ネオンとオンナ

ゲス不倫時代における「カラ嫉妬」の壊滅的インパクト

高スペックT君をつかまえたゆるふわ妻が見せたもの

文:鈴木 麻友美 02.16.2017

不倫にはいつの時代も被害者がいる。が、同情したいのは「なんもしてないのに、ただ疑われる層」。みんなしてるからあなたもしてる/するでしょ許せないわムキー!理論を持つパートナーにより、このサイレントマジョリティが生み出されている。嫉妬心のムダづかい、「カラ嫉妬」について考えてみた。

カラ嫉妬を生みやすいシチュエーション

じゃあカラ嫉妬への対処法は無いのか。

この世に不倫がある限り、カラ嫉妬のとばっちり被害者は減らないのかもしれない。

最後にカラ嫉妬を生みやすいシチュエーションをいくつか分類しておく。この世から少しでも冤罪と束縛が減りますように。アーメン。

(1)フェチモテ

一般的には別にモテないが、ある特性の層に過剰に刺さってしまうクラスターは、パートナーによるカラ嫉妬の対象になりやすい。もちろんパートナーもそこにメロメロになった経験があるわけだから、同族嫌悪で嫉妬をまきちらすことも。この場合、ガチの嫉妬もカラ嫉妬も仕方ないので大目にみよう。

(2)結婚デビュー

大学デビューならぬ社会人デビューならぬ、結婚デビュー。男性に多い。それまで冴えなかった男性が、結婚により女性の扱いに慣れ余裕が生まれて山っ気がでちゃうパターン。一方で、人のものを好きになっちゃうタイプの女性も一定層いるため、そこの需要と供給が一致してカジュアルな不倫に発展しやすいのも事実。

この場合、カラ嫉妬で済んでいるのか、それとも相手が実際にしでかしてるのかをわりと見極めにくく、不幸の温床になっている。またこのクラスターは根本的には遊び慣れているわけじゃないので、カジュアルから泥沼に急転直下したりでバレやすい。心当たりのある人は気を付けましょう。

(3)正真正銘のカラ嫉妬

基本的に浮気しないのに、なぜか固定観念により四六時中疑われる悲劇の被害者。前述のかにさんとT君はこれに当てはまる。いやしかし、わたしの目が節穴でT君が(1)である可能性はゼロではないんだが……。

かにさんは、高スペックだけど女性経験が無いT君を狙い目だとみて確保しに行ったのは事実だと思う。けれどもいざT君が自分のものになったら客観性を失い、己の夫が(2)タイプだと誤認識して激しいカラ嫉妬を燃やしている可能性がある。

世の中のカラ嫉妬被害者の多くは、(3)なのに(2)と誤認しているパートナーによって生み出されているのであろう。

カラ嫉妬には、誰しもが陥る

恋愛をすると、誰しもが少なからずこのカラ嫉妬状態に陥るもの。

人のカラ嫉妬を笑うのは簡単だけど、自分たちもギリギリのところで生きている。その状態に陥ったときに、どこまで己の客観性と相手への信頼を確保できるか。それがカラ嫉妬からの脱却のカギとなる。

自分がどんな時に嫉妬するのか、嫉妬は果たして本当に起きている事実に基づいたものなのか。単なる妄想や心配から来ているのではないか。自分の嫉妬の仕方や傾向をよく観察してじょうずにつきあうと、己の客観性を保つ能力、そして己の能力の限界が見えてくる。

だからカラ嫉妬のすべてが悪いわけじゃない。その根源は、一応愛情だったりするわけだし。

かにさんや友人美女Mちゃんのエピソードを踏まえても、特にカラ嫉妬で狂うのは夫婦といえそう。夫婦といえども他人は他人。その意味で夫婦というのは最も濃厚な他人とのコミュニケーションである。それだけに、相方の行動は時として自分の嫉妬心をより強く呼び起こし、関係ない人まで巻き込んで目も当てられないしくじりを招く。またカラ嫉妬は度を超すと、パートナーの愛も失いかねない。

そんなしくじり経験で得た教訓は、人間という存在に対する深い洞察となるかもしれない。だからその適用範囲を恋愛や男女関係だけでとどめるのはもったいないような気もする。

わたしも恋が終わった時のアハ体験を、自分の広大な人生に活かしていかなきゃねとぼんやり思いながら今夜もビールをすする。

鈴木 麻友美(すずき・まゆみ)

1983年、神奈川県生まれ東京都在住の会社員。テレビ局勤務。赤ちょうちんと茶の湯と蕎麦が好物で夜はたまにクラブDJに変身。都会に疲れしばらく海辺ぐらしをしていたが、現在都内に仮住まい中。本コラムではTOKYOに浸かりつつ距離もとりつつ、愛と諦めを持ってTOKYOのヒト・モノを観察します。
Twitter/Instagram @kingmayummy

家飲み酒とも日記