ミシュラン三つ星をほぼ食べ尽くした男の忖度のない美食論

オランダの田園にある「インテル・スカルデス」、フォアグラとポップコーンを合わせた創作料理を味わう

第7回 フジヤマの「ミシュラン新三つ星を追い求める欧州の旅」その1

文/特記なき写真:藤山 純二郎 11.19.2018

レストラン正面入り口前で、オーナーシェフ夫人で、大変良いサービスを提供してくれた、マダム・クラウディア・プレヴェット氏と

世界中のミシュラン三つ星レストランを追い求め、旅を続ける藤山純二郎さん。2018年9月には、新たに三つ星を獲得した3軒のレストランを訪問し、累計121軒の三つ星を制覇しました。その藤山さんが美食論を語る本連載、7回目は2018年版のミシュランで新たに三つ星を獲得した、オランダ・アムステルダムから約170キロ離れた町にある「インテル・スカルデス」の魅力を紹介していただきます。

2018年9月に、オランダ、スウェーデン、イタリア、フランスを巡る7泊10日の旅に出かけた。今回の旅でも、2018年版のミシュランで新たに三つ星を獲得した3軒のレストランを訪問した。中には、イタリアの山岳リゾートにあるレストランもあり、移動が大変だったが、収穫の大きい旅でもあった。それでは1軒ずつ紹介していこう。

ミシュラン三つ星の定義は、「そのために旅行する価値のある卓越した料理」。今回、最初に訪問した新三つ星レストランは、オランダ・アムステルダムから169キロ離れた町にある「インテル・スカルデス」。豪華リゾートホテル「マノワール・インテル・スカルデス」の中にあるレストランだ。1968年開業で、77年に一つ星、84年に二つ星を獲得したが、三つ星を獲得できたのは今年。実に34年の年月をかけて待望の三つ星に手が届いたわけである。現在のオーナーシェフは、ヤニス・プレヴェット氏。

築90年の歴史ある民家を改装した農家風オーベルジュ

9月13日の朝、アムステルダム中央駅を出発し、電車を一度乗り換えて、2時間30分ほどいくとクルイニンゲン駅に到着。事前の調べで、電車の到着時間に合わせて手配しておいたはずのタクシーがいない。この駅で降りる人も数えるほど。途方に暮れてしまい、もう一度電話しないとだめかなと思っていたところ、10分ほどしてやっと来た。無人駅なので駅員もいないし、トイレすらない。公衆電話ももちろんない。あのときは本当に困った。

タクシーに乗って5分ほどで「インテル・スカルデス」に着く。周辺には畑や民家があり、まさにマナーハウスといった風情。12室の農家風オーベルジュ(宿泊のできるレストラン)としてふさわしい環境だ。

「インテル・スカルデス」のレストラン正面玄関
裏庭から見たところ
美しい庭園が広がっている

建物は1927年に建てられ、1953年まで獣医であるオーナーが居住していた。その後、オランダ王家の兵舎として使用され、ホテルレストランとして68年に開業した。


エントランスホール。オーナーシェフの仏像コレクションが飾られている

メインダイニングは、陽光が差し込む明るい空間。とても眺めがよくて、庭の景色を満喫できる。天井から吊り下げられた、雲をイメージさせるモダンアートのような照明が印象的だ。最近の新しい感覚の店では、テーブルクロスを置かない店もあるが、ここはきちんとセットしてあり、オーソドックスなスタイルに好感が持てた。


明るいメインダイニング。モダンアートのような照明が印象的
伊東食堂