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北海道のエゾジカ狩りに同行し、本物のジビエを食べてきた

文/写真:カンパネラ編集部 02.09.2017

「エゾジカとは偶然出会うものじゃないんです」。北海道のプロハンターによる狩猟を間近で見た。そのうえ、エゾジカ肉の加工販売業者による本物のジビエも食してきた。その味わいは、まさに大地のエネルギーの塊だった。

実は北海道の人も美味しさを知らない

北見市内のスーパーにはシカ肉が置いてあるところもあるらしい。「小中学校の給食で食べたことがある」人も多い。だが地元民でさえも「食べたことはあるけど、苦手」と答える人が少なくない。実は林さんの妻・絵美さんもそうだった。

「シカやクマの肉も子供のころに食べたことがあります。でも、正直、あまり好きではなかった。北見には海や山に美味しいものがたくさんありますから、あえて食なくてもいいのかなと思ってきました。だから、旦那さんがこの仕事を始めたいと言い出した時、内心は『買ってくれる人たちがいるのかな』と不安でした」

ところが、林さんから「ぼくが出したいシカのお肉はこれ」と言われて、食べたお肉に驚いた。絵美さんの記憶にあるシカ肉とはまったくの別のものだったからだ。

その秘密は狩猟から加工までの時間にあった。ジビエの美味しさは仕留めてから加工までの時間で決まる。林さんの会社ではハンターが仕留めてから2時間以内のシカを引き取っている。さらに言えば、首から上の部位で仕留めたもの、血抜きがしてあること、お腹は開いてないもの――などの条件を満たしているシカ肉だけを仕入れている。

ハンターとしては日の入りまで狩りをして、まとめて業者に卸した方が効率はいい。しかし、朝に仕留めたシカを夜までトラックの荷台に置いておけば、どうしても肉は硬直するし、腐敗臭もつく。「美味しい食材」としての可能性を伝えたい林さんにとってはこの条件は譲れない。買い取り価格を普通の業者以上よりはるかに高く設定することで、トップハンターたちを口説いてきた。

加工も時間との勝負だ。ハンターさんから連絡があると、林さんたちは加工場に待機する。そして運ばれたと同時に解体・加工を始める。解体は帯広市の業者に教えてもらった。工場内での衛生管理は看護師としての知識が役に立った。

エゾジカを吊してお腹をさばく。肝臓や腎臓などの部位は、傷みが早いので内臓を取り出したらすぐに洗浄しては真空パックし冷凍をする。

一方、肩やモモなどの大型の部位は、加工した上で専用の冷蔵設備で管理する。運ばれてから一連の加工作業は1時間内で仕上げる。

そして、冷蔵設備に移動した大型部位は風を送りながら20日以上、じっくりと熟成させながら管理する。こうして旨味をさらに引き出しているのが林さんの肉の特徴だ。

オススメの食べ方はいろいろあるが、「やはり最初は塩・コショウだけで食べてみてほしい」。勧められるまま食べた赤身は上品なコクがある。白い脂身は熱いエネルギーの塊をそのまま口にいれるかのような感じがした。

やまわさびとお肉
ピルゼンアレイ