インタビュー 情熱と挑戦の先に

プロレスラー 永田裕志──「負けから這い上がる力」が僕の財産

栄光と挫折の狭間で知った本当の強さ 前編

文:十代目 萬屋五兵衛 / 写真:山田 大輔  04.05.2017

48歳を超えた文字通りのベテランプロレスラー、永田裕志。今でも第一線で活躍するその勇姿に、人々は感動と勇気をもらう。強さ、狂暴さ、華やかさが混ざりあうその過酷な世界で生きる永田の道程を追った。(前編)

約6m四方を太い3本のロープに囲まれ、煌々(こうこう)と照らされたライトの下、筋骨隆々の男たちが、自らの腕力やスピードを駆使し、熟練された技の数々で、対戦相手を痛めつけ、その強さを決める。

それが多くの人が抱く、「プロレス」の第一印象ではないだろうか。

正式には「プロフェッショナルレスリング」と言われるが、もう日本では「プロレス」という略称で成立し、既に市民権を得ているスポーツ・エンターテイメントだ。

その技には、パンチやキックに代表される基本的な打撃はもちろん、華やかな飛翔スタイルで強打を加えるものもあれば、受けた者でないとその痛さが理解できない関節技、相手を抱え上げてマットにたたきつけ怪力さを見せつける投げ技など、多種多様な妙技の数々がリング上で繰り広げられている。

どちらが強いのかを競う、文字通り身体を張った過酷な競技だ。

やられても、何度もでも立ち上がる。そんなプロレスラーたちの姿に多くの観衆は感動し、大声を出しながら拳を突き上げる。

強さや狂暴さと華やかさが混ざりあう、その過酷な世界で、今年25年目を迎えるベテランのレスラーがいる。

永田裕志。日本のプロレス界をけん引してきた「新日本プロレス」(1972年設立)に所属し、今でも第一線で活躍している人気レスラーだ。

プロレスの名だたるタイトルを手にし、数多くのレスラーの中でも、プロレス界の歴史にしっかりと足跡を残してきた経歴を誇る。

かつての永田自身もそうだったように、ベテランの実力者を超えようと虎視眈々(こしたんたん)とその座を狙っている若手がいる。弱肉強食という言葉が似合う、新旧問わず、常に新しい若い力が台頭をしているのがプロレスの世界だ。

永田は48歳を超えた文字通りのベテランである。プロレスの世界だけではなく、50歳を手前にすると多くの人は『プロ』として残りの現役生活をどのように生きるかを、否が応でも考えるようになる。

永田は言う。

「僕みたいな年齢の奴がいることは、若手からしてみれば邪魔以外の何者でもないでしょう(笑)。僕自身だって、後輩に譲った方がいいに決まっている。と思っていますよ」

数年前までのように、若さやそれに伴う強さを披露しにくくなってきていることは理解している。しかし、譲れないものがある。

「自分より若いレスラーたちからは、邪魔扱いされているのはわかっています。だからこそ、こだわるんです。だって、あきらめていたらプロじゃないでしょう? 同じプロとしてリングに上がる以上、問われる価値は同じです。いや、年齢が上である以上、それが高くなければ、意味がないですから」

見る者を熱狂へと導いていくプロレスというエンタテインメントの世界で、ベテラン・永田裕志の、プロとしての「強さ」に迫る。

(本文敬称略、写真提供:新日本プロレス)

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