特集

「爆買い」は今後20年続く!驚きのインバウンド事情

中国最大の旅行企業グループ・シートリップ日本法人梁社長に聞く(前編)

文:須田 泰成 01.14.2016

日本経済再生のキーワードとして注目を浴びている「インバウンド」。会員数3億人を誇る中国最大の旅行企業・シートリップに、中国人観光客の旅行事情や、日本に必要な受け入れ体制づくりを聞いた。

無線LAN環境の整備が不可欠

「日本カワイイ計画。」は、JFN系の全国16局で放送されており、全国各地で観光に携わる人たちも聴いている。それを踏まえて、篠原ともえ氏が次のような質問をした。

「ところで、この番組は、全国のリスナーの方々が聴いています。これから日本の様々な地域で、より多くの中国の観光客を迎えるに当たって大切なことを教えていただけますか?」

梁社長の答えは意外なものだった。

「実は、いちばん大切なのが、Wi-Fi(無線LAN環境)なんです。中国の観光客は、ほぼ全員がスマホを持っています。旅の間、ずっとスマホを使って観光情報の収集をしています。また、食べたものや行った場所などの写真を撮影して発信するのが楽しみなんです。いくら良いホテルでも、Wi-Fiが使えないと、宿泊先の選択肢から外されてしまう可能性が高いです」

「宿泊施設に中国語のできるスタッフがいなくても大丈夫です。中国語ができなくても、中国語の説明シートにチェックイン、チェックアウトの方法や、客室や温泉の利用方法などの必要事項が書かれていれば大丈夫です。個人旅行者は、英語ができる場合が多いし、いざとなれば、漢字で筆談すれば良いです。それよりも絶対に必要なのは、Wi-Fiなんですよね」

団体客のマナーは改善の方向へ

ここで西樹氏が、これまで日本国内で問題になることが多かった、中国人の団体観光客のマナー問題についてたずねた。すると梁社長はマナー問題は改善されつつあると回答した。

「実は、中国人観光客のマナー問題について、中国国内の世論も非常に敏感になっているんです。いまでは、ツアーに出かける際には、まず中国の空港で、参加者に日本のマナーに関するレクチャーをしっかり行うのが普通になっています。日本の空港やホテルに着いた時にも同じようにしています。より多くの中国人が日本との文化の違いを知るようになっているので、これからどんどん改善されていくと思います」

シートリップの日本についての基本知識を紹介するWebページ

観光は、国境に関係なく人と人をつなぐ手段

梁社長が会話の端々で口にするのが「観光は最高の民間交流なんです」という言葉。

「中国には、確かに日本を嫌いな人もたくさんいます。しかし、実際に日本に来ると、想像していた日本と違う。美しい自然、おいしい食事、社会の文化の多様性、モラルの高い人々、安全な社会。日本に来ると必ず日本を好きになると思います。日本が嫌いな人もいるけれど、まずは自分の目で見てほしい」

このように梁社長のビジネスの根っこには、「中国の人に日本を好きになってほしい」という思いがある。

「観光の力は、お金を稼ぐビジネスの力だけではないんです。私も仕事の中でたくさんの日本の人と良い関係をつくってきました。観光は、人と人を国境を越えてつなぐもの。観光は最高の民間交流なんです」

出演者の3人。右からシートリップ日本法人の梁社長、篠原ともえ氏、地域ニュースメディア「みんなの経済新聞ネットワーク」代表の西樹氏

ビジネスの側面ばかりが注目されがちなインバウンドだが、国境を越えた人と人とのつながりを育む民間交流の視点を持つ人物が、これからのインバウンドを担う企業の日本法人のトップであることは非常に興味深く、心強い。

≪次回に続く≫

■参考Webサイト
シートリップ
JFN『日本カワイイ計画。withみんなの経済新聞』オフィシャルWebサイト

須田泰成(すだ・やすなり)
コメディライター/地域プロデューサー/著述家
1968年、大阪生まれ。全国の地域と文化をつなげる世田谷区経堂のイベント酒場「さばのゆ」代表。テレビ/ラジオ/WEBコンテンツや地域プロジェクトのプロデュース多数。著者に『モンティパイソン大全』(洋泉社)、絵本『きぼうのかんづめ』(ビーナイス)など。
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