業務上、上司や同僚などに助けを求める「ヘルプシーキング」。体系化されたビジネススキルとして、今、多くの組織から注目されている。助けを求めることは、甘えではない。持続可能な業務の進め方として必要な要素だ。特に大切なのは「平常時」の備え。「ヘルプシーキング」の考え方と実践について、専門家が解説する。(D-Com編集部)

職場で助けを求めるビジネススキル「ヘルプシーキング」とは?
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「ひとりで仕事を抱え込む」から「チームで協力して成果を出す」へ

 突然ですが、あなたは困ったときに周囲に助けを求められますか?

 「働く時間を増やして何とかしている」「やむを得ず助けを求めるが、申し訳なく思う」。こうした方も多いのではないでしょうか。今回取り上げるのは、ヘルプシーキングという考え方です。ヘルプシーキングとは、周りの人に助けを求め、ひとりで抱え込まないスキルです。

 「助けを求める」ことは、甘えではありません。本来はひとりで抱え込み、助けを求められないことの方が組織にとってはリスクであり、個人としてもそんな仕事のやり方は長く続けられません。「ひとりで無理して抱え込む」から「周囲と連携し、チームで協力して成果を出す」へ、仕事のやり方や組織風土をアップデートするヒントについて一緒に考えてみましょう。

助けを求めることに対する「思い込み」を手放すことが第一歩

 一般的な調査では、9割のビジネスパーソンが「助けを求めることに躊躇(ちゅうちょ)や遠慮を感じる」と答える傾向にあります。

 一方、私たちは誰もが不測の事態と隣り合わせです。仕事を進めるうえで想定外の問題はいつでも起こり得ます。加えて、育児や介護、ケガや病気など、「誰もが何らかの事情を抱えながら」働く時代でもあります。こうした状況下だからこそ、問題は不測の事態が起こることそのものではなく、「チームとしてそのリカバリーができないことである」と考えを変え、助け合い、連携し合って仕事を進めることが大事になります。

 では、頭では理解しつつも、なぜ私たちは「助けを求めることが難しい」と感じてしまうのでしょうか? そこにはいろいろな思い込みがあります。「相手に迷惑を掛けてしまう」「仕事ができないと思われる」「(管理職だから)自分がやらないといけない」などです。

 適切に助けを求めるための第一歩は、自分の中にある思い込みを手放すことです。そのうえで、自分にも仲間に対しても、助けを求める行動を肯定しましょう。助けを求めることは、チームの足を引っ張ることではありません。むしろ、抱え込むことの方が「チームの仕事を停滞させるリスク」「あなたや仲間を疲弊させるリスク」があるのだと、考え方を上書きしましょう。