経済の“いま”が分かる、三菱UFJリサーチ&コンサルティングのエコノミストによる徹底解説コラム。今回は、日本における2021年冬のボーナスの動向を探る。規模・業種によって明暗が分かれ、企業にとっては、賃金アップを将来への投資と捉えた戦略を打ち立てていく必要が出てくる。(D-Com編集部)

2021年冬のボーナス~コロナ禍の影響は一巡、アフターコロナに向けた人材確保へ
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2021年冬のボーナスは下げ止まるも、規模・業種により明暗が分かれる

 日本において、多くの企業で12月に冬のボーナスが支給される。昨年は、コロナ禍の影響による企業業績の大幅な悪化を反映して、一人当たり支給額は減少、また一部の企業では支給が見送られた。

 2021年は、1年の大半で緊急事態宣言が発出されるなど、総じて見ると新型コロナの感染拡大が経済に及ぼした影響は深刻であった。しかしながら、雇用情勢の悪化は限定的で、企業業績も20年中盤を底に改善が続くなど、所得を取り巻く環境は良好な状態を維持していることから、冬のボーナスは下げ止まると期待される。ただし、大企業と中小企業との間で、また製造業と非製造業との間で、コロナ禍からの回復状況に差が見られることを反映し、規模・業種で明暗が分かれる結果となるだろう。

ボーナスを決定する雇用情勢と企業業績

 雇用情勢を見ると、完全失業率は20年10月に3.1%まで上昇したが、雇用調整助成金や人口減少に伴う構造的な労働力不足、外国人労働者の減少を背景に、その後は低下に転じ、最近では2%台後半で推移している。アベノミクスが始まる13年まで4~5%で推移していたことを考えると、かなりの低水準である。さらに、日銀短観の雇用人員判断DI(指数)を見ると、コロナ禍で一時的に悪化したものの、21年6月調査以降、製造業、非製造業とも人手不足を訴える企業が半数以上を占める結果を示しており、労働需給は逼迫している。

 また、企業全体で見た経常利益は急回復し、おおむねコロナ前の水準に戻した。もっとも、輸出や直接投資を通じて、回復の早かった米中経済の需要を取り込んだ大企業および製造業を中心とした回復であり、コロナ禍での内需の落ち込みを反映し、中小企業および非製造業の回復は遅れている。

 従って、今冬のボーナスは総じて見ると下げ止まる中で、大企業および製造業では早くも回復の兆しが見られる一方、中小企業および非製造業では、低水準のまま横ばいにとどまる見込みである。