ネオンとオンナ

あなたは幸せのために愛する人の青い鳥を撃てるか

文:鈴木 麻友美 10.25.2018

「結婚してから一度も夫と一緒に暮らしていない」と言うと、驚かれることがある。仕事などの都合でたまたま遠距離結婚なだけなのだが、「浮気しないの?」などと言われることも。「幸せであるためにはこうでなきゃ」という定義がコミュニティや人それぞれであらためて驚く。それは恋人同士や夫婦間であろうと同じこと。「青い鳥」になぞらえつつ、幸せの定義の相違っぷりと、あるべき形の貫き具合について考えてみた。

私は結婚してから一度も夫と一緒に暮らしていない。

夫の収入は知らないし家計は別。結婚前に同棲した期間もあったけれど、今は夫欧州、妻東京の生活だ。

お互い平社員なりに仕事が好きなので、どちらかが辞めてまで一緒に住むという選択肢は、今はない。会う時はお互いの土地に行くか、または旅をしながら時間を共有することが多い。そして別居は半永久なわけではなく期限もあり、夫が東京転勤になればまた海辺でいっしょに暮らそうと思っている。

今どきこういう夫婦は珍しくないけれど、いざ「独り暮らしなんです」と言うと驚かれることもあるし、年配者から「子どももいないのに単身赴任?」「そんなに仕事がだいじか」「浮気しないの?」と言われることも。三十代半ばという私の年齢ゆえ子どもを持つタイミングの心配もされる。

そしてこの世の真理のように「家族は一緒にいるのがいちばんの幸せだろう」と諭されたりする。

ちなみに「浮気しないの?」でいうと、それは私がなのか夫がなのかで話者のマインドや言行がわかる踏み絵だからひとしきり盛り上がるし、そもそも遠距離だからという理由で浮気の確率は上がらない(自分調べ)。浮気する人間は同居してたってするし、ふたりの関係性とそれぞれの性欲と想像力のコンディション次第だろう。

別に仕事のために同居や子どもを「諦めている」のでなく、私たちには今のところ子ども以外の共有できる価値観や楽しみややりたいことも多く、そこまで気(や思い)が至ってない。ふたりとも慣例や俗にいう「幸せ」をいちいち解体・検証・話し合う程度にこじらせてはいるけど、主義主張なんてたいそうなものじゃない。相手に合わせ仕事や人生が変わるような、人に責任を負ったり負わせるような、それを愛の力でなしえるような、そんなストロングな人間ではないだけだ。

今の日本では、子どもを持たないことを声に出すには何か強烈な理由や主張、または不可抗力の状況が必要とされる。そういう空気もLGBTへの無理解の下敷きになっているのかもしれない。子どもを持たない選択についてはこの記事がとても素敵だなと思ったので、お時間ある方はぜひ。「『子供をもたない』が生む罪悪感の正体」(BEST TIMES)

カンパネラナイト