経済の“いま”が分かる、三菱UFJリサーチ&コンサルティングのエコノミストによる徹底解説コラム。今回のテーマは、新型コロナウイルス感染拡大に伴って進んでいる円安は、果たして日本経済にとってプラスに働くのかどうか。そのとき企業は、どのような対応を求められることになるのかというお話。(DeCom編集部)

コロナ禍での円安は日本経済にプラスに働くのか?
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コロナ禍で進む円安

 2021年に入り、為替相場は円安方向の動きを強めてきた。新型コロナウイルスのワクチンの普及が本格化する中で、感染収束に向けた期待感から金融市場で投資家が積極的に投資リスクを取る「リスクオン」の動きが強まったことや、米国の長期金利が景気回復を受けて上昇したことでドル高圧力が強まったことなどが背景にある。こうしたコロナ禍での円安は、日本経済にとってプラスに働くのだろうか。

 円安が日本経済に及ぼす影響として第一に挙げられるのが、「価格効果」である。円安における価格効果とは、外貨建てで取引されている製品やサービスの価格が、円安が進むことによって、外貨建ての価格は変わらずとも円に換算した場合の価格が上昇することを指す。

 例えば、今、1個当たり1ドルで輸出(もしくは輸入)している製品があるとする。為替相場が1ドル=100円のとき、その製品の価格を円換算した場合の価格は100円だが、仮に円安が進み1ドル=110円になったとすると、その製品のドル建ての価格は1ドルのままなのに対し、円換算では110円に上昇する。従って、円安が進めば、輸出企業は外貨建ての価格を変えなくても今までより円換算では高い価格で輸出できるようになる一方、輸入企業は今までよりも高い価格で輸入しなくてはならなくなる。