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カンパネラ終了!2人の編集長が5年間を振り返ってみた

 06.28.2019

2014年7月からスタートし、「お酒とコミュニケーション」をテーマにコンテンツを提供してまいりました、アサヒビールと日経BPによる共同運営サイト「カンパネラ」。 この6月末に、更新終了となります。5年間の軌跡を、日経BPの2人の編集長が振り返ります。過去のカンパネラの読みどころ、カンパネラ編集長のコメントをお楽しみください。

■乾杯!カンパネラ立ち上げ期:2014年7月から12月

──まずは、「カンパネラ立ち上げ期」である2014年7月から同年12月を振り返ってみましょう。2014年7月にアサヒビールと日経BPによる共同運営サイト・カンパネラがスタートしました。「お酒とコミュニケーション」をキーワードに、ビジネスパーソンにお酒の楽しみ方やオン/オフの過ごし方を提案するという、類を見ないWebメディアとして始まりました。

ちょうどこの年は連続テレビ小説「マッサン」(NHKドラマ)が9月から放映開始した年でもありました。お酒という話題でも印象深い年。立ち上げ時の意図や工夫は?

編集長A(カンパネラ2014年7月~2017年2月までを担当):当時アサヒビールさんとしては、「お酒にまつわる良き文化を喚起し浸透させたい」という思いを持っていました。しかしアサヒビールさん自身が自社のWebサイトでお酒のことを語っても、世間からは「結局宣伝でしょ」と受けとめられてしまう。伝統ある酒類メーカーとして、お酒にまつわる良き文化を広く知らせたいという思いがあった。

立ち上げ当時のカンパネラトップページ。2014年7月から2017年3月まで、このデザインでした

一方、私が当時ビジネスメディアの作り手として問題意識を持っていたのは、「ビジネスパーソンのコミュニケーション」というテーマでした。特にシニアのビジネスパーソンは飲み会を活用しています。仲間はもちろん、飲み会で初めて会った人ともコミュニケーションを深めて、そうして仕事をうまく進めている。実際、パフォーマンスの高い会社では「飲みニケーション」が活発だったりするんです。

そんな折に、アサヒビールさんからご相談を受けました。アサヒビールさんが持っている思いと私たちの問題意識をリンクさせ、解決策として提示したのが、この共同運営型のメディアであるカンパネラだったんです。

あと、アサヒビールさんとしては、従来型のマスマーケティングとは異なった形で消費者とコミュニケーションを取りたいという意図もありました。Webメディアであればこれまでにないアプローチで読者の動向を探ることができますし。

──企画時、工夫したことはありますか?

編集長A:カンパネラの裏テーマは、「お酒を飲まない人たちに、お酒の楽しみをどうやって知ってもらうか」でした。これが難しかった。そもそも飲みに行かない人たちに飲食店や居酒屋の特集をいくらやっても意味がないですから。

そこで「飲まない人」を呼び込むため、お酒と直接関係なくても「楽しい場所」をどんどん取り上げることにしました。「野球場をお酒や食事を楽しむ場として遊ぶ」といった企画がその代表例ですね。お酒にそれほど興味はなくても、日本にたくさんいる野球好きの人たちは読んでくれるはずだと考えました。「春風亭昇太と黒川勇人の『旬缶クッキング』」も、同じ考え方に基づいて企画したコラムです。

2014年の「野球場」シリーズは、「楽しめる場✕お酒」というコンセプトから編み出された記事でした。こちらは神宮球場を取り上げたシリーズ1回目

とにかく毎月毎週、人が集まる場所、楽しい場所のことばかりを考えていました。人が集まる楽しい場所を取り上げて、そこに「楽しい場をもっと楽しくするツールであるお酒」を提示すれば、お酒を飲まない人もお酒に興味を持ってくれるのではないかという考え方です。

──「お酒を飲まない人にお酒の楽しみを伝える」というのは、すごく矛盾した条件ですよね。でも結果として興味深いコラムがそろった感じがあります。

編集長A:そうですね。振り返ってみると、「アルコールでブレスト会議を活性化」とか、「サードプレイスである酒場で学ぶビジネススキル」とか、「主婦の間で流行っているものをおじさんが理解するためのコラム」とか。いずれも、明に暗にとお酒の楽しみ方やお酒がある場の面白さを少しずつ絡めました。

