経済の“いま”が分かる、三菱UFJリサーチ&コンサルティングのエコノミストによる徹底解説コラム。今回は輸入物価の高騰について。資源高と円安が続き、円ベースで見た輸入物価が42年ぶりの高い伸びとなり、企業にも大きな影響を及ぼしています。(D-Com編集部)

止まらない資源高と円安 輸入物価の高騰、企業利益の「重し」に
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資源高と円安で企業の仕入れコストは増加

 輸入物価の高騰が続いている。日銀が発表した2022年6月速報の円ベースで見た輸入物価指数は前年比プラス46.3%と、1980年6月以来、42年ぶりの高い伸びとなった。契約通貨ベースではプラス25.8%の伸びであることから、円ベースで見た輸入物価の上昇分の半数強が資源高によるもの、残りの半数弱が円安によるものとなっている。グローバルサプライチェーンの構築が進む中、日本企業は原材料の輸入から最終製品の生産に至るまで幅広く海外依存度を強めている。このため、輸入物価の上昇が企業の仕入れコストの増加に直結しやすくなっており、足元では企業業績の悪化が懸念されている。

価格転嫁は進んでいるのか

 仮に仕入れコストが増加しても、その分を販売価格へ転嫁することができれば、企業業績の悪化は避けられる。しかし、十分な価格転嫁を行えるケースは決して多くない。企業が直面する販売価格と仕入れ価格の動向を捉えた指標として、日銀短観の「販売価格判断DI」と「仕入れ価格判断DI」がある。これは、販売価格(または仕入れ価格)が前回調査時点(3カ月前)と比較して、上昇と回答した企業の割合と低下と回答した企業の割合の差を取ったもの。ゼロを上回って100に近くなればなるほど上昇感が強く、逆にゼロを下回ってマイナス100に近づくほど低下感が強いことを表す。

 直近22年6月調査の結果を列挙すると、1)大企業製造業の販売価格判断DIはプラス34、仕入れ価格判断DIはプラス65、2)大企業非製造業の販売価格判断DIはプラス19、仕入れ価格判断DIはプラス43、3)中小企業製造業の販売価格判断DIはプラス35、仕入れ価格判断DIはプラス79、4)中小企業非製造業の販売価格判断DIはプラス21、仕入れ価格判断DIはプラス58となっている。