ミシュラン三つ星をほぼ食べ尽くした男の忖度のない美食論

フランス・トゥーロン郊外の「クリストフ・バキエ」、真骨頂はニンニク風味の「アイオリ・モデルヌ」

第6回 フジヤマの「ミシュラン三つ星を追いかけてスペインとフランスを巡る旅」その3

文/特記なき写真:藤山 純二郎 06.25.2018

世界中のミシュラン三つ星レストランを追い求め、旅を続ける藤山純二郎さん。2018年6月までに、すでに120軒を超える三つ星を制覇したといいます。その藤山さんに肌で感じたミシュラン三つ星の魅力を語っていただく本連載。第6回は、2018年版のミシュランで新たに三つ星を獲得したフランス南東部の地中海沿岸の都市トゥーロン郊外のル・キャステレ内にある新三つ星レストラン「クリストフ・バキエ」を訪問したときのエピソードを披露してくれます。

パリのリヨン駅から高速鉄道のTGV6171のニース行き早朝7時19分発に乗り、約4時間でトゥーロンという駅に着く。ここからタクシーに乗ってさらに35分ほど行った地中海沿岸のリゾート地ル・キャステレにあるホテル「オテル&スパ・デュ・キャステレ」(ミシュランのホテル評価は、赤パビリオン4=特に魅力的で、最上級の快適)内に、レストラン「クリストフ・バキエ」がある。2018年に新三つ星を獲得したフランスの2軒のレストランのうちの1軒だ。

リヨン駅から高速鉄道のTGVに約4時間乗車してトゥーロン駅に到着

クリストフ・バキエは、かつてF1のフランスグランプリが行われていたポール・リカール・サーキットの近くにあるリゾートホテル「Hotel& Spa Du Castellet(オテル&スパ・デュ・キャステレ)」の中にあるメインダイニングだ。

上から、クリストフ・バキエのレストランの 玄関、屋外プール、ホテル客室テラス、エントランスホール

オテル&スパ・デュ・キャステレは南仏のリゾートホテルで、レストランのクリストフ・バキエは、昼の営業は金曜と土曜だけ。日曜日と月曜日は昼も夜も休みだ。豪華ホテルなので、先に訪問したスペインの新三つ星のアバックやアポニエンテよりも敷地は断然広く、設えにも余裕がある。モダンなインテリアが目を引く明るいダイニングである。隣接したラウンジには葉巻のワゴンなども置いてある。

モダンなインテリアが目を引くラウンジ。ベージュの椅子は肱かけつきでとても座り心地がいい
ラウンジの隅に置いてある葉巻のワゴン。いかにも三つ星らしい

シェフのバキエ氏は、今年の初めに亡くなったフランス料理界の巨匠、故・ポール・ボキューズ氏を崇拝しており、ボキューズ氏から譲り受けたコック・コートをわざわざ額に入れてレストラン内に飾っている。直接の弟子ではなかったということだが。

クリストフ・バキエにはコースが3種類ある。アラカルトはない。フジヤマは一番高い、皿数の多いコースを注文するつもりだったが、店のスタッフが初めてだったらこの5皿コース「Menu Au fil des Années(時の流れとともに)」がお勧めだという。シェフのスペシャリテコースで、名物料理ばかりだからというのだ。単に売り上げだけを考えれば、一番高いコースを選んでもらったほうがいいに決まっているのに、わざわざ「初めてだったらシェフのスペシャリテコースのほうがいい」というのだから、本心から勧めているわけである。それで結局、5皿の185ユーロ(2万4975円/訪問時のレートによる)のコースを選んだ。

フランスというより、ヨーロッパの三つ星店で、英語メニューが全くないのも珍しい。 やはり、圧倒的に地元フランス人客が多いということだろうか。

店のスタッフに勧められて選んだ5皿コース「Menu Au fil des Années(時の流れとともに)」のメニュー

実際には、5皿のコースに入っていない料理もいくつか、シェフからのプレゼントだといって提供してくれた。それも全部含め、コンプリート版のメニューを作ってくれた。それが下記の印刷されたメニューだ。サイン入りでいただいた。

サイン入りのコンプリート版のメニュー

食前酒を選ぶために運ばれてきたワインリストには驚いた。「LE CAVE」と書かれた大きなベージュの箱に入っており、6冊に分かれている。趣向としてとても面白かったが卓上では少し使いにくかった。

ワインリストの箱を開けると6分冊のメニューが入っていた
ピルゼンアレイ