ミシュラン三つ星をほぼ食べ尽くした男の忖度のない美食論

セビリア郊外エル・プエルト・デ・サンタマリアの「アポニエンテ」、海の幸を生かした芸術的な料理に感動!

第5回 フジヤマの「ミシュラン三つ星を追いかけてスペインとフランスを巡る旅」その2

文・特記なき写真:藤山 純二郎 06.19.2018

世界中のミシュラン三つ星レストランを追い求め、旅を続ける藤山純二郎さん。2018年6月までに、すでに120軒を超える三つ星を制覇しています。その藤山さんに肌で感じたミシュラン三つ星の魅力を語っていただく本連載。第5回は、2018年版のミシュランで新たに三つ星を獲得したスペイン・セビリア郊外エル・プエルト・デ・サンタマリアの「アポニエンテ」(Aponiente)を訪問したときのエピソードを披露してくれます。

スペイン・セビリアから110キロほど離れた田舎にある新三つ星レストラン「アポニエンテ(Aponiente)」を今年の5月2日の昼に訪問した。セビリア駅から電車に乗り、1時間ほどで、エル・プエルト・デ・サンタマリア(El Puerto de Santa Maria)という駅に着く。アポニエンテはこの駅から歩いてすぐのところにある。

アポニエンテという店名はこの土地に特有の「西から吹く風」に由来している。海の幸を素材として生かした料理が特徴のレストランだ。

店の周辺は倉庫が立ち並ぶ地味なエリア。人通りも少ない。アポニエンテの建物も古い工場を改装したものだが、なかなかすてきなつくりになっている。

アポニエンテの外観とエントランス。円の中央を貫くように横のラインが入ったロゴマークが印象的

道には来客を出迎えるため、スーツ姿の男性が立っている。予約客である旨を告げると、トランシーバーで屋内のスタッフとやりとりを始める。これは、客が入店した瞬間から「アポニエンテ」の世界観に入れるように準備するためだ。

店に足を踏み入れると、まず小さなサロンに案内され、ウェルカムドリンクがふるまわれる。木の床にドーム型の天井の明るくて気持ちのよい部屋。ここで「アポニエンテ」のコンセプトやスケジュールについての紹介があり、3種類の前菜もここでいただく。いかにも三つ星らしいもてなし方だ。

前菜の2つめ、「ウニのクラッカー キャビア載せ」はおいしかった。ウニのやわらかさとクラッカーのサクサクとした食感のコントラスト、塩気のきいたキャビアという取り合わせの妙がすばらしい。サバのマリネとタルトもクオリティが高かった。

ウニのクラッカー キャビア載せや、サバのマリネとタルト。ウツボのような特徴のある器に盛りつけてある

前菜が終わるとメインダイニングへ案内される。ガラス張りの明るいオープンキッチンの横を歩いていくと、オーナーシェフのアンヘル・レオン氏が出迎えてくれた。

オーナーシェフのアンヘル・レオン氏と
アポニエンエのメインダイニング。白リネンのテーブルクロスの円形テーブルが10卓ほど並ぶ