海外酒場事情

この夏イベント盛りだくさん! “健康志向”でウォッカよりビールが人気

文:中村 正人/写真:佐藤 憲一 06.29.2018

ビールを楽しむならこのお店! スーパードライも人気

この種のイベントで欠かせないのがビールである。

バルチカビールはアルコール度数を0〜9(数字が大きいほど高い)に分けて製品化されている

ウラジオストク出身でロシア語の翻訳や通訳が本業だが、都内のロシア料理店でシェフも務めるというA.アレックスさんは次のように話す。「もともとロシアではビールはお酒じゃないという感じもありましたが、健康志向もあってアルコール度数の高いウォッカよりライトなビールを楽しもうという気分が強まっています。ここ数年、地ビール製造工場や自家醸造のクラフトビールを出すレストランが現れていますね」

極東ロシアのビール工場といえば、ウラジオストクの北のアムール川沿いにあるハバロフスクの「バルチカビール」が知られている。この工場は事前に予約すれば、見学や試飲が体験できる楽しい場所だ。ここで生産されるバルチカビールの特徴は、アルコール度数を0〜9(数字が大きいほど高い)にきめ細かく分けて製品化されていること。ボトルにナンバーが書かれているので、自分の好みやその日の気分で選べるのだ。

ウラジオストクから北へ約800キロの場所にあるハバロフスクの自家醸造ビヤレストラン「ビアフェスト」では、アルコール度数の違いに加えて、ホップや小麦以外にチェリーやグリンピースなどを使ったクラフトビールの飲み比べが楽しめる。またこの地方の地ビールとして有名なのは、タイガ(針葉樹林)に生息するトラをパッケージにあしらった「アムールタイガー」で、ライ麦を醸造した独特の風味とコクが特徴だ。

ハバロフスクの自家醸造ビヤレストラン「ビアフェスト」の店内
「ビアフェスト」の外観
地ビール「アムールタイガー」

建築の優美さで知られるウラジオストクの旧日本国総領事館の向かいにあるビールバー「ホーリー・ホップ」に行くと、世界中のビールが揃っているし、街中の大型スーパーに行けば、日本のリカーショップと比べても遜色のない、あらゆる海外ブランドが棚にひしめくように並んでおり、日本のビールも置かれている。

以前は地ビールに比べ、値段が高くてもインポートものをありがたがる傾向があり、外で飲むなら外国ビールという感じだったロシア人たちも、さまざまな飲み方を楽しむようになっている。「仕事のあとのまず一杯」の喉越しの快感を求める日本人とはかなり違うようだ。カクテルを飲み比べるような感覚であれこれ楽しんでいる。

ウラジオストクの大型スーパーでは海外ブランドのビールがたくさん並んでいる
ウラジオストクでは日本製ビールも人気

それでも、なかには日本ビールファンもいるようで、こんな話もある。モスクワからウラジオストクに出張に来たビジネスマンの間で「極東に来ると、日本の『スーパードライ』が飲めるので楽しみだ」と言われているらしい。モスクワでは日本製の海外輸出ものはめったに飲めないからだそうだ。

(19世紀ヨーロッパの街並みのお酒を楽しめる、ウラジオストクのナイトスポットの記事はこちら

中村正人(なかむら・まさと)
エディター、ボーダーツーリスト
「地球の歩き方」のロシア極東、中国方面を担当。とりわけ国境地帯の動向に詳しい。ウエブサイト「ボーダーツーリズム|国境観光を楽しもう」を運営。国内ではインバウンドツーリズムの取材を続けており、ブログ「ニッポンのインバウンド『参与観察』日誌」を主宰。著書に「『ポスト爆買い』時代のインバウンド戦略」(2017扶桑社)。2018年4月に2泊3日で楽しむ旅行ガイド「Platウラジオストク」(ダイヤモンドビッグ社)を上梓した。
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