生きるチカラの強い女性へ

処方箋18 運気は玄関から立ちのぼる

文:ひきた よしあき / 写真:カンパネラ編集部 11.22.2018

仕事一辺倒でキャリアを重ねるのはもう古い? それよりも大切な家族と一緒に豊かな時間を過ごし、人生を謳歌する女性が少しずつ増えています。名スピーチライター・ひきたよしあきさんが、スマートで力強い女性たちに会い、その魅力を探ります。第18回は、運気の上がるおそうじ講座を開いている星美由起さんです。

運気の上がるそうじの仕方。これを教える星美由起さんの講座が脚光を浴びている。

「聞いている最中から、もう家に帰ってそうじをしたくなりました」
「疲れたときこそ、そうじをする。この言葉で生活が変わりました」
「夜、玄関を水拭きするのが習慣になりました」

小学校の時、古ぼけて白くなった教室の木の床が輝きだした

まるで、魔法にかかったように、受講者がそうじを始める。彼女らの大半は仕事と育児を抱える主婦。

日頃は、
「そうじをしなくても人は死なない」
と開き直って、そうじを後回しにしている人たちだ。

「みんな、そうじのハードルを高く設定しすぎています。まずは部屋を眺めるだけでいいんです」

こう語る星美由起さんは、鹿児島で生まれ育った。保険会社に勤める父の関係で、子どもの頃は引っ越しの連続。その度に勉強部屋の方角が変わる。

「家の間取りをよく覚えています。不思議と勉強の捗る部屋がありました。その反対に、全く勉強に身の入らない、人間関係も悪くなる一方の部屋もありました」

家の近くに川が流れ、西日が反射してキラキラ光る。

そんな光景が窓から見える部屋では眠くてちっとも勉強が捗らない。

星さんは、運気と方角との関係を絵画を鑑賞するように話す。

「小学校1年生の時です。そうじに熱心な先生がいました。クラス38名が、一列になって床を水拭きするんです。毎日、38回床を磨くと、古ぼけて白くなって木の床が輝きだします。運気がゆらゆらと立ちのぼる感じです。この先生が担任したクラスは不思議と仲がよく、楽しかった。そうじの力を実感したのは、この時ですね」

「厄を落とすつもりでそうじをします。まずは玄関」

やがて星さんは、日本絵画を勉強するために東京にでて、風水で有名なDr.コパ氏の本を手にする。

「衝撃でした。私がぼんやり考えていたことが全部、書いてあるのです」

彼女は、Dr.コパ氏の門を叩く、以来14年間、「コパ・ショップ」で働き、学んだ。

「この間に女の子が生まれました。私は、夜は必ず玄関を水拭きします。手洗いとうがいと同じ感覚で、玄関と靴の裏をそうじします。それをずっと見ていたせいでしょうか。子どもが『やりたい』と言ってきました」

膝をつき、子どもの目線でそうじをする星さん。中学生になった女の子は、そうじが大好きな子に育ったそうだ。

「疲れたときこそ、厄を落とすつもりでそうじをします。まずは玄関です。家族が出入りする玄関が、きれいになると、不思議に他の場所の汚れが目につくようになります。そうじをする気持ちがゼロだったものが、1になる。あとはもう、面白いようにそうじをしたくなるものです」

星さんの講座を受講した人でコミュニティが生まれている。

「そうじをして、運気が上がった!」
「玄関がきれい!と家族に褒められた」

そんな書き込みが、みんなをもっとそうじ好きにさせていく。

水回りのそうじが大切

最後に、年末年始のそうじのコツを星さんに聞いてみた。

「水回りのそうじが大切ですね。キッチンは、みんなの食べるものを作る場所。トイレは健康を管理する所。お風呂は疲れを落としてくれます。水回りがピカピカになれば、お正月に向かう気持ちも上がります。来年の運気もきっと上がりますよ」

話を聞きながら、私もそうじがしたくなった。帰宅してすぐにマンションの小さな玄関を水拭きした。

するとどうだろう。

翌朝、出勤するときの気持ち良さが全く違う。星さんが子どもの頃に眺めた学校の教室のように、運気がゆらゆらと立ち上るのが見えた。

ひきた よしあき
1960年兵庫県西宮市生まれ。早稲田大学法学部卒業。博報堂クリエイティブプロデューサー、スピーチライター。学生時代から第8次「早稲田文学」学生編集委員、NHK「クイズ面白ゼミナール」のクイズ制作などで活躍。84年(株)博報堂入社。クリエイティブディレクターとして数々のCM作品を手がける。また、明治大学をはじめ多くの大学で講師を務める。15年、朝日小学生新聞でコラム「大勢の中のあなたへ」、コラム「机の前に貼る一行」を連載。著書に『あなたは言葉でできている』(実業之日本社)、『ゆっくり前へ ことばの玩具箱』(京都書房)がある。
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