家事代行サービス・ベアーズの高橋ゆき副社長が経営者の本音に迫る本連載。今回の対談相手はハンバーガーチェーンを運営するドムドムフードサービス社長の藤崎忍氏だ。藤崎氏は、専業主婦からアパレルショップ店長や居酒屋女将などを経て入社し、わずか9カ月で社長に就任した異色の経歴の持ち主である。ユニークな商品メニューの投入や大胆なECビジネスの展開など独自の取り組みで、社長就任3年目にして再生途上だった同社を黒字転換した。社員やお客の立場に立って考える「思いやり経営」を実践する藤崎氏にその極意を聞いた。

ドムドムフードサービスが運営する新業態店舗「TREE&TREE’s」の前で 藤﨑 忍(ふじさき しのぶ)氏 ドムドムフードサービス代表取締役社長/高橋 ゆき(たかはし ゆき)氏 ベアーズ 取締役副社長
ドムドムフードサービスが運営する新業態店舗「TREE&TREE’s」の前で
写真/陶山 勉
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藤崎 忍(ふじさき しのぶ)氏
ドムドムフードサービス代表取締役社長
1966年生まれ。東京都出身。青山学院女子短期大学卒業。政治家の妻となり39歳まで専業主婦として過ごす。夫の病を機にSHIBUYA109のアパレルショップ店員として働き始める。経営方針の違いから同社を退職後、居酒屋を開業。料理の美味しさや接客の良さで一躍人気店になる。その腕を常連客に見込まれ、ドムドムのメニュー開発顧問に。「手作り厚焼きたまごバーガー」をヒットさせ、ドムドム入社。その後わずか9カ月で社長に就任。

高橋ゆき氏(以下、高橋)初めまして。今日はお目にかかれることを大変楽しみにして参りました。ドムドムフードサービス(神奈川県厚木市)が運営する「ドムドムハンバーガー」(以下、ドムドム)は日本で初めて誕生した、歴史の最も古いハンバーガーチェーンだそうですね。

藤﨑 忍(ふじさき しのぶ)氏 ドムドムフードサービス代表取締役社長
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藤崎忍氏(以下、藤崎)はい、ドムドムは今年創業52年を迎えます。元はダイエーグループが事業展開していたもので、ダイエー内のフードコートなどに出店していました。最盛期の1990年代には全国400店舗近くまで店舗網が広がっていましたが、2000年代に入ると勢いを失い、赤字が続きます。17年に企業再生などを手掛けるレンブラントホールディングスに事業譲渡された時には店舗数も最盛期の10分の1ほどに減っていました。現在はフランチャイズ店も含め28店舗のチェーンです。

ドムドムハンバーガー イオンモール新利府北館店
ドムドムハンバーガー イオンモール新利府北館店
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高橋藤崎さんが社長に就任されたのは18年、ドムドムが復活に向けて走り始めて間もない時期です。どんなことを考え、何に取り組みましたか。

藤崎店舗数では大手バーガーチェーンにはかないません。大事なのは独自性を出すことです。その取り組みの1つとして、まずメニュー開発に力を注ぎました。今、おいしいものはコンビニエンスストアでもどこでもすぐに手に入ります。「おいしい」はお客様との最低限の約束であり、それに驚きや楽しさなどの付加価値のある商品を開発しようと考えました。

「丸ごと!!カニバーガー」。ソフトシェルクラブを丸ごと使っている
「丸ごと!!カニバーガー」。ソフトシェルクラブを丸ごと使っている
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 その代表例が19年に発売した「丸ごと!!カニバーガー」です。ソフトシェルクラブを丸ごと、ハサミがはみ出たままはさんでいます。見た目のインパクトの強さなどからSNS(交流サイト)などで話題になり、メディアでもたくさん取り上げられました。ただ奇をてらったということではなく、実際にとてもおいしい点が評価されたという自負があります。こうしたヒットがあって、コロナ禍の影響がありながらも21年3月期には黒字転換を果たすことができました。

高橋 ゆき(たかはし ゆき)氏 ベアーズ 取締役副社長
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