1600社余りの社史の企画編集に関わってきた出版文化社社長・浅田厚志氏が三菱UFJビジネススクエア「SQUET」で連載しているコラム「危機に負けない長寿企業の経営に学ぶ」から、人気記事を転載。今回は、長寿企業における「オーナー経営」と「非オーナー経営」の違いを分析する。

「オーナー経営」と「非オーナー経営」、経営スタイル・継承方法の違い
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哲学と資産の考え方が重要

 オーナー経営とは、会社の人とお金における同族者の占有具合で定義されます。役員に同族者が入っているか、あるいは主要株主に同族者(社)が含まれているか、という観点です。筆者が行った調査では、長寿企業328社のうち有効回答の316社の同族者の平均持ち株比率は76%でした。これは大変高い比率と言え、長寿企業はしっかり会社の所有権を保持していることが分かります。

 持ち株比率が50%を超えると取締役の選任・解任ができ、66%を超えると監査役にも同様の権限を持ちますので、誰にも有無を言わさない経営ガバナンスを維持できます。また、役員構成では、国税庁による同族の定義である「代表者親族の6親等、姻族3親等」以内に入る役員がいる企業は51%でした。ここはかろうじて同族性を保っている状況です。お金に質(たち)はありませんが、人間には質があるので、ここでは思うようになっていない状況があるようです。

 では、その長寿企業の経営者たちがどのような経営スタイルを持っているのかを人、物、カネ、技術、情報、哲学の6点から見てみます。同族者と非同族者における最も大きな違いは、哲学についての考え方でした。「重要である」を選択した同族者は55%で、非同族者は40%。社是や経営理念をつくってきたのはオーナー家の可能性が高いので、思い入れが違うようです。

 次に、物について「重要である」を選択した同族者は37%で、非同族者は46%でした。その差は9ポイントで、オーナー家にはあって当たり前の資産ですが、非同族者には受け継いだ資産を守らなければいけないというプレッシャーがかかっているのかもしれません。ちなみに金融資産に対しては同族が非同族よりも4ポイント高いだけだったので、ここは「金融資産」以外の物も含めての資産に対する意識の違いと考えてよいでしょう。また、長寿企業が最も重要と考えている人については、同族が84%、非同族が88%で、ここでも差は4ポイント程度と大きくありません。

 このことにより、非同族者が経営を担っている場合でも、同族者がオーナーのポジションを確保しているとしたら、哲学と資産について非同族者にどうしてほしいのかをきちんと伝えることが配慮につながると考えられます。