ネオンとオンナ

「#日本中のプレ花嫁さんと繋がりたい」が見せた結婚のハードル

文:鈴木 麻友美 06.28.2017

結婚をドタキャンする猛者たちの気持ち

本来、結婚も結婚式もこわいものではないはず。

結婚して一番よかったなぁと思ったのは、いろいろな「不安」「心配」が激減したこと。生まれた時から自動的に既に存在していた家族と別に、自分たちでつくった家族がもうひとつあるのは心強い。

そして、恋愛市場での様々な活動やふるまいや思考をしなくていいので、生きていく上でのエネルギーを仕事に一点投下もできて気持ちもラクだ。それって逆に今までどんだけ「煩悩を抱えた心配性」だったのかよとも思う。

そう、結婚はこわいものではないはずなのに、一般的には「結婚したい妙齢女性」と「逃げる男」という構図を目にする。何なら我が夫婦だって交際中にいちどそれで別れたこともある。

「まだしたくない」と結婚しない男友達に聞けば、「金がかかる」「自分の時間がなくなる」「価値観が合う人がいない」「他人を支える余裕がない」という。式直前に婚約破棄する猛者も最近周囲に急増してきて、原因を聞くとウェディングハイになってる相手や相手親族を見て一緒にやっていく自信なくなったというのが多い。結婚式は、長い結婚生活を送る過程で愛を誓う手段なのに、それが「目的化」されると違う。細かい価値観なんかはすり合わせられるけど、手段と目的がテレコになるのはさすがに、ということっぽい。

結婚はイベントではなく、継続的にお互いの時間といろいろな財産を分け合うこと。

最初は分け合ったり奪いあったりしていた時間や財産は、長い時間の中でひとつになり夫婦の輪郭をつくっていく。たとえば夫婦が同じ趣味や視座を持っていればスタート時から貯金が多い状態でおトク感もある。

相手が時間を割いてつくってくれた料理なんかは愛そのものだし幸せだ。

「好き」の熱量が落ち着いても一緒にいられるか

恋愛初期など好きの熱量が多ければ、自分の時間や財産ばっかりが(変な言い方だけど)スポイルされても我慢できる人もいる。男性が妻子をひとりで養うのがふつうの時代もつい最近まであったし、今だって多くの女性がワンオペ育児している。

熱量が穏やかに冷静になった時、人間って本能的に、失うものへの平等を求めていくものだと思う。長期的に見ればそれが家庭の幸せというかたちで帰ってくるのかもしれないけれど、自分は相手にどんな価値や時間を提供できるのか、ずっとずっと考えながら生きていきたいなと思う。

ウェディングハイに注意し準備を進めていた私も、おしゃれなドレスショップに行ったら「早い方は1年前からドレス選びされてますよ」と言われマジかよと焦り、「これがいい(これしか好きじゃない)」と選んだやつは「残念ながらこちらはご予算からオーバーしますし、購入のみでオーダーの期限がもう過ぎてしまっています」と言われて絶望した。まだ半年あるのに!

さらには「実は裏ワザで確保できますが、その場合、今ここで即決しないとなくなります」と言われ、まんまと乗せられて思考回路がショート、夫に電話するも出てもらえずキレ気味LINEを送りながら、ええいしゃーないと予算オーバーで即決してしまった。

「式の主役は来客だから食事やお酒にお金をかけて、ドレスはいちばん安いのにしようね」とつい先日自分で言っていたのに……。夫はドン引きしたと思う。こういうことか「#ドレス迷子」仕方がねえ。そりゃ魔界ハッシュタグも使うわ。

式までハイにならず、夫の余計なお金や時間をつかわせず、つつがなく来客の皆さんにおもてなしができますように……(祈)。

踏み絵やいろんなことを飛び越えて、すんなり結婚式を迎えられたらわたしはひとつ、こじらせと承認欲求の取り扱いにおいて何か解脱ができるのかもしれない。そういった意味で自分にとって結婚式は通過儀礼だし、いちいち立ち止まってもていねいに向き合っていくものなんだろう。

自分で勝手に壁をつくり壊すような人生だし、「結婚しなくても幸せになれる時代」だけど、それでも、私のような煩悩まみれの心配性の人間には、結婚は悪いもんではないはず。

鈴木 麻友美(すずき・まゆみ)
1983年、神奈川県生まれ東京都在住の会社員。テレビ局勤務。赤ちょうちんと茶の湯と蕎麦が好物で夜はたまにクラブDJに変身。都会に疲れしばらく海辺ぐらしをしていたが、現在都内に仮住まい中。本コラムではTOKYOに浸かりつつ距離もとりつつ、愛と諦めを持ってTOKYOのヒト・モノを観察します。
Twitter/Instagram @kingmayummy
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家飲み酒とも日記