どれもこれも絶品寿司!

東京・築地「つきじ鈴富 すし富本店」お値段は銀座の3分の1!? 築地市場の仲卸が営むマグロ自慢の江戸前寿司店

文:川岸 徹(ジャムセッション)/写真:福知彰子 08.16.2018

日本を代表する料理として、世界中の人々に愛されている寿司。高級店のオープンが相次ぐパリでは、最近、食通の間で寿司に日本のビールを合わせるのがブームという。キレがよくすっきりとした飲み口に加えて、口の中をさっぱりとさせる効果もあり、1貫ごとに味が変わる寿司にぴったりというわけだ。定番の日本酒でなく素材の味を引き立てるビールを合わせることで、寿司や一つひとつのタネの新たな魅力に出逢えるかもしれない。コハダ、貝など江戸前を代表するタネが旬を迎えるこの季節、握りのセットが2000〜3000円台というお手頃価格で本格的な寿司を楽しめる名店を紹介する。今回は東京・築地の人気店「つきじ鈴富 すし富本店」だ。

観光客で賑わう築地場外市場屈指の人気店

世界第1位の取引金額を誇る卸売マーケット、築地市場。周囲には築地場外市場商店街が広がり、食事処では市場直送の新鮮な水産物が堪能できる。築地の名は海外にも轟き、最近は外国人観光客が急増している。世界的な寿司ブームもあって、その多くが築地の寿司店に足を運ぶ。

100軒以上あるといわれる築地の寿司店の中でも、トップクラスの人気を誇るのが「つきじ鈴富 すし富本店」。営業時間中はほとんど客足が絶えない。店長の橘修さんは「外国人のお客さんは増える一方。平日は常連さんや接待でお使いになる日本人の方が多いですが、休日になると、半分以上のお客様が外国人ということもあります。英語は得意ではないので、ジェスチャーを交えて何とかやっています」と笑顔を見せる。

人気の秘密は、圧倒的な鮮度とコストパフォーマンスの良さだ。築地市場まぐろ専門仲卸「鈴富」の直営とあって、マグロをはじめ、旬の白身、青背魚、貝類をダイレクトに仕入れることができる。さらに、仲卸直営のため値段も安いとなれば、目端の利いた築地の客が放っておくはずがない。「銀座の高級寿司店で食べたら、同じ内容でもうちの店の3〜4倍の出費になるのでは?」と橘さん。

看板のマグロは1日約10キロを消費

看板の一品といえば、やはりマグロ。マグロを目当てに訪れる客が多く、使用する量は夜の営業だけで1日5〜6キロになるという。「マグロを使ったランチメニューも用意していて、切り落としづけ丼が人気です。648円というお手頃価格で、いつも行列ができます。昼に使う量も含めると、マグロの使用量は1日約10キロ。店の規模からすると、かなり多いといえますね」

マグロは季節に応じて、様々な産地、種類のものを使い分ける。取材に訪れた日は、アイルランド沖で水揚げされた本マグロ(クロマグロ)を入荷。「その時期ごとに一番いい状態のマグロを選びます。日本近海の時もあれば、欧州、オーストラリア沖など南半球のマグロを仕入れることもあります。種類も本マグロのほか、インド、メバチ、キハダなども使いますよ」

せっかくだから、本マグロも味わってみたい。値段は赤身270円、中トロ540円、大トロ648円。1貫ずつ注文することにした。中トロや大トロは風味豊かな脂がたっぷりのっているが、しつこさは全く感じない。口の中に心地いい余韻が長く残り、マグロ本来の旨みが存分に楽しめる。この質の高さでこの値段はあり得ない!

写真の本マグロはアイルランド産。左から赤身、中トロ、大トロ。タネの大きさに驚く

「安くても、本物の味わいでしょう? 最近は養殖マグロも増えていますが、うちでは天然物しか使いません。また、お出しするタイミングも重視しています。マグロはさばきたてがいいとは限りません。サクの状態にして1〜2日寝かせてから使ったほうが、脂分がまろやかになり、よりおいしく感じられます」

1〜2日寝かせることで脂分がまろやかに。マグロのサクにして保存する
ピルゼンアレイ