ロジックよりマジック

広島カープ優勝、「神ってる」マジックの源泉

文:関橋 英作 09.29.2016

摩擦を起こさないように、ただ無難に生きている。そんな人生、面白いですか? もっと枠を外れた生き方をしたいビジネスパーソンに贈るこのコラム。今回の題材は、この9月、四半世紀ぶりに優勝した広島カープ。優勝というマジックの源泉となった市民のパワーについて。

ほぼ予想外の、広島カープぶっちぎり優勝。四半世紀ぶりの優勝だけに、ファンの喜びもはちきれんばかりです。私は、パ・リーグ志向なので、やや冷静にこの出来事を見ていました。このコラムのタイトル「ロジックよりマジック」を地でいっているようで興味津々。しかも、あるときから、「神ってる」という言葉まで新聞紙上をにぎわせるようになってしまいました。

元々は、数年前くらいからギャル語として存在しています。おじさん風に言えば、神がかっているですね。それが、広島カープ用語になったのは、セ・パ交流戦の最後、広島対オリックスとの3連戦。

初戦・2戦目と広島カープの鈴木誠也選手がホームランを打ち、サヨナラ勝ち。この試合後の監督インタビューで、緒方孝市監督が「神がかってるね。今どきの言葉で言えば“神ってる”よな」と言ったのが始まりらしいです。

思わず出たのでしょうが、監督の奥さん・かな子さんに言わせると、お子さんたちが話しているのを監督が聞いていたからでしょうとのこと。ご家族のなごやかな光景が目に浮かびますね。

アテネの直接民主制を想起させる、広島市民の情熱

この「神ってる」快進撃を引き起こした謎は、直接民主政にあるとにらんでいます。そうです、あのアテネの直接民主政です。古代ギリシャにおいては、国の規模が小さく市民の数も少なかった。それで、すべての市民が一堂に会して議論し、政治のことを決めていました。想像するだけで、熱い議論が聞こえてくるようです。いまの間接民主政は代議員制度なので、市民の声が届きにくいかもしれませんね。

もちろん、広島カープの運営等を市民が行っているという意味ではありません。しかし、広島カープは唯一の市民球団。老朽化した球場を再建するために市民が寄付した金額は、1億2千万円。総額の一部かもしれませんが、まるで市民がオーナーのようとしか思えません。しかも、樽募金。酒樽ですから、御神酒。神ってるの始まりですね。

それだけ、広島カープはただのプロ野球ではなく、広島市民の日常生活。広島カープの動向は、市民活動であり、株価の一喜一憂にも似て、熱き議論の中心議題なのです。いかにして、広島カープを強くするかが、市民の関心の中心にあるのでしょうね。

ブランドカラーの赤は、まさにその象徴。赤をまとった「カープ女子」まで出現するのは、一人ひとりが広島カープという広島生活を楽しくしたいという表れです。みんなが、何らかの形で直接広島カープに関わっているとしか思えません。

(画像:時事)

ピルゼンアレイ