変身してこそ、超えられる平均寿命

 筆者の調査では、長寿企業がもっとも大事に考えている経営要素は「技術」でした。ヒト・モノ・カネの時代には、人間関係や取引実績、自前の設備や資金力がものを言いましたが、新技術や新商品による優勝劣敗の時代に入り、長寿企業も従来の経営力に頼ってはいられない時代を意識しています。

 「会社の寿命30年説」は企業が衰退を迎える要因を、(1)経営者が変身する努力を怠る、(2)無謀な多角化によって事業の命を絶やす、の2つにまとめました。しかし、これは一見、矛盾しています。変身しなければならないと同時に、多角化に失敗してはいけないというのです。経営者としては、「じゃあ、どうすりゃいいのよ」と言いたくなりますが、筆者はこのように理解しています。

 「企業は経営者が変わらなければ変身はできない。よって、経営者が自己研さんを積んで、リーダーシップを持って企業を変身させていく。ただし、無謀な多角化、商品開発はだめ。飛び石ではなく、いままでのビジネスモデルの要素を活用できる新たな商品、サービスの開発をする必要があるのではないか」。少々保守的ですが、そのように捉えています。

(三菱UFJビジネススクエア「SQUET」より2021年7月14日掲載記事を転載)

浅田 厚志(あさだ あつし)氏 青山学院大学総合文化政策学部 ACL特別研究員<br>出版文化社 代表取締役社長
浅田 厚志(あさだ あつし)氏
青山学院大学総合文化政策学部 ACL特別研究員
出版文化社 代表取締役社長
1957年大阪府生まれ。出版社勤務を経て、84年2月、現・出版文化社を個人創業。以来、多くの単行本、定期媒体の企画・発行、社史・記念誌の企画制作、日米・日中・日印間の出版プロデュースを手がける。青山学院大学大学院博士課程と経営史学会にて「成功長寿企業の経営スタイルと経営哲学」を調査、研究。2015~18年、青山学院大学総合研究所特別・客員研究員。
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