状態で語り合うと共通言語が見つかりやすいのかもしれませんね。

こだわり3:程よいお酒の長さが距離を縮める

最後に、社内バー企画を推進するユーザベースの代表取締役社長(共同経営者)である稲垣裕介さんにお話を聞きました。

ユーザベースの代表取締役社長(共同経営者)である稲垣裕介さん

「2015年に(NewsPicksを運営する)株式会社ニューズピックスを分社化しましたが、その際に両社が交流する機会をつくりたいと思っていました。もちろん個人間で飲みに行く人たちはいましたが、それだけじゃなくもっと多くの社員が互いに交流できればと考えていた頃、ちょうど社員の発案で社内バー企画が始まりました。コミュニケーションの活性化はもちろんですが、「経済情報で、世界をかえる」というミッションを達成するために、プロダクトの垣根を超えてグループ内で協力できることは多いので、このような場での情報共有が役立っています」

もともとお酒がすごく好きだという稲垣さんは、今でも会食以外の日には社員とお酒を飲みに行くそうで、お酒の席の良さは「ほどよい長さ」といいます。「会議室での会話はせいぜい1時間。プライベートの話はあまりしませんよね。ですがお酒の席は大体3時間くらい。必然的に会議室では出てこないプライベートの話や雑談が生まれます。フランクに自己開示ができる場所も大事だと思っています」

コミュニケーションの活性化だけでなく、事業拡大に伴い、分社化したり他社をM&Aしたりするなどの動きが出てくるなかで、全社の意思疎通はもちろんのこと、よりよい相乗効果を生むために活用されているユーザベースの飲みニケーション。そして、何より意味のある自由な飲みニケーションは、若者たちにとっても価値のあるお酒だと認識されていると知り、ほっと胸をなでおろした夜でした。

西本美沙(にしもと・みさ)
ライター/PR
株式会社ドワンゴで各種サービスの宣伝・広報を経て、2016年退職。現在はフリーランスで女性向けメディアなどのライティングのほか、各企業のPR業務に従事。だいたいお酒と黒猫と戯れてます。
  • 1
  • 2
家飲み酒とも日記