当連載ではこれまで、ヤマハ発動機中和機工メロディ・インターナショナルと、3回にわたり国連調達に挑む企業を紹介してきた。今回はこれまでの事例を振り返りながら、改めて国連調達市場で成功するためのポイントを整理したい。企業の国連調達を一気通貫で支援するコンサルティングサービス「PICTURES i」を提供する三菱UFJリサーチ&コンサルティング(以下、MURC)の担当者に話を聞いた。

国連調達に挑む(4)三菱UFJリサーチ&コンサルティング「豊富な知見とネットワークで企業の挑戦をサポート」

国連調達に参入することで得られる3つのメリット

 国連機関等が新興国・途上国の支援のため、物品やサービスを世界各国の企業から調達する「国連調達」。過去3回の記事では、その市場においてすでに実績を上げている企業や、本格的な市場参入へ向けて取り組んでいる企業の事例を紹介してきた。

 ヤマハ発動機は、日本企業の先駆けとして国連調達市場に参入。培ってきたアフリカ市場でのノウハウを生かして大きな成果を上げてきた。中和機工は、中小企業ながら市場参入することで、卓越した技術力と製品力を世界に知らしめる販路拡大の足がかりとした。メロディ・インターナショナルは、まさにこれから国連調達市場への本格参入を目指すスタートアップ企業として、情報収集や認証の取得など直面する課題に向き合っている。

 業種や規模の異なる3社にとって、国連調達市場への参入意義やメリットはどこにあったのだろうか。MURC ソーシャルインパクト・パートナーシップ事業部の佐藤京氏は、ポイントとして①海外販路のチャネル拡大、②プレマーケティングとしての活用、③ブランディングの3つを挙げる。

 「一般的に、企業が海外に進出するとなると、民間の企業との取引を想像されることが多いかと思います。しかし、現地に国連調達を通じて参入いただくことで、民間市場が成熟していない新興国・途上国であっても、新たな販路を切り開くことが可能です。現地の製品やサービスの需要を密に知ることができますし、国連機関等に採用されたことによる信頼感をもって自社の製品やサービスを現地に周知できます。さらにSDGsに直結するため、昨今注目されているESG投資の観点からも価値があると考えています」(佐藤氏)

三菱UFJリサーチ&コンサルティング ソーシャルインパクト・パートナーシップ事業部 副長 佐藤京氏
三菱UFJリサーチ&コンサルティング ソーシャルインパクト・パートナーシップ事業部 副長 佐藤京氏

国連調達市場への参入に日本企業が消極的な理由

 3社の事例からも見て取れるように、国連調達市場に参入するメリットは少なくない。しかし、国連調達の市場規模は年間約2兆円※1にも上る中で、日本企業の調達額はこのうち1%にも満たない状況である※2

 では、何が参入の障壁となっているのだろうか。同事業部の成沢祐梨氏は、「中和機工様やメロディ・インターナショナル様も言及をされていましたが、そもそも日本では国連調達市場の認知度が低いことが挙げられます。また、国連調達の存在を知っても、入札参加方法に関する情報や、煩雑な書類作成などに関するノウハウや外部支援が少ないことも、企業の市場参入を遅れさせる要因になっています」と指摘する。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング ソーシャルインパクト・パートナーシップ事業部 マネージャー 成沢祐梨氏
三菱UFJリサーチ&コンサルティング ソーシャルインパクト・パートナーシップ事業部 マネージャー 成沢祐梨氏

 「企業として、新規参入するための人的リソースを割けないという課題もよく耳にします。そもそも、調達を実施する国連機関のオフィスは欧米に多く、物理的な距離や言語の違いにもハードルの高さを感じられているようです。さらに、国連調達で入札されるためには、製品によりますがCEマークやFDA(米食品医薬品局)の認証取得といった、世界的な安全基準を満たしていることを証明するための手続きが必要なことも一因と考えられます」(成沢氏)

 そこで、MURCでは、国連調達市場に挑戦する企業向けに様々なサポートを提供している。

 「定期的に弊社主催の国連調達セミナーを開催することで、国連調達市場の関連情報や、外務省によるサポート体制を紹介し、国連調達市場の認知拡大を図っています。また、UNOPS(国連プロジェクト・サービス機関)の担当者を招いたセミナーを開くなど、国連機関の関係者と日本企業の橋渡しも行っています」(成沢氏)

 その中でも注目すべきが、国連調達を含む国際公共調達市場への参入を目指す日本企業を包括的に支援するコンサルティングサービス「PICTURES i」の提供だ。

(※1 出所:外務省「日本における国連調達の課題と可能性。商機を逃さないために知っておくべきこと。」2018年7月)
(※2 出所:「国連プロジェクト・サービス機関UNGM統計」2020年)