旅行の話題もひとひねりしました。JR九州の豪華列車「ななつ星」を支えた職人の記事「『ななつ星』というスターをつくった職人たち」や、映画ロード・オブ・ザ・リングの撮影舞台を取り上げた記事「【NZ】ロード・オブ・ザ・リングの自然とワインを愉しむ」は、結構話題になりました。

長く続くことになる名物コラムも生まれました。たとえば、「ロジックよりマジック」、「 ネオンとオンナ」「インタビュー 情熱と挑戦の先に」「話せばわかるものなのか。」などです。

こんな感じで変わった趣向のコラムをいっぱい立ち上げて記事を送り出してきましたけれども、裏側では、コンサルタントもチームに入れて、読者の動向分析を繰り返し実行していました。ちゃんと読者の定性的・定量的な反応を分析して、それをコンテンツに反映させようと。

「AB(アルコール・ブレスト)会議」はお酒とブレーンストーミングを絡めた企画でした

当然、SNSの反応も参考にしました。マッサンを取り上げたマンガ連載「日本のウイスキーの父:竹鶴政孝氏とリタ夫人の人生劇場」は、ツイッターでの反応が良かったですね。

──カンパネラはネットマーケティング界隈でもかなり話題になったようです。私(聞き手)は、カンパネラとは全く関係のない場所で、ある企業のマーケティング担当者の人から「うちも、あのカンパネラみたいなものをやってみたいんですけど」という話を聞いたことがあります。

■おいしい2杯目、発展期:2015年~2016年

──2015年からは、カンパネラもいよいよ軌道に乗って次々とコラムを増やしました。いわば発展期が2015年から2016年までの2年間。食・お酒・農による町おこし、知る人ぞ知る地方の酒場とそこに隠れたストーリー、お酒と食事を美味しく演出する家電、ビジネスパーソンに向けたアウトドアのカジュアルな楽しみ方など、さらに話題を広げた時期でした。

中でもこの時期スタートした「BAR CAMPANELLA(バーカンパネラ)」は、スキージャンプ女子日本代表コーチの山田いずみさんなど各界のキーパーソンにご登場いただき、良く読まれたコラムでした。

また、「酒場の水問題、居酒屋で水ばかり頼む人を許せますか?」「結婚と子宝を呼んだ、重富さんの『奇跡のビール』」「84歳のトライアスリート」といった記事が、SNSでたくさんシェアされました。

この時期で思い出深かったことは何かありますか?

「BAR CAMPANELLA」では各界のキーパーソンにご登場いただきました

編集長B(カンパネラ2017年3月~2019年6月までを担当):当時、私はまだカンパネラには携わっていなかったのですが、ひとりの読者として楽しみにしていたコラムが「ミッドナイトインタビュー」でした。経営者のロングインタビューで、酒場で飲みながら話を聞くんですが、だんだん社長の顔も赤くなってきてリアルです。企業の広報担当者はよく通したなーと思います。

これはお酒とコミュニケーションを扱ったカンパネラならではのコンテンツです。他のメディアが真似しようと思っても、なかなかできないでしょうね。

「ミッドナイトインタビュー」シリーズでは、お酒というコミュンケーションツールを通じて経営者の本音に迫りました

編集長A:そうそう、カンパネラがメディアとして認知されたなと確信したのは、いくつかの記事がいわゆる「ぱくりメディア」に盗まれ始めたこの時期です。代表的なのが、その「重富さんの『奇跡のビール』」ですね。

「酒場の水問題」はそれ以前から密やかに問題視されていた話題ですが、この記事を執筆した須田康成さん(作家でご自身も酒場を経営)が、ご自身の体験や周囲のエピソードを絡めて、改めてうまく取り上げてくださった。この記事、今でもたまにSNSで言及されることがあるようです。

「酒場の水問題」記事は公開から3年以上が経過した今もSNSで言及されることも

あと、それまでは「カンパネラ」とGoogleで検索しても、「水曜日のカンパネラ」「東京カンパネラ」ばかりが出てきていた。ようやく検索結果のトップ近くに出てくるようになったのがこの時期です(笑)。

編集長B:「酒場の水問題」、それから同じくこの時期に公開された「高知のモーニングは豪快にして美味である!」などは、今でも時々、ページビューの数字が突発的に上がることがあります。古びていない記事が多いですね。

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