海外酒場事情

懐かしい光景が残る台南で台湾ビールを飲み、駅弁と小吃を楽しむ

文/写真:中村 正人 06.20.2019

4月中旬、友人に教えてもらって安いLCCチケットを入手したので、台湾に出かけることにした。噂に聞く台湾の駅弁を地ビールと一緒に味わいたい……。向かった先は、台北から高速鉄道で1時間40分ほど南の台南である。

飛行機のチケット代は安いが、朝5時55分発という早朝便で、台北に着いたのは午前8時半。ただ眠い。台北桃園国際空港からバスで高速鉄道桃園駅に向かい、台湾新幹線に乗った。台南のホテルを予約していたので、早めにチェックインしてひと休みしたかったのだ。

台湾中部の田園風景をぼんやり眺めていると、あっという間に高鐵台南駅に着き、ローカル電車に乗り換え、昼前には在来線の台南駅に着いた。さすがにお腹が空いてきた。

台南の人たちは駅弁好き? ベンチのあちこちで食べる姿を目撃!

それにしても、この駅のなんと懐かしい光景であることか。自分が子どもの頃の国鉄駅によく似た古風な改札口に向かって歩き出すと、ホームには多くの乗客たちがベンチに座って列車を待っていた。よく見ると、彼らは駅弁を食べているではないか。

これだ! 改札を出るのをやめ、すぐに駅構内の販売店に駆け込み、台南駅特製の「台鐵排骨便當(タイティエ パイグゥ ビェンタン)」を購入。自分もベンチに座っていただくことにした。もちろん、台南ビールも購入した。

台南駅構内でベンチに座って、電車を待ちながら駅便を食べる人たちを発見
ベンチの隣に駅弁の販売店がある。台湾では温かい弁当が食べられる

台湾の駅弁は日本統治時代からあるという。台北駅では、数種類の弁当が売られているが、台南駅では排骨便當(豚スペアリブの煮付け弁当)の1種類で、量の大小で80元(約280円)と60元(約210円)がある。

ごはんの上にドーンとポークがのり、周囲に高菜や煮玉子、さつま揚げ、干豆腐が詰め込まれている。この無骨さがたまらない。ホームのベンチなので、かなり蒸し暑いが、冷えた台湾ビールがうまい。何より楽しいのは、地元の人たちと一緒に仲良く同じ駅弁をつついている自分がいることだ。台南の人たちはこの駅弁がたいそう好きなのだろう。女子学生たちも、ここではそうするのが当然のように弁当をつついている。

これが台南駅特製「台鐵排骨便當」80元(約280円)と台湾ビール
こちらはちょっと小ぶりの60元(約210円)。でも、パッケージがレトロ感たっぷり
駅のこの少々くたびれた老朽感もまたレトロな気分にさせる
「臺南」という繁体字の駅名表示は日本の旧字体っぽくて味がある
おやっ、向かいのホームで女の子が駅便を食べている様子
望遠で寄ってみると、確かにそうだった

こうしてあっさり当初の目的を果たしてしまったものの、台南は小吃(シャオチー)の町である。小吃とは、屋台や小さな食堂で出す一品料理のこと。台南で幼少期を過ごした一青妙さんが書いた『わたしの台南「本当の台湾」に出会う旅』(新潮社)を事前に読んでいたので、ずいぶん役立った。同書で紹介されていた台湾の漫画家の魚夫さんが書いた台南グルメ本の新刊も出たばかりで、イラスト入りの案内がわかりやすく、参考になった。

現在改装工事中の台南駅。どんな駅に生まれ変わるのだろう

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