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【ハワイ】ベトナム生まれのライスヌードル、独自に進化中!

知っているようで知らないハワイの秘密と魅力:第4回

文:田中 しゅんすけ 09.17.2015

日本人に大人気のハワイ。しかし、知られているようであまり知られていないハワイを紹介しつつ、ハワイの魅力を探ります。第4回はベトナム生まれの麺料理フォー(PHO)について。

なぜハワイにベトナム料理店?

高倉健さんがいきつけだったというお店「マイラン」のフォー
チャイナタウンにある台湾系の商店街、チャイニーズ・カルチャル・プラザの中にあるお店「UONG LAN」のフォー。お店の名前はハング・ランと読むのでしょうか。個人的にホノルル市内では一番好きです

ハワイには日系人がたくさん住んでいます。かつてハワイに王国が存在していた19世紀後半からアメリカに併合された直後の20世紀初頭にかけて、サトウキビプランテーションの労働者として、日本から移民がたくさん上陸したからです。サイミンという食べ物が誕生して浸透した理由はそこにあります。

当時の移民労働者たちの祖国は主に、中国、日本、フィリピンなど。ベトナム系の移民が増えるのはその後です。なおハワイ王国があった当時、アジアはヨーロッパ諸国の植民地となっており、ベトナムはフランスの植民地でした。ベトナムのファーストフードでフランスパンに漬け物が挟まっているような「バインミー」という食べ物がありますが、それはフランス統治時代に由来します。

太平洋戦争が終結した後、朝鮮戦争が起きました。その結果、ハワイに韓国からの移民が増えました。その後に起きたのがベトナム戦争でした。ベトナム戦争でアメリカは負け、アメリカ側についていたベトナム人はベトナムから脱出して、その一部の人たちがハワイに上陸しました。

なぜハワイでベトナム料理店なのかという理由は、このような格好でハワイにベトナム系の移民がいるからです。フォーは来るべくしてやって来たのです。

太平洋のど真ん中で、独自の進化を遂げる食文化

わたしがフォーについて熱く語っている時に、ベトナム帰りの同僚がニヤニヤしながら教えてくれました。

「コシのあるフォーが好きみたいだけど、実はベトナムのフォーは、まったくコシがないんだよ」

ええええ!?

彼が言うには、ベトナムでフォーといえば、一度ゆがいたものをお湯で戻すタイプが一般的だそうです。屋台などに行けばよくわかりますが、調理器具の近くに半生のフォーがたくさん並んでいて、オーダーされたらサッとお湯に通して出すそうな。その結果、ベトナムのフォーは、コシがなくて、ハワイで食べるような食感にはならない。ううむ。

かつて、ハワイには日系移民がたくさんいました。その結果、サイミンという麺料理が普及したというのは先ほど述べた通りです。サイミンについてもう少し説明しますと、出汁(だし)はエビの殻でとります。太平洋のど真ん中にある島国で独自の進化を遂げた、ラーメンのようなうどんのような、ハワイ独特の食べ物です。

サイミン専門店はそんなに多くないかもしれませんが、メニューにこのサイミンがあるローカルレストランはいっぱいあります。たとえば、オアフ島の有名なローカルレストラン「ジッピーズ」にもサイミンはあります。

サイミンがハワイで独自の進化を遂げたように、フォーもハワイでオリジナルな成長をしていたのでした。

ハワイには、現在もいろいろな食文化が上陸しています。そしてほかでは見られない独自の発展を遂げています。「ハワイでノースショアといえばエビ屋台で食べられるガーリックシュリンプ」になっているように、いつからか「ハワイで麺料理といえばフォー」になっています。

何も変わってないようで、常にどこかが進化しているハワイ。フォーを食べながら、これもハワイの魅力のひとつなのかもなあ、と思ってみたりしています。

いろいろトッピングして、自分なりの食べ方を見つけてみてください
田中しゅんすけ(たなか・しゅんすけ:へなしゅん)
1967年2月28日生まれ。福井県若狭出身、エセ関西人。交通事故や大病などで死にかけた経験6回。阪神大震災を期にインターネットの存在を知り、ハワイ情報サイトを立ち上げて、その勢いでハワイ上陸。ハワイで生活を続けるうちに日本の素晴らしさを再認識する。いつの間にか、ハワイ在住16年目。通称「へなしゅん」として活躍中。わざわざ会いにオフィスの扉を叩くコアなファンも多い。名物案内人として、ハワイ関連書籍を多数出版。日夜、ハワイの新たなる魅力解明のため、ハワイ諸島を東奔西走の日々を送っている。海賊のような黒眼帯がトレードマーク。最新ハワイ情報サイトHiscoop!≪ハワイスクープ!≫を監修
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