元CA・クララの日記

ヨット旅で実感し、今広げている「考え方を学ぶこと」

文:駒崎 クララ 10.06.2016

元客室乗務員(CA)で経営者の駒崎クララと申します。今回は「考え方を学ぶこと」について。私の小さい頃のヨット旅では、両親、旅先で出会った人々、大自然すべてが先生でした。そして今、考え方を学ぶことの大切さを訴えたく、いろいろな活動をしています。

こんにちは。元CA(客室乗務員)で、今はCAや元CAを支援する会社を経営しています、駒崎クララです。今回は「考え方を学ぶこと」の大切さについて、私の経験や今の取り組みについてシェアします。

私は小さい頃、家族3人(途中から妹が増えて4人)で地球をヨットで横断するという旅をしていました(第1回をご参照ください)。ヨットの旅で得て、そして今事業を営んでいくなかで実感しているのが、この「考え方を学ぶこと」の大切さなんです。

ヨットの旅をしていた時期は、ちょうど私が小学校低学年の頃に当たるのですが、ヨットの上にいたので小学校には通っていませんでした。両親や旅で出会った周囲の人々、そして海が先生でした。いわば、私にとっての先生は、周りにいる全てだったのです。

1989年の私。ヨットで旅をしていた時期、私の勉強スタイルはこんな感じでした

本来日本にいて小学校で教えてもらう勉強内容は、父や母が教えてくれました。また、港にいるときは、ヨットのクルーがその国の言葉や会話の仕方など教えてくれました。港で出会った少年は私に釣りの仕方を教えてくれ、少女はハゼの手づかみの仕方を教えてくれました。嵐の時は、陸から離れるものだと自然が教えてくれ、夜は休むもので、朝は起きるものだと亀が教えてくれました。

モノやサービスやノウハウを直接提供される機会は少なく、私は見ようみまねで物事を覚えました。共通していたのは、「これが答えだ」と言った人は、誰もいなかったということです。

答えは自分自身が考えて見いだすもので、人に求めてはいけない。そういった生活がとてつもなく面倒くさいときも正直ありました。ですが、いったん考え方を身に付けると、他にも応用できることがずいぶん後になって分かってきました。この時に得たものは古びない知恵として、その後の人生に大きく役に立っているように思います。

女性たちに提供している「考え方を学べる場」

そこで私は、すぐに役に立つ知識というよりは、「考え方を学べる場」を用意しようとしています。1つは、私が経営している会社KoLaboで提供する、CA向けの学習支援サービス「Crew Lounge(クルーラウンジ)」。そしてもう1つが、株式会社OMOYAと共同で提供している「女子未来大学」です。

Crew Loungeは、「CAの学ぶ・働く・生きるを応援する!」というテーマを掲げて、2014年6月にスタートしました。Facebookページもありますので、よろしければご覧ください。

機内のサービスと移動先でのホテルステイが多いCAは特に、自分が所属する航空会社の人としか関わりが持ちにくいという状況があります。そこで、航空会社を横断してCA同士で情報交換をしつつ、一緒に考えながら学びを効率よく進められるサービスがあったらいいのではないか、と思って設けたのがこちらのCrew Loungeです。

Crew Loungeでは、ファシリテーターとなる講師をお招きし、特定のテーマについてCA同士そして講師も交えて話し合いながら、答えを一緒に見つけていきます。

以前、お子様のお客様にどのようなサービスをしたらよいかというテーマの回がありました。航空会社には、子育てをしながら働いている「ママCA」が多くいます。なので普通に考えていくと自社のママCAに聞けばよいのでは、と思うかもしれませんが、その国によってお子様に対する望ましい対応が異なるのが悩ましいところです。

なので例えば、海外のCAが日本の航空路線のCAとして乗務している際に、日本のご家族が搭乗されたとき、どういったサービスをすれば良いか分からないことがあるのです。その逆もしかりで、日本のCAはしばしば海外から来た外国のお子様の対応に迷うことがしばしば。国によっては、お子様をむぎゅーっとすることが愛情を意味することもあれば、そうでないこともあります。そこがCA業務の難しいところです。

このお子様にどういったサービスをしたらよいかという回では、こどもみらい探求社の小笠原舞さんにお越しいただき、CAのみなさんとワークショップを開催しました。小笠原さんは、社会人経験を経てから保育士となり、そして今は保育士であり起業家という珍しい経歴の持ち主。彼女が起業したこどもみらい探求社は、子育てに関する総合的な事業をしており、他にも子育てコミュニティの「asobi基地」などを運営しています。

こどもみらい探求社の小笠原舞さんにお越しいただいたCrew Loungeの様子

Crew Loungeは答えを学ぶ場所ではなく、みんなでたくさんの答えを見つける場所。そこで小笠原さんには、お子様に対応するとき、どのような考え方が望ましいかという角度からレクチャーをしてもらい、CA一人ひとりが編み出したアイデアや答えをみんなで共有するというスタイルで進めました。

このCrew Loungeでは最初にパネルディスカッションをして、講師の方々のお話を聞きます。その次がグループワークの時間なのですが、ここでたっぷり考えてもらうようにしています。自分だけで考える時間と、みんなにその考えを共有して参加者のフィードバックを得る時間の両方を設けることで、自分のCAとしての生き方に対する気づきとか、こうしたらいいんじゃないかという新しいアイデアが得られるようにしています。

私が見ている限りですが、グループワークを進めていくうちに、参加者の方々の熱気が上がってくるのが感じられます。1人が考え方をシェアすると、他の人が共感してさらに新しい気づきを促し、さらに議論が深まっていきます。

小笠原さんをお呼びした回に参加したCAからの感想では、「お子さん連れのお客様が乗ってくるのが楽しみになりました」「もう1回開催してほしい」という声をいただきました。実は、私自身がCAの現役時代、このような場を求めていました。今Crew Loungeを通じて現役のCAに貢献できて本当に嬉しく感じています。

答えではなく考え方を学ぶ、という点について感想を述べてくれるCAはまだいないようですが、私が見ている限り、即断即決しなければならない状況において、考え方を学ぶということが、CAの自信につながっていくのではないかと思っています。CAの仕事はルールが多いのですが、ルールが適用できないけれどもすぐに決めなければならない、という場面にしばしば出くわします。そのような場面において、この「考え方を学ぶこと」が応用できるのではないでしょうか。

ピルゼンアレイ