経済の“いま”が分かる、三菱UFJリサーチ&コンサルティングのエコノミストによる徹底解説コラム。今回は2022年の日本経済について分析する。21年からの緩やかな持ち直しが続く一方、懸念材料も多い。企業は引き続き臨機応変な対応が求められそうだ。(D-Com編集部)

2022年、日本経済の行方は? 回復基調は維持するも、人手不足と供給制約が懸念
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2021年は感染状況に振り回される中、緩やかな持ち直しが続いた

 2021年を振り返ると、緊急事態宣言の発出と解除、新型コロナウイルスの新規感染者数の増減に合わせて、経済活動の制限と緩和が繰り返された。こうした状況下、日本経済は緩やかな持ち直しが続いた。

 7〜9月期は、対面型のサービスと財の需要が両方とも落ち込んだため、実質GDP成長率は前期比、年率換算で3.6%減と、大きめのマイナスとなった。しかし、感染拡大「第5波」が収束し、緊急事態宣言が全面解除されたことを受けて、その後は対面型のサービスを中心に需要は持ち直しつつある。また、半導体不足や部品調達難の影響で生産が落ち込み、財消費の減少の原因となっていた自動車生産も既に最悪期を脱し、回復基調に転じている。このため、10〜12月期にはプラス成長に復帰することは確実である。

2022年も回復基調は維持できるが…

 年明け後も、感染拡大を抑制し、緊急事態宣言の発出を回避できれば、経済活動への制約が徐々に薄らぐため、景気回復の動きが維持されるであろう。また、財政支出で55.7兆円と大型の経済対策が打ち出されており、「Go To トラベル」や「同イート」の再開、18歳以下への10万円相当の給付といった政策効果が加われば、成長率の押し上げにつながる。

 それでも、感染が収束にまで至っていない以上、当面は感染拡大防止と経済活性化を慎重にバランスさせる状況が続くと考えられ、景気の回復ペースが急速に高まることは難しい。第一に、感染の落ち着きに伴って高まると期待されたリベンジ消費だが、オミクロン株の感染拡大への懸念や感染拡大の「第6波」が発生することへの警戒感もあって、足元では景気を急速に押し上げるほどは盛り上がっていない。

 加えて、資源高、円安、輸送コスト高を背景に、ガソリン、電気代などのエネルギーや、小麦、砂糖、肉類といった食料品など、消費者の身近なものの値段が上昇しており、消費者マインドの悪化を通じて、リベンジ消費や「Go Toキャンペーン」再開による押し上げ効果に水を差しかねない。