海外酒場事情

ウラジオストクのポップなロシア風水餃子専門店、意外やウオッカとの相性も悪くない!?

文:中村 正人 / 写真:佐藤 憲一 03.27.2019

ハバロフスクでもペリメニ専門店がきめ細かいサービスを提供

同じようなペリメニ専門店は、極東ロシアのもうひとつの町、ハバロフスクにもある。地元で人気の店「ムカー」がそれだ。この店のペリメニも種類が豊富なことで有名。温かみのある店内の雰囲気もいいが、施設内にキッズルームが併設されていて、子ども連れのファミリーも多く利用していることも特徴だ。

メニューの中身だけでなく、郷土料理文化をおしゃれに演出し、きめ細かい趣向で女性の支持を得るのに成功している飲食店が増えているのが、いまの極東ロシアなのである。

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ハバロフスクの人気専門店「ムカー」のペリメニ。それぞれ具材の異なるペリメニをキノコサラダと一緒に
「ムカー」はデザインホテル「ヴェルバホテル」の1階にある
「ムカー」のスタッフは地元の3人娘
人口減に悩む極東ロシアでは、キッズルームを併設したレストランが日本よりはるかに普及している

シベリアの食文化に欠かせないベリメニとウオッカ

さて、これだけなら、酒飲みには無縁の話のようにも思えるが、実際はそうではない。ロシア人に聞けば、誰でも知っていることだが、ペリメニは意外やウオッカとの相性がいいというのである。それはペリメニの歴史に関わる話である。

もともとペリメニはモンゴルから伝わった料理であることはすでに述べたとおりだが、彼らが馬にまたがりユーラシア大陸を疾走し、大帝国を築いた数世紀後、今度はコサックたちがシベリアの凍てつく森を東に向かって遠征した歴史は広く知られている。

ウラジオストクのバーに並ぶお酒は種類が豊富。酒飲みにはうれしい町だ

コサックたちは、クロテンなどの毛皮を獲るため、厳冬のシベリアに狩猟に出かけたが、そのときペリメニを袋に詰めて持って行ったそうだ。シベリアの森は零下20度以下になるので、ペリメニは凍ったままで保存食になるからだ。森で火を焚き、飯盒に入れた雪溶け水が煮え立つと、ペリメニを入れて食事にしたという。

このとき、なくてはならないのが、零下20度でも凍らないウオッカだった。アルコール度数が高く、からだを温める酒でもあるのだ。もともとロシア人はウオッカを雪の中に入れて冷やして飲むのが好きである。こうしてペリメニとウオッカは、シベリアの食文化を語るうえで、欠かせない間柄と理解されてきたのだ。

「ローシキプローシキ」のドリンクメニュー。日本語もあるので大助かりだ

もっとも、今日極東ロシアのペリメニ専門店では、さまざまなアルコールが味わえる。「ローシキプローシキ」でも「ムカー」でも、メニューをみると、さすがは酒飲みの国ロシアらしく、コニャック、ウィスキー、ブランデー、ラム、ジン、ワイン、ビール、カクテルなど選び放題。

では、ペリメニに合う酒はなんだろうか。具材を何にするかにもよるだろうが、酒好きなら、キリリと冷えたウオッカでもいいのかもしれない。強い酒はどうもという人なら、極東ロシアでいま人気のラズベリー味のビールカクテルとか、ちょっぴりスパイスの利いたホットワインはどうだろう。お好み次第だ。

中村正人(なかむら・まさと)
エディター、ボーダーツーリスト
「地球の歩き方」のロシア極東、中国方面を担当。とりわけ国境地帯の動向に詳しい。ウエブサイト「ボーダーツーリズム|国境観光を楽しもう」を運営。国内ではインバウンドツーリズムの取材を続けており、ブログ「ニッポンのインバウンド『参与観察』日誌」を主宰。著書に「A32 地球の歩き方 極東ロシア シベリア サハリン 2019~2020」(ダイヤモンド・ビッグ社)のほか、「『ポスト爆買い』時代のインバウンド戦略」(扶桑社)、「17 地球の歩き方 Plat ウラジオストク 」(ダイヤモンド・ビッグ社)などがある。
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